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「地方Webマーケ勉強会 #7」でお話しした内容まとめ

2022年10月20日(木)「地方Webマーケ勉強会#7」でお話させて頂きました。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました!

そして株式会社アクシスさま 
瀬川義人さま
ありがとうございます!

19:00~20:00の予定だったのですが20時30分まで話し続けてしまいました。
時間を大幅にオーバーしてしまったので、最後まで参加できない方もいらっしゃったのではないかな、と思っております。

そこで、勉強会でお話した内容やいただいた質問への回答など公開可能な範囲で記事にして残したいと思います。
ざっと振り返ってみたい、という方も参考になれば嬉しいです。

勉強会は2つのセクションに分かれていました。
事前に用意されたトピックについての解説
いただいた質問への回答

です。

地方でWebマーケティングをしている方
僕のように地方でWebマーケティングのお仕事をしている方

の参考になれば幸いです。

地方のWeb集客がなかなか進まない原因は何なのでしょうか?

テクノロジーに対するアレルギーレベルでの苦手意識かな、と思います。
あとは当事者意識が芽生えにくい
今のままでもそこそこやれている
そこそこやれるほど地域の中で経済がある程度まわっている

という環境も関係があるのかな、と思います。

競争相手の絶対数が首都圏と比べて少ないので、今ある基盤を守れたら、それで事業の継続はできてしまいます。
自分の業務量を増やしてまでWeb集客をする理由がないのかな、と思います。

人手不足で業務が手一杯で訳の分からない業務が増えるのを望んでいない

これ以上、何かが増えるのは勘弁して欲しいと考えられている可能性もあります。
Web反対派の方がいる場合、ネットの悪い部分がフォーカスされたニュースを多数チェックしている可能性もあります。

無意識にWebは良くない、危ないという啓蒙を社内でしてしまっている可能性もあります。

僕はいくつかの会社の役員もさせて頂いています。
そこでちょっと大変な事がありました。

ある地方企業の事業会社での出来事なのですが「役員での事業への参入」を打診されました。

色々な事情があり、お引き受けすることになりました。
SEOで関わる方以外のメンバーにもご挨拶をと思い、社内で色々な方にご挨拶していたところ、デジタルやマーケティングとは関連が薄い部署から反発がありました。

「Webやデジタルなんてなくても事業はやれている」
「何で今更、力を入れる必要がある?」
「ネットで詐欺やら悪いニュースなんていっぱいあるのに、自分の会社のやることが理解できない」

といった反発でした。

以前、似たような記事を書いたこともありましたが、そんな状況でした。

以前経験した状況は以下の記事を参照
組織全体でマーケティングができるようになるまでの取り組み

僕がここでとった方法は「丁寧な説明」「粘り強い交渉」です。
ただ、この社内のゴタゴタは事業会社側の中の人になったからこそ分かったことです。

視聴された方や、この記事を読んでいる方の中には支援会社側の方もいらっしゃるかな、と思います。
事業会社としてWebへの投資を行うような状況が社内で出てきた場合、記載したような形で社内で反発が起こっていたり、発注するムードがかき消えている可能性があります。

保守的な企業だとこの傾向はかなり多そうですね。

地方企業でWebマーケティングを行う上で、最も丁寧に時間をかけてやっているのは具体的なマーケティング施策ではなく説明と相互理解だったりします。
ここを丁寧にやれていないと結果に繋がらなかったりするのですけれども、支援者側としては1秒でも早く具体的な施策をしていきたいと思いますし、もどかしいですよね。

地方企業がSEOに取り組む上で、つまづきやすいポイントは何でしょうか。その解決のためすべきことは?

ググって見つけたSEO関連の情報をつまみ食いするように行ってしまい部分最適だけがされた状態になってしまい全体として見たらバランスの悪い状態になっている事が多いです。

例えば、コンテンツSEOブームがあった際に、ブログを開設しコンテンツをゴリゴリ作る、みたいなことが流行りました。

オフトピックだらけだったり、当時のニュースへの言及をしていたりしてセンシティブなコンテンツが増えたことでサイトのテーマが壊れた、みたいな状況も見たことがあります。

情報収集を頑張っている方が、構造化マークアップ、めちゃめちゃ細かい内部リンクの最適化、キーワードを見出しに入れる、などミクロの施策に手を出して、毎日キーワードの順位をチェック。

担当者が変わってもそれを続けたことで、何のための作業なのか?もよく分からないまま作業だけが残ってしまい、結果的にSEOって意味ないね、という状態になったのも見かけます。

