関谷麻生

主にアニメについて、キャラ推しとは別視点で感想を書いていきたいと思います。

関谷麻生

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最近の記事

「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」のクオリティを感じて思うこと

ネトフリで「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」を観ました。 面白い。普通にというとネガティヴですけれど、普通に面白い。 ファーストガンダムのオデッサ作戦あたりの時期、ジオン公国側からの視点で描かれた作品です。 3DCG作品でデフォルメが効かないからリアルな感じの画と実写的な映像演出という特徴だけでなく、ガンダムを深く研究されている感じで、映像面以外の演出が様々なガンダム作品から引用されている感じがします。 でも、厳しいことを言うと、「新しい何か」は感じない。 作家性みたい

    • 「山田尚子監督と言ったら『たまこラブストーリー』ですよね」という人は少数派だとわかっております。でも好きなんです。

      今夜のテレビ番組「情熱大陸」、映画「きみの色」が絶賛上映中の山田尚子監督がご出演されますね。 山田尚子監督作品で何が好き?と聞かれたら、きっと「聲の形」ですとか、「けいおん!」であるとか、「リズと青い鳥」と答えるのが普通ですよね。 でも、私は映画「たまこラブストーリー」が死ぬほど好きなんです。 元になったテレビシリーズ、「たまこまーけっと」は、元京都アニメーションの黄金コンビ、山田監督と吉田玲子さん脚本による作品で、ファンタジックかつ人情味のあるほんわかした日常系の物語で

      • 原作が続いているアニメ作品の「おわり」の難しさ −マケインは最終回を2回やった−

        マケインは最終回を2回やった「負けヒロインが多すぎる!」の11話が最終話の作りになっている、という話を前回しましたが、やっぱりこの作品、最終回を11話と12話の2回やった、と考えて良いと思います。 12話は、原作にはないオリジナルストーリーだそうで、しかも原作者が原案。さらに原作小説のタイトル原案がサブタイトルになっているらしい、つまりこれは正式な別ルートエンド。 最後の解釈は受け手の想像に任せる形。それをとても上手な演出と作画で締めくくるという粋なラストで、原作が続いてい

        • 「負けヒロインが多すぎる」11話感想。名言が多すぎる。

          温水君からは8Kに比べて4Kだの、ラッコだの、視聴者からは珍獣だの言われてますけど、それはそれで普段の行いから仕方ない気がしますけれど、実はめちゃくちゃいいやつですよね。八奈見さん。 失敗して落ち込んで、これからたぶん負ける勝負所の友人を察して、こんなこと言える?こんなふうに背中を押せる? そして、負けた後のフォローもする。 負けヒロインという二つ名に相応しくないヒロインっぷりですよ。 一方の温水君も、 と、他人の問題に首をつっこみまくるわりに主人公なのに何もしない、あ

        「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」のクオリティを感じて思うこと

        • 「山田尚子監督と言ったら『たまこラブストーリー』ですよね」という人は少数派だとわかっております。でも好きなんです。

        • 原作が続いているアニメ作品の「おわり」の難しさ −マケインは最終回を2回やった−

        • 「負けヒロインが多すぎる」11話感想。名言が多すぎる。

          「負けヒロインが多すぎる」「逃げ上手の若君」「ラーメン赤猫」に共通する”負け組が主役”

          今期お気に入り作品だったものに「負けヒロインが多すぎる」「逃げ上手の若君」「ラーメン赤猫」があります。そしてその三作品に共通していることがあると考えています。 それはメインキャラクターが負け組もしくは元負け組であることです。 「逃げ上手の若君」に至っては、エンディングの最初のカットが、なんと主人公のお墓。それから敵味方関係なく仲良く宴会をやってます。 つまり主人公の敗北は史実通り決定事項なのです。 そこに「人生短いんだから楽しもうぜ」や「人生の価値は勝ち負けよりどう生きる

          「負けヒロインが多すぎる」「逃げ上手の若君」「ラーメン赤猫」に共通する”負け組が主役”

