歯科最新技術にふれる

2020年3月4日㈬

非常勤先のクリニックで口腔内スキャン&自動削り出し機のデモに参加した。

歯科でむし歯の治療や根の治療のあとには詰め物(インレー)やかぶせ物(クラウン)を作成して、歯に装着して咬む機能を維持する。現在、日本の保険診療では金属(金銀パラジウム合金)が主に用いられ、いわゆる銀歯と呼ばれる。銀歯は笑ったときにきらりと目立ってしまうため、最近では自費診療のセラミックにしたいと希望される患者さんも多い。保険診療でも一部CADCAM冠といってプラスチックとセラミックが混ぜ合わさった材料の白いかぶせ物もあるが、対象となる歯は小臼歯と下限られている。

詰め物やかぶせ物を作るとき、一般的には『型取り』といって冷たいスライムみたいなものを使って歯型をとって、技工所に提出して技工士さんが手作りで銀歯やセラミックを作ってくれる。出来上がったものは歯科医院に届けられ、歯科医師が患者さんの歯にぴったりはまるように微調整して、接着剤を使って歯にくっつける(合着)。

今回デモをしてもらった『セレック』は、従来の型取りや手作りの『アナログ』の工程を『デジタル』に置き換える機械だ。

【口腔内スキャン】

口腔内カメラを使って、歯の形をスキャンする。スキャンされた情報はPCに送信されて、PC画面で歯の並びや形、詰め物やかぶせ物用に削られた形が3Dで再現される。

【削りだし】

スキャンされた内容をもとに、作成物(詰め物orかぶせ物)の形をPC上でデザインしてシュミレーションされる。シュミレーションをもとにセラミックのブロックが削られていく(イメージでいうと3Dプリンター)。

削りだしているところを初めて見た。削り始めてから15分も経たないうちに終わってややびっくりした。

【患者さんの口の中で調整・セット】

できあがった作成物は磨いて、さらに患者さんの歯にはまるように微調整。歯の隣あっている面とかみ合わせる面をすこしだけ削って接着剤で歯にくっつけて完成した。

2年前くらいに勤めていた非常勤先でも使っていたが、かなり古いモデルでエラーが多く操作性が難しく、完成物の制度もいまいちな印象があった。今回は院長の施術を見学した。口腔内スキャンの操作はかなりしやすそうで、カメラの性能が数世代前とはかなり良くなっていることが感じられた。完成物の精度は、院長いわく技工士さんが手作りで作るものにはフィット感がまだ劣るそうだ。とはいえ、できあがるまでのマンパワー・時間コストは使いこなせばかなり削減できる可能性が高い。

もちろんまだまだ課題は残るが、新しい技術の進歩は画期的だ。新しい技術を柔軟に使って、患者さんにより良いものを提供していけるようにまだまだ自分も勉強していく必要があると感じた。

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