目的の共有や自社のリソースとして耐えられる運用計画がなければSEOは破綻します。

まずは運用負荷が少ないことから

店舗集客が必要ならGoogleビジネスプロフィールなどに正しい情報を入れる
ブログであれば数を追わない
クリティカルな問題以外に高度な情報は追わず工数を増やさない

辺りが大切です。
あまり高度なことや細かいことを追おうとせず、基本的なことだけしかやらない、と決めてしまった方が良いです。
SEOやマーケティングのための事業ではなく、事業のためのマーケティングやSEOですからね。

一方で分析や検索流入のグラフを全然見ていない、という状況も見かけます。
可能であれば毎日、大きなトラフィックの下落がないか?
自分たちのサイトが何のキーワードで評価されているか?
指名検索の数がどれくらいか?
はできればチェックして欲しいです。

気になるキーワードがあれば実際に検索してどういうページが出てきているか?を知ることも大切です。
自分たちでも形にできそうな施策が思いつけば、そのとき初めて計画を立てましょう。

地方でWeb集客を進める上で外せない、センターピンは何なのでしょうか?

集客だけを見てしまうとPVだけを追う、みたいなバランスの悪い目標や施策ができてしまう可能性があります。

集客よりは、まずネットで売れる状況を見つけること、をセンターピンにした方が良いです。
自分たちのサービスはどういう訴求で売れるのか?がセンターピンです。
じゃあ、その訴求をするために必要な手法は?という順序で考えた方が良いです。

私が一番得意なのはSEOですが、SEOを成功させるためには顧客理解がめちゃめちゃ重要です。

どういう方が顧客になるのか?
その人たちはどういうサービスや解決策を欲しているのか?
を理解します。

そういった方々が検索しそうなキーワード、必要としている情報の仮説を立てて実務に落とし込み解析をして、良かった点や改善点を見つけて次に繋げることの繰り返しです。

なので集客のセンターピンは売れる訴求を見つけることです。
≒顧客理解と考えていただいても良いです。

瀬川さんが、とある地方のBtoB企業の事例を出しておりました。
他社が品質などを重視する中で、その企業は納期の早さが評価されて自分たちへの発注が多くされていると気づけた。

LPにも短納期の訴求を増やしたところ、問い合わせも増えて自社の強みを活かして受注が増えた、というお話でした。

集客よりも、まずは売れる訴求が何かを見つけることです。
腑に落ちるレベルで売れた理由が分かってから集客を考えることもオススメします。

質問:制作会社さんがSEOの知識がない場合はどのように指示などをされるのでしょうか?
指示書などを作成されるのでしょうか?

作成することが多いです。
といっても、ある程度パターンが決まっているので「ここに気をつけてリスト」みたいなものを作成して共有するくらいになるのがほとんどでした。

コーポレートサイト
ECサイトのようなデータベースを利用したサイト
ではSEOで注意すべきポイントは大きく異なります。

コーポレートサイトであれば少ないページ数で更新性が高くないことが多いです。
自分たちのことを伝えつつ取引先へお知らせを提示したり、ホワイトペーパーのダウンロードを促したり問い合わせを増やしたり、といったことが目的になったりします。

目的達成のために
サイトトップページは指名検索
サービス説明ページには一般名詞
お客様の声はスモールワードで細かな流入

など、実際に上位表示するかどうかは別として、上がるならこのページ、というページを決めて、タイトルやサービス説明をするために必要な要素をお伝えします。

少ないページであればSEOで気を使うべきポイントは多くないので、ケアレスミスやタイトルなど基本的な要素にのみ注意してもらうようにお願いします。

データベースを利用したサイトの場合

ECサイトであればShopifyのような外部システムが絡む可能性があるので、ツールでできることとできないことをお伝えした上で、サイト設計図を作成するようにします。

大量の重複ページが生成されないようにする
ソフト404が生成されないようにステータスコードを設定してもらう
カテゴライズが重要になるので管理しやすいURL構造の設定をしてもらう
表示速度が遅くならないように画像の最適化の依頼、余計なコードの読み込みが発生しないようにしてもらう
コアウェブバイタル全般の説明と対応のお願いをする

のようにサイト毎に注意点があるので、致命的な問題になりそうな点をかなり丁寧にお伝えします。
打ち合わせを何度も重ねることもありますしチャットなど文章などの残る形でお伝えすることもあります。

