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SEO施策の解像度を上げる。その施策は何のため?【SEOのために事業をしない】

SEOを行う場合、施策の難易度が低いもの、高いものが出てきます。
難易度に関しては、サイトや関わっている人の役割によっても何が難しいのか?は変わります。

その割には結果が出るまで時間がかかる事が多く「SEOの成果」というのは直接的に実感しにくいことが多いのがむずかしいところです。

いちばん難易度の高い施策が「社内の説得」となることも割と多くあります。
社内政治が重要だったり、ですね。

9年前にSEOのプロとして独立しましたが、関わっている企業が成長したことで、Webに関する集客全般、場合によっては、その他の媒体も含めたコミュニケーションまで設計する、といったこともあります。
まさか、こんな上流工程に携わるとは夢にも思っていませんでした。

Webマーケティング全体を俯瞰するようになると、SEOの立ち位置というか見え方もかた変わってきます。

今回は、SEOの施策の解像度を上げる、というテーマで、よくあるSEOの施策(カテゴライズ、URL、内部リンク)を深掘りしてみたいと思います。
他にも施策はありますが、長くなるので、一例として見ていただければ幸いです。
他のSEO施策と、その他の施策との関連性も想像してみてください。

適切なカテゴライズと内容を把握しやすいURLでの運用

ECサイトなどカテゴライズがそのまま自然検索のランディングページになる事があります。
SEOにおいても重要な施策ですし、サイト設計の初期では、ここを整理することが多いです。
サイトリニューアルやシステムの入れ替えを行う場合、SEO担当者は、将来的な運用に幅を持たせるために、仕様について伝えることも多いかな、と思います。

ベタなところとしては、

  • URLが比較的自由につけられる

  • カテゴライズを入れ子にしやすく、複数カテゴリへの登録が可能にする

  • 同一ページで重複URLが生成されにくくする

  • ソート時のURLなど処理を組み込む(canonicalやパラメータの設定など)

  • 検索時のURLの処理とインデックスの有無

  • 今現在のURLの評価を適切に引き継ぐための処理

辺りはよく出てきます。
他にもありますが、サイトによって考慮すべきポイントは変わります。

サイト単位でみると頻度は高くないかも知れませんが、あとあとの変更がしにくいので重要な要素です。
ここを深掘りして、他の施策との関連性を確認してみます。

カテゴライズを適切に行う、分かりやすいURLを付ける意味はSEO以外にもある

1つ目のカテゴライズは、そもそもユーザーがサイトを回遊しやすくなり、目的の情報を見つけやすくする、という目的があります。
ある商品や情報がサイト内にあった場合、どのカテゴリに何の情報が入っていると見つけてもらいやすいのか?というのは重要な要素です。

他の施策との兼ね合いを考えるのであれば、広告との相性を考えると非常に重要な施策となります。
代表的なところだと、動的検索広告を考慮する場合、非常に重要です。

割と代表的な検索連動型広告の自動化の1つですが、Googleの検索インデックスのデータを用いています。

動的検索広告では、URLや、そのページが表示されたほうが良いキーワードをGoogleが自動で選び広告に表示します。
かなり細かいキーワードでも表示されることがあり、恐らく部分一致でも対応が難しいようなキーワードでも表示されます。

インデックスされたURL、そのページの内容が重要なのですが、カテゴリーが適切である場合、動的検索広告だけでも比較的成果が出やすくなります。

逆にURLの構造がおかしくなったり、重複が発生してしまったり、カテゴリーが使いにくいものになった場合、SEOの成果とともに、動的検索広告に悪影響が出ることもあります。

以下に、実際にサイトリニューアルに失敗したサイトの動的検索広告のグラフを表示します。

SEOマイナス時の動的検索広告への影響

露出が大きく減り、成果も激減してしまいました。
その後、URLやカテゴリ、タイトルの修正によって立て直しを行いましたが、その間3ヶ月ほど、収益に大きなマイナスが出てしまいました。

URLの変更も響いたので特殊な事例かも知れませんが、広告もSEOも頑張っていて最近リニューアルしたサイトは、1度チェックしてみても良さそうです。

URLのディレクトリは解析しやすいものにしておいた方が良い

サイトは作って終わりではなく運用によって成果が出せます。
その際、絶対に欠かせないのが解析です。

1つ1つのページを細かく見る、という場合もあるかと思いますが、多くの場合、特定のグループごとに傾向を把握する事が多いかな、と思います。

URLのディレクトリ構造が適切である場合、特定のカテゴリのみをソートしてデータをチェックする、みたいな事を複雑な操作をせずに行うことが可能になります。

僕もそうなのですが、ちょっとした手間は蓄積すると意外と面倒になって習慣化の阻害要因になってしまいます
習慣化するためにもURLの構造は解析しやすいものにしておいた方が良いです。
先ほどの動的検索広告と合わせて、かなり重要な要素になります。

