未来は僕らの手の中 DXレポートを運用目線で読み解く⑤
最後はDXが進むとどのような状態になるのかを読み解いていきたいと思います。
引き続き、引用元はDXレポートです。
企業の中には、積極的に競争していかなければいけない主力業務と、主力業務を支援するバックオフィス業務があります。
経理、会計、財務、人事、労務、法務、総務、庶務などがバックオフィスにあたります。
ひと昔まえでは、バックオフィス業務のためにオンプレサーバーにパッケージソフト(市販ソフト)を入れて利用していました。今もそうしている所は多くあるでしょう。
ただ、バックオフィス業務は法律に基づいて業務をしなければならないものも多く、どの会社でもかなりの共通性があります。
そうなると各企業で個別に導入するよりも、扱うデータのセキュリティさえ担保できるのであれば、複数の会社でクラウドサービスとしてシェアした方が開発やシステム維持のコストも下がります。
バックオフィスの中でも、業務内容の共通性が高く非競争領域であれば、良質なクラウドサービスが出てきて共通プラットフォームとして利用されるようになっていくでしょう。
主力業務では、新たなビジネスのアイデアを考え、他社よりも早く開発をしてサービスを顧客に提供しなければなりません。
ヒットしたらそれを素早く拡大していくのも大切です。
それらの対応をするにも、現時点ではクラウドが最適です。
新たなサービスを思いついて、実現するためにハードウェアを購入してキッティングして、3か月かかりますではさすが遅すぎるでしょう。
DXレポートでは既存のレガシーシステムをどのようにクラウドへ移行していくかを以下の図で説明しています。
とにもかくにもクラウド! ということになってしまうのですが、DropboxがAWSから離れたように「オンプレミス回帰」の流れもあります。
ただ、ここで注意しなければならないことは、あくまで回帰ということです。つまり、一回はクラウドへ行っています。
いったんクラウドへ行った上で、業務の適性上オンプレの方が良いと判断したということです。
クラウドは小さく始めるには良いですが、サービスが大きくなると細かなチューニングができなかったり、課金に方式が見えづらくなったりします。
なので、思いついたビジネスアイデアはまずはクラウドで試して、大きく育ったらオンプレに戻すかを検討する、という流れが主流になるのかもしれません。
個人的にこの現象は、鮭の母川回帰みたいだなぁ、と思っています。
詳しい話は以下の記事です。
DXレポートの中で、「あらゆるユーザー企業が”デジタル企業”に。」との標語があります。
これはどういうことかというと、土地でもナスでもお金でも、すべてをデジタルでくるんで電子データとして扱えるようにするということです。
お分かりの通り、もうすでにその世界は我々にところまで来ていますね。
この流れは、今後も加速します。
そんな状況のなかで、エンジニアはにどのような変化が必要となってくるのかを考えてみたいと思います。
クラウド化が進むとハードウェアなどの管理から解放されますが、今度はクラウドサービス全体の運用管理が始まります。
おそらくクラウド運用を体系的に立てつけられている企業はまだまだ少ないと思います。
ただ、クラウド運用について書くと長くなるのでこちらウェビナーでお話しますので、お時間が合えばぜひ。
企業としては、ラン・ザ・ビジネス(既存ビジネスの維持や管理)の圧縮とバリューアップ(新規開発)の立ち上げを同時に進めていかなければなりません。
今後エンジニアに求められているのは、そのどちらかを推進するスキルとなります。
ラン・ザ・ビジネスの圧縮ならばでは、基盤としてのクラウドの知識の習得やAnsibleなどの構成管理ツールによる自動化や効率化など。
バリューアップでは、クラウドサービスの活用方法やビッグデータやAI技術活用、モバイルを活用したサービス開発などになるでしょう。
今後は短期間で機能追加や修正を行う必要があるので、アジャイル開発手法の導入などもカギになってきます。
すべてのことができるスーパーマンはいません。
すでにあるものをよりよく改善することが得意なのか。
それとも、変化の速いビジネスの世界でサービスを開発していくのが得意なのか。
自分に合った得意分野を伸ばしていくのが良いでしょう。
最後にDXがうまく進んだ場合のシナリオを転載しておきます。
このまま何もせずに2025年に崖から転げ落ちるのか、なんとか盛りしてハッピーエンドになるのかは、コロナ後の私たちの頑張りにかかっているのかもしれません。
この連載全体がIT負債から強く影響を受けていますので、もっと詳しく知りたい方は是非ご一読ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?