指示書を作成する場合もありますが、一緒にディレクションして制作してしまうことが多いです。
SEOの場合、サイトという器ができたら、そこにどんな情報を入れるか?
どうやってサイトを見てもらうか?が大切なので、運用しつつ成長させることになります。

なので指示書も作りますが、ワイヤーを作るところから携わらせてもらってサイトへの理解度を高めた方が最終的に自分自身も助かります。

質問:アクセスが伸びたと思ったら東京から。
地方はアクセスは少なくコンバージョンも増えない。
地方でのwebマーケはほどほどに、が正解なのでしょうか。

私も独立直後にすごく苦労した点なのでよーく分かります。
業種や商材によって回答が変わると思いますので私の事例でお話しますね。

私は札幌を拠点としてお仕事をしていますがクライアントの多くは関東圏の企業です。

2013年に退職エントリーというのを書いて北海道に貢献したい、みたいなことを語ったのですが、問い合わせがあったのは関東圏の企業ばかりでした。

結果的にそのままお仕事が続き、色々とご紹介いただいた事で今もやれています。

東京からのアクセスが多く地方からのアクセスが全然増えずコンバージョンしない、というのであれば、私なら東京の企業から選ばれるようにサービスや価格を見直します。

その方が結果的に地方企業との繋がりになる可能性が高いからです。
今現在、地方の企業とのお取引も多くなりますが、その多くは東京の企業から紹介でした。

3年ほど前からオンラインミーティングがメインになりましたが独立直後は対面でのミーティングや会食が多く、東京出張が多くありました。

最初はこの出張コストも辛かったです。
貯金を切り崩しつつやっていました(笑)

料金は東京の企業より抑えやすかったですし、クライアント数が少ない間は丁寧な仕事ができました。
それが評判となりクライアントがまた別のクライアントを紹介してくれたりしました。

首都圏には複数のクライアントがいるので、1回の出張で多数の打ち合わせを入れてしまえたら、出張コストは下げられました。
最初のうちは料金に出張料込みにしていたので月額料金以外のお金はいただかず、ガンガン東京の仕事をしていました。

関わる企業が増えて成果が出てくると、ご紹介も増えました。
徐々に首都圏以外のお仕事が増えて今に至っています。

今現在は主張費用は実費で頂くようにしています(笑)

まずは集客できるところに特化する

まずは集客ができるところに特化することをオススメします。
東京からのアクセスが多いのであればそちらに合わせて変更を検討します。

求められている場所での仕事や評判が地方のお仕事や売上に繋がる可能性は高いです。
まずは必要とされる場所で結果が出るようにサービスデザインをするのが良いかな、と思います。

類似する質問で「地方企業で商圏が限られている。SEOで上位表示しても商圏外からの流入が増えてしまう。どうしたら良い?」といったものもありました。
基本的にSEOやコンテンツ制作を頑張るよりも地域を絞った配信が可能な広告から着手する方が良いです。

早く結果が出るものから着手し、広告運用で成果が出て投資が可能になってからSEOの順序の方が上手くいきます。
まずはネットでモノが売れる感覚をつかむことをオススメします。

質問:社内でWEBやSNSを運用する際、どのように業務に組み込むべきか、難しく感じています。どう人を動かすかなど工夫はありますか?

SNSで日々発信される情報を見ると、事例を公開されているメディアでは高度な運用をしていたり分析をしていたりしますよね。

地方企業や、そもそもWebやマーケティングへの投資をしていなかった企業がいきなり高度なことをやろうとすると高い確率で失敗します。
運用負荷も高くなりますからね。

関係者が少なく、自分と理解のある決裁者くらいのチームであればガンガンやれるかな、と思いますが、実際には関係者も多いし協力も仰がなければいけないし、そもそも社内への説明も必要な状況ではないでしょうか?

社内への啓蒙活動としては、まず触れてもらう、というところからスタートします。
業務に組み込んだり作業量が見えなかったり難しく感じるのは、多くの方が使ったことがないから、です。

なので、まずは使ってもらうように誘導してみるのをオススメします。

SNSのアカウントを作ってもらう
毎日1投稿する
など何でも良いので誰かが先頭に立ってプロジェクトへの参加を促します。
決まったら行動することをKPIにして使ってもらうことからスタートするのが良いかな、と思います。

そうやってスタートすると、やる人とやらない人が出てくると思います。
半年くらい続けてみて残った方がいたら、その方だけを集めて正式にプロジェクトをスタートし社内への許可をもらうようにします。
社内では今まで行動してきた内容について説明してみてはいかがでしょう?