内部リンクによる効果と再検索による離脱の防止

ブログ記事などのテキストが多いページの場合、ページ内に内部リンク(自サイトページ内へのリンク)を複数設置することがあります。
SEOにおいて内部リンクは重要で、アンカーテキストも含めてしっかりと考慮する必要があります。

機械的に内部リンクを設置する場合、出てきた単語に内部リンクを設置し、関連するページへのリンクをする方法もあります。
ページ上部にあるリンクの方がちょっとだけ評価されやすい、といったポイントもあります。

上記のような方法でも十分ではあります。
ただ、内部リンクは改善の余地がかなり多いことが多く、やり方によってはユーザー行動の仮説を立てて深掘りすることもできます。

ビジネス プロフィールとは
Google ビジネス プロフィールでは、マップや検索などの Google サービスでローカル ビジネスをどのように表示するかを管理できます。実店舗に顧客を迎え入れてサービスを提供するビジネスや、エリア限定でサービスを提供するビジネスを営んでいる方は、ビジネス プロフィールを活用すればユーザーにビジネスをアピールすることができます。Google でのオーナー確認を済ませているビジネスは、ユーザーからの信頼度が倍増する傾向があります。

https://support.google.com/business/answer/6300665?hl=ja

こちらはGoogleビジネスプロフィールのヘルプページからの引用です。
実際のページ内では内部リンクは設置されていません。

この文章を読むであろうユーザーが
「ネットに疎いけれどもWebからお店の宣伝を頑張りたいと考えている人」
「検索からこのページヘたどり着いた」

である場合を想定してみます。

何らかの方法でGoogleビジネスプロフィールというキーワードへたどり着いているので、単語としての「Googleビジネスプロフィール」は一応知っています。(キーワードを入力して検索してますし)

この読者が内容を読んでいると、いくつか引っかかるフレーズが出てくるはずです。
例えば
Googleでのオーナー確認

ようやく、Googleビジネスプロフィールへたどり着いた方は「自分の店がとりあえず宣伝できるはず」と思っている可能性が高いです。

そこで出てきた「Googleでのオーナー登録」という言葉。
こういった読者が目的を達成するために不明な言葉が出てきた場合に取る行動はあまり多くありません。

ざっと想定される行動としては、
読み飛ばして先へ進むか
「Googleでのオーナー登録」をコピペして再検索

です。
このnoteを読んでいる方の中で、何かを調べていて、テキストを読みすすめているうちに、知らない単語や他に興味を惹かれるトピックを見つけてしまい再検索した、という経験はありませんか?

ユーザーの目的がある程度決まっている場合、情報の深掘りを行うことは割と自然な行動です。

再検索時も、自分のサイトが上位表示しているのであれば良いですが、そうでない可能性も高いでしょう。

なので、内部リンクの価値「リンク先のページ評価を上げる」から「ユーザーの再検索を防ぎサイト内に留まる可能性を上げる」と定義を変更すると、施策を行う意味が変わります。
アンカーテキストの内容も、よりユーザーを想定したものになりやすいです。

この過程でユーザー像をある程度想像する習慣がつくので、他の施策を行う際の精度も高くなります。
ユーザー像が考えられる人がプロジェクト内に増えることは、プロジェクトの成功確率を上げてくれます。

SEOの施策をSEOのためだけに行うのはコスパが悪い。他の施策のアシストも含めた全体の中での立ち位置を再認識する。

SEOのため”だけ”のSEOの施策は本当に少なくなりました。
テクニカルな施策の効果が薄くなった、というか実感しにくくなったのが大きな要因ですが、事業を行う中で必要とされる要素が変化しつつあるのも大きいのかな、と思います。

SEO以外に集客方法は多数あります。
戦術の中の1つのオプションであるSEOに対して、それ単体のためだけに予算とリソースを割くというのが適切でない場合も多くあります。

SEOをするために必要なスキルセットや、施策が他と相乗効果が出せることが多いのですが、「SEOだけ」を集客施策として行うのはオススメしません。
他の施策とセットで成果は出せる事は多いですし、自然検索から得られるデータは非常に貴重なものです。

事業のためにSEOがあるのであって、SEOのために事業をする訳ではない

SEOは集客施策のオプションの1つです。
他の施策にプラスの影響を与えつつ、しかも自然検索からのトラフィックが継続的に増える可能性が高い。

貴重なキーワードデータの蓄積も期待できるので、顧客理解のための1つの素材として活用できる可能性もある。

情報発信を効果的に行い、フロー情報の寿命が延ばせる可能性が高くなる。

上記はSEOに取り組んだ際のメリットになります。
これらが事業のためになると感じた際は、ぜひともSEOをWebマーケティング施策の1つとして取り入れていただき継続的な成長をして欲しいと思います。

間違っても「SEOのために事業を行う」状況にならないようにしてください。
SEOの施策は膨大にありますが、その中での取捨選択は非常に重要です。
難易度が高いことも多いですからね。

では、今日もまた、選択と集中を間違えず限られたリソースの中で最大の成果が出せるように考え抜きます!


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