運用設計の教科書、改訂作業
僕が行う業務の中で、最も属人性が高い仕事は執筆である。
執筆だけは誰かに任せようと思ったことがない。
文学少年だったこともあって、人には文体があり、文体は人間からにじみ出ると思っている。
そんな中、ずっと心に引っかかっていたのが最初の書籍の「運用設計の教科書」の管理である。
いろいろあって僕には著作権がない。
著作権がなくても「運用設計の教科書」というコンテンツの管理がしっかり行われていれば、養子に出したわが子のような気持ちで見守ることができる。
しかし、前の会社で「運用設計の教科書」を持て余しているのをヒシヒシと感じていた。
おかげさまで何回か増刷がかかるが、そのたびに文章修正の確認が来る。
社内に確認ができる人が存在しないので毎回執筆者の僕のところに連絡が来るのだ。
ただ、これはまだ良い状況である。
今は社内に当時のことを把握しているメンバーがいるので僕に連絡をくれるが、人事異動や離職、定年などで人がいなくなれば管理主幹が不明になってどうなるかわからない。
そうなると、わが子である「運用設計の教科書」の扱いが不明になって、最悪の場合は絶版などになりかねない。
そうならないために「運用設計の教科書」の改訂と合わせて、著作権をK-modelも持つことができないかの交渉を始めた。
これはお金の話ではなく、親権に似たコンテンツ管理の話だった。
前に記事で書いたように、前の会社とはビジネス上の付き合いも続いていて良好な関係である。
交渉は上手く進んで、改訂新版を出すのを条件に著作権を共同保有することになった。
前著の出版から4年たっていた。
こういった交渉はじっくり時間をかけて取り組めばどうにかなることも学んだ。
あと、どんな状況になろうと一時の感情で相手と敵対しないほうがいい。
人生とは、短距離走ではなくマラソンなのである。
改訂新版には、最新の技術要素に合わせて、運用設計アプリの検討で新たに整理した考え方も追記した。
少しだけ直して……、と改定前は甘いことを考えていたが、結局半年以上かけて大幅に改定することになった。
この手の成果物作成の予定を立てる時、自分の感覚はまったくあてにならない。
年初から始めた書籍の改訂を終えるころ、ようやく梅ちゃんがK-modelに入社となった。
季節は梅雨に入り、うだるような暑さの夏がそこまでやってきていた。
運用設計の教科書の改訂版はこちらになります!
良かったらぜひ手に取ってみてください!