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こんまり流? 断捨離流? 片づけ方にも流派がある

ちょっと古い話で恐縮ですが、昨年の緊急事態宣言中、東京の小池百合子都知事の会見での発言に思わず吹き出してしまいました。
「4/25から5/6までをステイホーム週間とする」という内容の会見中のことです。

「残念ながら今年はゴールデンというわけにはいきません。おうちにいてください。(中略)たとえば、この間に家の中を断捨離しようという方もいらっしゃるかと思いますので、片づけコンサルタントのこんまりさんこと近藤麻理恵さんからもご協力いただいて、片づけの極意などを教えていただく、そんな動画をアップいたします」

断捨離する人が増えるこんまりさんに極意を教えてもらう

いやいやいや…ダンシャリとコンマリは違うから!
小池さん、断捨離って言ってみたかっただけでしょ。あと、最近近藤麻理恵さんが話題だからって流行りに乗っかってるだけでしょ。

すぐさま「小池都知事 断捨離 こんまり」で検索すると、断捨離公式の方が大人の対応しているのを見つけて、さらに腹を抱えて笑ってしまった私。
家族に怪訝な顔されましたが、説明しても何が可笑しかったのか細かすぎて伝わらなかったようで、ちょっと寂しかったです。。

一応、補足しますと、
「断捨離」やましたひでこさんが提唱し、著書『新・片付け術 断捨離』(2009年)のヒットによりブームになった思想で、「断捨離」という言葉は商標登録されています。
一方、こんまりさんこと近藤麻理恵さんの方は「こんまりメソッド」といって、著書『人生がときめく片づけの魔法』(2010年)で有名。近年のアメリカでの活躍が、国内でも話題になっています。

で、今あらためて調べたら、こんまりさんご自身も「こんまりメソッドと断捨離の違いについて、話します!」という動画を上げておられました。


結局のところは、考え方やアプローチの仕方が少し違うだけで、目的は同じであり、結果もほとんど同じと考えても良いと思います。

そして、小池さんの真意は、「自粛期間中に断捨離しようという人=家を片づけて不要品を処分したいと思っている人」であって、特に「やましたひでこさん提唱の断捨離®︎を実践しようという人」を指してはいないのでしょう。
なので、公開するという動画がやましたひでこさんの断捨離でも近藤麻理恵さんのこんまりメソッドでも、受け取る側としてはどちらもとても参考になると思います。

でも、厳密には全くの別モノです。細かい方法論にも違いがあります。
同じ片づけでも、言わば流派が違う。薩摩示現流とか北辰一刀流みたいな。

そして「片づけの流派」は、他にもいろいろあります。
というわけで、私の知ってる範囲でいくつか挙げてみたいと思います。

・整理収納アドバイザー

ハウスキーピング協会が育成・認定する資格。
先にモノの整理→それから収納。適正量の決定・使用頻度別収納・グルーピング…などといった「整理収納理論」を用いる。

整理収納アドバイザー資格には3級〜1級とあるが、プロ資格である1級取得者は2021年現在11,000人超
さらに上位資格として整理収納コンサルタント等がある。

市販されている2級公式テキスト↓(1級テキストは受講者のみ入手可能)

・断捨離(やましたひでこ)

近年は「断捨離」という言葉だけが有名になりすぎて、ただ捨てまくることのように一般名詞化してしまってますが、元はヨーガの思想で、
断:入ってくる要らないモノを断つ
捨:家にずっとある不要なモノを捨てる
離:モノへの執着から離れる

という意味。
また、自分軸時間軸という基準を用いてモノの要・不要を判断します。

著作物はたくさんありますが、代表的なのはこちら(文庫版)↓

・こんまりメソッド(近藤麻理恵)

残すものを「ときめくかどうか」の基準で選ぶのが最大の特徴。
服→本→書類→小物類→思い出の品 の順で場所別ではなくモノ別に行い、なるべく短期間で終わらせる「片づけ祭り」を推奨しています。
また、服は「たたむ」収納をすすめていて、畳み方指南に力を入れています。
代表的テキスト(最新版)↓

・ライフオーガナイザー

アメリカ発の片づけサポート資格で、日本ライフオーガナイザー協会認定。
最初に綿密にカウンセリングを行い、利き脳が右脳か左脳かを診断。タイプ別に自分に合った片づけ方を見つけるというのが特徴。
(私は本を数冊読んだことがあるだけなので詳しくは分かりません)
公式の出版物。講習で使用するそうです↓

・風水

方位や色など、風水の決まりごとに従って家を整えるのも根強い人気です。
開運、金運とか…? すみません。本当に知識がなくて。
風水好きな人はかなりいるので、ひとつの流派と言っていいと思います。
風水を取り入れた片づけのアドバイスができる整理収納アドバイザーの方もいます。

また、断捨離ブームよりも前に、カレン・キングストンという人の著書「ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門」(2002年)が、「捨てる」片づけの先駆けとなりました。風水に興味がなくても、読むと片づけのモチベーションが爆上がりする本です。

・トヨタの片づけ

製造業の現場から生まれた環境改善、物品管理術。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)という考え方をもとに、業務の効率化を追求。
「片づけは雑務ではなく仕事そのもの」
「ムダをなくせば利益が増える」
ジャンルとしてはビジネス書ですが、家庭内でも、家族の共有スペース・共有品の使い方や、消耗品の在庫管理、家事の効率化・時短などに応用できる内容です。 
ときめきのような精神論的なアプローチが苦手な人におすすめ。


以下は流派というより片づけのジャンルかな?番外編です。

・高齢者の片づけ(生前整理・実家の片づけ)

高齢化・核家族化が進み、高齢の親の住まいの片づけに悩む人が増えていることは関連書籍の多さからもうかがえます。
子ども世代が依頼者で、本人には片づける意思がないという例も多々あり、根気よく取り組む必要があります。
また、認知症バリアフリー住宅などの知識も必要になってきます。
片づけのプロの中には、この分野を専門にする人も多いです。
関連書籍は多すぎて選べないので割愛。

・発達障害者の片づけ

私が一番関心を持ってる分野ですが、認知度は発展途上かなーと思います。
特にADHDなど、発達障害の特性が原因で片づけが苦手という人の場合、一般向けの片づけ方では実践しにくく、特性に配慮した進め方が必須になります。

・ゴミ屋敷・汚部屋

ニュースになることも多いゴミ屋敷問題。
本人が業者に片づけを依頼したり行政に支援を求められる場合はまだいいのですが、支援を一切受け付けないという当事者もいます。
背景に精神障害があることも多いため、片づけのサポートだけでなく心のケアが必要。行政の福祉医療などとの連携が課題となります。


目指すゴールは「幸せに暮らすこと」

このように、ひとくちに片づけと言ってもいろんな方法があるわけですが、もちろん、この中でどれが正解というのはありません。

片づけは、単に住まいの見た目を整えるだけではなく、自分のライフスタイルや価値観を知ることにつながります。
なので、生き方や考え方が人それぞれなように、片づけ方も10人いれば10通りの片づけ方があって当然だと思います。

でも、どのやり方も最終的に目指すゴールは「幸せに暮らすこと」です。

「なにが君のしあわせ?なにをして喜ぶ?」
どの片づけ方も、問いかけているのはそんなことだと思うのです。




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