          非共感ヒロインの奇妙な魅力 「小市民シリーズ」最終話感想

          先日、アニメ「小市民シリーズ」の6話において、主人公の小鳩君と小佐内さんとの関係性について考察したのですが、その後の展開は考察を遥かに超えて、小佐内さんの驚くべきサイコパスっぷりが描かれ、最終話を迎えました。 え〜、こんな終わり方?と思ったら2期が放映される発表がされて、はじめから2期制作前提で作られていたことがわかる最終回でした。 それにしても、 と言って小鳩君を利用し終わったら「別れ話」を持ち出す小佐内さんに、非共感しかないわけです。 彼女は明らかに小鳩君から嘘を見抜

          非共感ヒロインの奇妙な魅力 「小市民シリーズ」最終話感想

          「推しの子」と「SPY×FAMILY」に感じるテンポ感の悪さというモヤモヤ

          アニメ版「推しの子」にモヤモヤを感じています。 いや、面白いんです。とても面白い。 でも2期に入ってからの9話にあたる21話でようやく話の本題に来た感じがします。 なにせ原作は「かぐや様は告らせたい」の赤坂アカ先生ですから、無駄なプロットであるわけがなく、たぶんそこまでに伏線が張られているのだろうとは思うのです。 ならばなぜモヤモヤするのか。 それはテンポ感だと思うのです。 「かぐや様〜」だったら1話もしくは数話完結型のラブコメディでしたので、アニメ化しても1クールでカ

          「推しの子」と「SPY×FAMILY」に感じるテンポ感の悪さというモヤモヤ

          ガンダムの戦闘シーン演出をゆるく考える

          「水星の魔女」とか、最近のガンダムを見て思うのですが、速すぎたりたりだらだらしていて印象に残る戦闘シーンがあまりないなと思いませんか? 一方で、最近、サンライズが昔のアニメを無料配信してくれていて、「ダグラム」とか「バイファム」とか見るのですが、ストーリーが面白くても戦闘シーンがつまらないことが多い。 で、ガンダムを見直したら圧倒的に面白い。 なぜだ? その一例を見ていきたいと思います。 ランバ・ラルが駆るロボット、グフVS主人公アムロのガンダムの対決です。 このバト

          ガンダムの戦闘シーン演出をゆるく考える

          「ラーメン赤猫」 癒し枠だけれど緩くも甘くもない

          個人的に毎期「癒し系枠」があったりします。 頭をあまり使わず、ギスギスも感じず、気を抜いて見られる作品です。 キャラ推しで作品を見られない私はどうしても映像や演出にこだわってしまうのですが、そればかりだと視野が狭くなります。なのでそういう作品も楽しむことにしています。 今期だと「ラーメン赤猫」。 これが絶妙なバランスの清々しい作品だと思っています。 <以下、ネタバレあります> 「猫がラーメン店を営んでいる」というぶっ飛び設定で、笑わせる作品なのかな、と思ったら日常系。 だ

          「ラーメン赤猫」 癒し枠だけれど緩くも甘くもない

          「負けヒロインが多すぎる!」6話 きっとそれは青い春なんて清々しいものじゃなくて

          「負けヒロインが多すぎる!」1話の感想で、「たまにはちゃんとした愛の話を見たいし、それが期待できるな、と思った」と書いた私でございます。 6話を見て確信しました。 これは愛の話だな、と。 6話で完全な負けヒロインになった焼塩さんは強い子です。最後まで泣きませんでした。声優の若山詩音さんの泣くのを我慢しているような演技が胸に刺さりました。 でも、恋愛で勝つのは、焼塩さんのように、強くて、まっすぐで、優しい人ではないと思うのです。 勝つのはエゴを貫き通せる人。ずるいくらいに。

          「負けヒロインが多すぎる!」6話 きっとそれは青い春なんて清々しいものじゃなくて

          音で観るアニメ「小市民シリーズ」6話

          さてはて難しい作品です。「小市民シリーズ」。 すごく繊細な作りです。 推理小説が原作とはいえ、推理は小道具のひとつに過ぎず、ストーリーに盛り上がる展開はない。 楽しむポイントはそこじゃないのでしょう。 それは、横長の独特の画角にも表れています。 映像作品として楽しめ、というメッセージだと、私は受け取りました。 特にこの6話は象徴的な話だと思いました。 なんと一話を通して主人公二人しか出てきません。二人のサシの駆け引きで話が出来ています。 つまり、まさにキャラと声優さんの演技