集客数などの数字へKPIをスライドさせていくようにすると会社としても協力してくれるかな、と思います。
経験上、若い方の方が割と積極的に頑張ってくれる傾向がありますの。
半年一緒に続けてくれる同士を探してみましょう。

質問:地方の企業様を集客支援するときの考え方をご教示いただければ幸いです。(各種Webマーケティングがある中、どの方法に注力していくべきか?など)

なるべく早く安定した売上を作ることを念頭に置きます。
SEOは時間がかかる事が多いので一番最初の施策としては行わないことが多く、広告運用からスタートする事が多いです。

広告運用の目的は集客できるまでのスピードもありますが、売れる訴求やLPがどういうものか?を腑に落ちるレベルで理解することにあります。

まずは支援する企業に「こうやったら売れるのか」を理解してもらえなければ集客支援は続けられません。

なので、最初は全力で売れる訴求を見つける。
次に何で売れたのか?を腑に落ちるレベルで理解してもらう。
という順序が大切です。

まずは、小さくても良いので売れる仕組みを見つけて作ります。
そこで最小の経済圏ができたら、そこから色々な施策に着手します。

SEOに着手したり、情報発信を検討するのもこのタイミングから、です。
SEOやメディア運用などのオーガニック施策で成功するには、集客さえ出来たら売れる、という状況をまず作ることが必要です。

集客してちゃんと売れる訴求を見つけてWebで作った売上をWebに再投資できるところを最速で作ります。

トリプルメディアの接続順序としては
1、ペイドメディア
2、オウンドメディア
3、アーンドメディア(への接続)
の順序となります。

まずはペイドメディアをゴリゴリ使っていくようにしましょう。

質問:全然マーケと関係ない仕事をしています。
SNS運用である程度マネタイズ出来ていれば、マーケ会社で仕事する際にアドバンテージになりますか?
年齢的に未経験で転職が難しいのですがマーケの仕事をしたいです。

SNS運用でのマネタイズは素晴らしい武器だと思います。
売れる訴求やSNSの文化や空気を理解する。
反応の良い投稿を続ける。
コミュニケーションを取って好きになってもらう。
などSNSも十分に大変ですし成果が出せたら大きな武器になります。

マーケティングの経験については本業やお仕事と関係なくても積めると思います。
僕が関わっているクライアント企業にはマーケティング部署はありません。
でも全員がマーケティングできます。

何名かマーケティング支援企業へ転職しましたが、転職者は生産管理や総務といった部署の方です。

相手が欲していると思われることを理解し、自分の価値を上手く伝えるのがマーケティングの基本です。
その点が評価されたらあまり年齢は関係ないと思います。

「マーケターを採用したい」という相談を受けて、採用のお手伝いをしたこともありますが採用したうち半分くらいは未経験者マーケターでした。

顧客理解の素養や好奇心があればマーケティングは楽しい仕事になると思いますよ!

質問:東京にいることを強みに地方の事業主をWebマーケティングで支援したい。事業をどのように拡散されているのか知りたい。(SNS?実績→口コミ?)

私の場合は、会社員時代からブログを書いていたので、そこが最も大きな強みになりました。
拡散は自分自身で宣伝するよりも第三者にしてもらう方が効果的です。

SEOのプロとして独立して食べていけるようになるために何を準備していたのか?
数ヶ月前に書いた記事ですが、こちらが参考になるかな、と思います。

地方で頑張るWebマーケターが増えたら救われる人も増えると思う

地方企業で、特に保守的な企業とのやり取りは大変なことが多いです。
なかなか施策が実行できなかったり、理解してもらえなかったり。

新しいことを始めるには、多くの人を動かす必要があるので苦労することも多いです。

でも、話し合いを続けていた方が、自分のことややろうとしている事を理解してくれて前に進めるようになった喜びは大変大きなものです。

地方で頑張ったり苦労されている方がいるのはよく分かります。
私自身も地方にいながら仕事をしているので、大変だなと思うことも少なくありません。

でも、たまに「伊藤さんが近くにいてくれて良かった」とか「一緒に仕事をしてくれて救われました」と言われると、心から「この仕事、やってて良かったな」と感じます。

Webやマーケティングのプロが地方に1人でも増えて、その方々が多く報われるような状況になれば、地方はもっと元気になる、と本気で思っています。

私は、地方で戦うWebマーケターの皆さまを尊敬しています。
お互い大変なことも多いかと思いますが、いつか誰かが救われると信じて頑張りましょうね!


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