AFUL(アフー)Explorer はやや暖色ニュートラルの万能系上級入門機のひとつ #PR
AFUL Audio Explorer レビュー
この度は HIFIGO JP さんより、 AFUL Audio (アフーオーディオ)の Explorer(エクスプローラー・探索者)のご提供を頂きました。
提供であっても音質に関する言及に忖度は無いことをここに明記しておきます。
また音質についての情報のみ必要な方は目次より「音質評価」の項目に飛んでください。
AFUL Audio とは
中国のイヤホンメーカー・AFUL(アフー)は2023年ごろから活躍を始めた、新進気鋭のイヤホンメーカーです。国内の代理店はサウンドアースさんが販売されております。
2023年8月8日(一部家電量販店では8月14日)「PERFORMER 8」「PERFORMER 5」の2製品が日本国内で発売開始されました。
2024年7月30日現在のAmazonでの価格はPERFORMAER5が 33458円で、PERFOMAER8が 56055円 です。
そんな中、AFUL製品としては 19816円 の入門級の価格で登場したのが今回のExplorerという製品の立ち位置になります。
(価格は変動があるため参考価格です)
AFUL Audioという会社は新鋭のメーカーですが、2024年現在、SNS上で熱心なファンを見かけることが多いです。個人的にその理由を考えてみたところ、AFULの公式サイトにある記述や商品の説明を読んでかみ砕いた印象では、いくつかのポイントがあるように思われます。
特に、AFULの持つ音響構造や技術、独自開発のマグネシウム合金ダイアフラムやデュポン社のメンブレン膜を使用した独自開発のBA(バランスドアーマチュア)により実現される音質への期待感が高いように感じられます。
また、音質についても、現状の製品ラインナップではどれもバランスの取れた音質になっており、奇をてらったような音質の製品は開発していない傾向が見受けられます。これらのやや暖色的ニュートラルな傾向でバランス重視の一貫性のある音作りが、オーディオマニアの人たちに好感を持って受け止められているのだと思います。
以下にAFULの持つテクノロジーを紹介します。
SE-Math音響技術
RLC(抵抗・コンデンサ・コイル) 電気音響ネットワーク
複雑な筐体内の音響構造
特許を持つ構造によって、ドライバーと純粋な音の間の不一致を補正し、優れた拡張性とよりクリアな高音のパフォーマンスを備えた、改善された高周波応答を提供。
より細かいディテールを識別し、強化された空気感を体験し、全体的にシームレスな高周波応答を楽しむことができる。
RLCネットワーク周波数分離クロスオーバーテクノロジーは、ハイブリッドイヤホンでの音の分離感を高め、各音域のバランスを最適化
独自の空気圧バランスシステムにより、耳道内の圧力を逃がして快適なリスニング体験を提供
中国のイヤホンメーカーは、一貫性のある音の印象を持つ機種でラインナップを統一しているメーカーは少ないように思います。私が思い浮かぶ中では、MOONDROP・水月雨 (ムーンドロップ・すいげつあめ)やSeeAudio(シーオーディオ)やTanchjim(タンチジム)などがその例です。
多くの会社は、多種多様な音質のイヤホンを自社のラインナップに揃えています。これを多様な開発能力の証と見るか、一貫性やこだわりの欠如と見るかは人それぞれでしょう。しかし、一貫性のある音作りを続けているメーカーには、確固たる音響哲学や信念が感じられるのではないでしょうか。
一貫した音の製品作りを続けている会社は、音に対する明確な哲学や信念を持っていることを想起させます。一貫性のある製品を開発する会社は、イヤホンの発売を乱発せずに、よく開発期間をかけ、煮詰めてたチューニングをした上で市場に出してくれる、という期待もあるでしょう。
AFUL Explorer 開封体験
AFUL Explorer 所感・音質傾向
AFUL Explorerの見た目が美しいのがまず目を引かれます。宇宙を探索するかのようなイメージを想起させるフェイスプレートで、Explorerという名前はSNSの公募で決まったそうです。
非常に良いケーブルが付いてきます。ケーブルの線材などはわかりませんが、4.4mm版と3.5mm版を選ぶことが出来、取り回しとケーブルの音はかなり良いと思います。
私の耳での装着感はSIMGOT EM6Lよりもさらに良好です。付属の青軸イヤーピースは軸がかなり硬いもので、AET07とも違うのですが、近い傾向があります。
2日間常識的な音量のピンクノイズでエージングしたあと、FiiO K7 でWindowsでfoobar2000 WASAPI排他モードで様々な楽曲を聴きました。
音に関しては、特別目新しいという感じはしません。
暖色な響きがあり、モニター系とは思いませんが、若干分析的なリスニングを好む人向けの傾向のように感じました。探索者の名の通り、音楽の中身を探索するようなリスニングに向いているのかもしれません。
高音域は思ったより穏やかで、中域やボーカルはほんの少し遠めに感じました。女性ボーカルと男性ボーカルの質感や距離の差は特に感じませんでした。ボーカルには色っぽさや艶っぽさ、艶めかしさといった要素は感じませんでした。
外耳道の共振はEM6Lよりも共振を感じる気がしました。squig.link で共有されているF特性グラフなどを見るに、外耳道の共振が抑えられていそうに見えたのですが、残念でした。外耳道の内部の共振によって高音域の一部はパラメトリックEQで補正しないかぎりはマスクされてしまいます。
いわゆる超高解像度のイヤホンという売り文句を期待している人が購入すると、解像度の高さについて色々な意味があることを理解するか、もしくはこれは普通の音だなと感じるかもしれません。単に解像度が悪いと感じることもありえます。高音域の強さ自体と音の分離感はそこそこに抑えられているためです。