          音で観るアニメ「小市民シリーズ」6話

          「北極百貨店のコンシェルジュさん」感想 エレガントとノスタルジー、そして…

          西村ツチカさん原作「北極百貨店のコンシェルジュさん」がネトフリで配信されていたので拝見しました。 イラストレーターでもある西村さんの絵をアニメ化するなんて、チャレンジャーだなあ、と思いつつ、実はそれほど期待していなかったのです。 でも良い方に裏切られました。 舞台は動物、しかも特殊な動物を相手にする高級百貨店。 そこの新人コンシェルジュが主人公です。 「百貨店」、懐かしい響きです。 きっと若い方は耳に入れる機会はあまりないでしょう。デパートのことです。 デパートももはや死

          「北極百貨店のコンシェルジュさん」感想 エレガントとノスタルジー、そして…

          「逃げ上手の若君」、抜群の映像世界(6話感想)

          豊作すぎる今期のアニメですが、中でも群を抜いて映像的にびっくりさせられているのが「逃げ上手の若君」です。 本作を最初見た時から、絵の鮮明さや色使い等の美術、巧みな演出等に魅入られてきたのですが、特に6話の絵の想像力については、過去に見てきたアニメの中でも別次元のものを見ている感じでした。 「推しの子」17話における鳴嶋メルトの心象映像も、その想像力に「すごい」と感動したのですが、この「逃げ上手の若君」は、映像が流れている間、ずっとその「すごい」が続く感じです。 ほんのワンカ

          「逃げ上手の若君」、抜群の映像世界(6話感想)

          アニソン起用ミュージシャンの傾向が変わった?

          今期のアニメ、豊作ですよね。 私は色々な作品を追いかけております。 そこで気になった点がありまして。 OP曲、ED曲で、「超メジャー」ミュージシャンが少ないな?と。 King Gnuメンバーとか米津さんとか髭とか。 YOASOBIと羊文学はいるけれど。 代わって、ぼっちぼろまるさんが「逃げ上手の若君」ED曲「鎌倉STYLE」と「負けヒロインが多すぎる」OP曲「強がるガール」で大活躍。 前期の「変人のサラダボウル」でOP曲、ED曲のミュージシャン選びに感心したことを書きま

          アニソン起用ミュージシャンの傾向が変わった?

          「負けヒロインが多すぎる!」1話感想。愛はどこからやってくる?

          先日も書きましたが、妄想キャバクラ系アニメ、多いですよね。 男子に都合が良い美少女が、つまんない主人公を勝手に好きになって、パンツ見せてくれたりおっぱい揉ませてくれたり、メガネかけさせてくれたり、ツンしてデレてくれたりするやつ。 そんなアニメにケンカを売るような作品が出てきました。 「負けヒロインが多すぎる!」です。 妄想キャバクラ系アニメって、まあ疲れたリーマンの癒しだと思っていて、それはそれで良いと思うのですが、多すぎね?とは思うのです。 そんな女の子が都合よく可愛

          「負けヒロインが多すぎる!」1話感想。愛はどこからやってくる?

          「逃げ上手の若君」「負けヒロインが多すぎる!」「小市民シリーズ」に共通する「ノスタルジー」について

          今期、「逃げ上手の若君」のクオリティが異次元で、大感動しています。 演出が際立っているし、美術もとんでもなくハイクオリティ、これでモブまで動いていたらもう映画級。 なにげなく時代を反映して桜がソメイヨシノではなかったり、ほんと細かい。 アニメ製作者の人たちも同様に思っているようです。 気になったのが、「逃げ上手の若君」、ノスタルジックな映像演出があるんですよね。手持ちカメラみたいに画面が揺れていたり、フィルム映画時代の手描きレタリングによるテロップだったり。 蛇足ですが、庵

          「逃げ上手の若君」「負けヒロインが多すぎる!」「小市民シリーズ」に共通する「ノスタルジー」について