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「狼と香辛料」感想 -リメイクの意味は?-

「狼と香辛料」を見ています。
ラノベ原作で2008年に作られたものの続編、ではなくなんとリメイクです。ちなみに前作は見ていませんが原作には2008年版アニメの続きがあるらしい。なのになぜリメイク?
面白いのは、中世欧州(ドイツ?)っぽい異世界ファタジーなのだけれど、主人公が行商人という点です。なので戦闘アクションは控え目というかないです。

ビジネスの駆け引き

行商人が主人公なので、スリルの提供はビジネスの駆け引きです。
たぶんこのラノベが出た頃の私であれば、「なるほど〜」と思えたと思います。
当時はそれが新鮮だったのだと思います。
しかし、歳をとって経験を積んだ私には、その点はちょっと粗が見えたりします。

ヒロインの魅力

というわけで、この作品、私にとっては魅力的なヒロインと主人公のロマンスが主軸なのです。
その点、中世という背景を考えると進行が遅い…「お前らもうつきあっちゃえよ!」と「葬送のフリーレン」のザインさんでなくても言いたいです。

とはいえ、セリフのやりとりに気が利いている感じがして好きです。そこにフォーカスして視聴するのが良いのだろうな、と思う次第です。

でもねえ

でも、ものすっごく残念なのですけれど、映像作品としての演出が薄いんですよ。
作画も力が入っているとは思えないし。

ロマンスだったら会話を引き立たせるようなときめく演出が欲しいな、と思うし、地下水路での追っ手から逃げる脱出劇ならサスペンス映画風の演出が欲しい、「第三の男」とか参考にしてさ、と思う。

結果、映像としてつまらない会話劇となっていて、「これリメイクする意味あったの?」という感じなのです。
つまり原作はきっと面白い小説なのだろうけれど、「アニメーション」としては陳腐という結論になってしまいます。

なんとも言えない中途半端感

特に手描きアニメのヒット作とか見ると、「スタッフのノってる感」を感じたりするじゃないですか。
古いアニメですけど、エヴァンゲリオンとか一番最初のガンダムはスタッフがノリにノってる感じがします。
全編でなくても、1話だけでも「やってやるぜ」感があったりしますし。
本作にはそれが一歳ないです。仕事でしょうがなく作っている、という感じすらします。
演出って、「どれだけ手間をかけるか」に近い部分があって、そこにスタッフの熱意とかを感じたりする私としては、そう思ってしまうのです。

なのでリメイクするほど作りたかったのは、スタッフじゃなく、たぶん資本側。なぜか金になると踏んだのでしょう。
でもなあ、リメイクするなら、お金をかけてもっと良くすればいいのに

16年前という中途半端な古さ、そしてリメイクの割には中途半端なお金しかかけてない感、どうしてこうなった?
できることなら制作側の真意と事情を知りたいです。

以上、2024年版「狼と香辛料」の感想でした。

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