高音域はやや大人しめですが、多くの楽器や音の音域的な見通しが良いです。音単体の分離はそこそこですし、細かい音が粒子のように微細に出てくる感じもあまりないですが、ボーカルについては私はやや心地よく感じられ、聴き疲れは抑えられます。
一方で空間的な見通しの良さはあまりよくありません。遠くに配置された楽器の音についていうと、Explorerだとある楽器が遠くに配置されていると感じることがあまりなく、近くに聴こえるか、あるいはそもそも聴こえないかであり、楽器の位置関係については誇張やデフォルメがあるように思いました。
それなりにオーディオ経験がある人の方が好みそうで、評価が分かれそうです。音傾向としてはかなり万能に使えるタイプです。悪く言うわけではありませんが、無難です。それゆえ、ポータブルオーディオに入門したての人とっては、より好みが分かれ賛否両論となると思います。
Explorerは価格なりに全ての水準を向上しようとした感があり、工夫されていますが、中途半端な印象も持ちました。RPGで例えると、パラメーターを力や素早さだけでなく運にも均等に割り振ったようなバランスです。EM6Lと印象だけで比較すると、EM6Lの方がもっと無色で透明で、誤解を恐れずに言えばより「つまらない音」ですが、どの音も聴き取りやすく、とても分析的で万能であるため、好みが分かれます。
響きの方は樹脂筐体ですが、共振で酷い音にはなっていないものの、やや響く感じがあります。先日試したVX Pro +などよりは硬い樹脂のようで、響きがモヤっとした感じはしません。中域あたりで曇りではないが樹脂的な空気感がほんの少しだけあり、音の透明さや高音域までの伸びに関してはEM6Lの方が良いと感じます。
筐体を指で抑えてダンプすると響き方が変わるため、筐体は響かせているのが分かります。
AFUL Explorerの方が筐体の響きがあり、よりリスニング用途的でありつつEM6Lの印象とも似た部分も存在していると言えます。
AFULの音は他にはMagic Oneなどしか知りませんが、割と端正な印象がありつつも、柔らかみも重視しているようです。例えばDTMをやっていて耳コピをしたい場合、ExplorerやEM6Lはとても良い選択肢になりそうです。
10年以上イヤホンを触っていない人は、中華イヤホン全般で音に驚くと思いますが、もともとオーディオの経験が豊富な方の一部は、最終的にはこのExplorerあたりが普段ちょうど良いと感じる人がいるでしょう。
レビュアーとして言葉だけで伝えられない限界があるのは歯がゆいですが、高度にバランスを取っているイヤホンゆえに、バランスが合わなければ好みに合わないことになります。
AFUL Explorerは、イヤホンの音のバランスについて好みがある程度分かっている人が購入するものです。私はこの製品を気に入っていません。
このExplorerを好む人の中には、音をさらにねっとり色気を出せたらと思う人が多そうです。そういう人には、Spinfitなどのイヤーピースや希元素のパラジウムを利用したケーブルで、多少低中音域を強化するようなチューニングをすれば好感を持つ人が多いでしょう。
弱点と思える部分は、低音域の音像が筐体全体に散るような感じで、中低音部分だけ音の位置関係が曖昧になる部分がありました。中音域の特性もやや好みから外れていて、少しモヤがかかっているというと違う気もするのですが、明瞭になりきらなく、私の好みではもっと明瞭で透明な方が良いです。高音域ももう少し拡張されていた方が望ましいと感じます。
樹脂筐体の場合には筐体の響きはさらに抑えられている方が私の好みになります。樹脂筐体の中で構造を設計し、響きも制御しているという意図は感じますが、設計者の好みと私の好みが大きく違うのだろうと解釈しました。
私としては暖色系にしても、もっと脚色があってもよいので、聴き心地に特徴を持たせたイヤホンが好ましいです。
生の楽器の音がリアルという評判も目にしましたが、申し訳ないのですが、私にはそのように思いませんでした。かといってEDMのような打ち込み・テクノの聴き心地に優れているかというと、そうでもないと思います。全体的にモヤがかかったような、生々しさや色気がたらず、明瞭感もたらず、微妙です。
総じて言うと、私のAFUL Explorerは私の好みからは大きく外れているイヤホンですが、一部の人は、素のままの楽器や楽曲のリアリティが表現できている…と好感を持つだろうと思います。
もっと端正かつ透明で固い音が好きな人は、私の試した範疇では、金属筐体で価格帯は下ですがMoondrop LANやTanchjim 4Uなどが良いかもしれません。ライバルだと私が思ったEM6Lも万能なリスニングにも分析にも使えるイヤホンで、検討する価値はあります。
個人的にはAFUL Explorerは2万円付近の価格が音だけ見れば高額に感じます。かけられた技術や外観、付属のケーブルや付属物の良さなども踏まえるとこのような価格になるのかもしれませんが、それでもまだ割高感を感じます。
結論は、好きな人はすごく好きかもしれないが、無難な音の製品なのに、好きになる人は選ぶと思います。F特性もよく、暖色・ニュートラルが好きな人の中には熱烈なファンになる人もいる可能性もありますが、レビュアーである私の好みの傾向からは大きく外れるため、どういう方が気に入るのか妥当なことは言えないと思います。
忖度は存在しないため、可能な限り表現が直截的にならないようには配慮しつつ、正直で率直な感想を述べさせていただきました。
AFULに対する非常に高い期待の高さゆえに、より厳しい内容となってしまいました。このイヤホンについては、ご自身で量販店・専門店でご試聴し、試されてからの判断をおすすめします。
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