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僕はケンタに恋をした。④(突然の連絡)

*ここからご覧になる方は、是非一番最初からご覧頂くと前後関係が分かるかと思います*


それは突然だった。


「月曜日から大阪いるよ」

私はアルコールが入って気持ち良くなるとLINEを送る癖がある。
(これで失敗したことも、次の日シラフで見てキマづくなることも・・・)

その時もなんとなく深く考えることもなく、なぜケンタなのかも分からずに適当にスタンプを送っていた。


中学を卒業し、念願だった高校に入ったが正直そこまで楽しくなかった。
一浪して大学に入り行動圏も広がり、色々な経験もしたが昔のようなときめきはなく、なんとなく4年間を過ごして就職し今に至る・・・といった感じだった。

時々ケンタのことを思い出し「今なにやってんだろうなー」と思うこともあったが、もう会うことはないんだと思っていた。

一方、ケンタは高校を卒業し、トラックの運転手になったと風の噂で聞いていた。

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そんなこんなで中学校の思い出は少しずつ遠いものになり、思い出すことも少なくなってきた。
だが、なぜかケンタのことは心のどこかにあった。忘れかけていたこともあるけど、時たま思い出す。それの繰り返しだった。

それだけ自分にとっては大切な存在だったのかもしれない。

数年前、友達にすすめられてLINEを始めた。
LINEを始めた時、電話番号から自動的にケンタが友達追加され、アカウントを知ったので時たまLINEを送ることがあった。

だが、自分はケンタのことが気になっていても、ケンタにしてみたら自分のことは「ある日突然シャットダウンされ、訳も分からずに一方的に怒っているメンドイヤツ」としか思っていないかもしれない。

そりゃそうだ。仕方がない。

だから、LINEをしてもそっけなかったり、話が続かなかったりしていた。

自分が悪い。仕方がない。

ただ、ここ最近は不思議なことに「焼き肉でも食べに行く?」となって日程調整したり、会う方向に話が進むことがあった。
だが、ケンタは不定期な仕事なので直前になってダメになったりで、再会は叶わなかった。そんなことが何回か続いた。


それから私は転職をして東京から大阪へ転居したこともあり、物理的に東京から離れたので会いにくくなったということと、新たな環境に慣れるのに必死で、自分の中のケンタは小さくなっていた。

そんな時だ。


京都で飲んだ帰り道。

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京都から自宅までは1時間もかからない距離だが、たくさんアルコールを飲んだこともあり気持ち良くなって電車に揺られながらスマホをいじっていた。
そして、いつもの癖でふとケンタにLINEスタンプを送った。

正直、スタンプを送った記憶がなかったのだが、予想外に次の日になってケンタから返事があった。


つづく

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