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がん治療の未来とがん保険

こんにちは!

今回の記事は「がん治療」と「がん保険」について書いています。

日々進化していく医療技術によって、「がん治療」は今後どのように変わっていくのか?
また、がん罹患に対するリスクをカバーする「がん保険」はどのように変わっていくのか?

30秒に1人が罹患し、90秒に1人が命を落としているとも言われる「がん」という病気について解説していきます!


時代は超早期発見へ

昨年、このような記事が出ていました。

東芝が開発した、がんの超早期発見と個別化治療に役立つマイクロRNA検出技術が、「CEATEC AWARD 2020 経済産業大臣賞」を受賞したという記事です。

※ CEATEC (Combined Exhibition of Advanced Technologies):IT技術などの国際展示会であり、新たな価値と市場の創造・発展に貢献することを目的としている。

細胞が分泌するマイクロRNAの血中濃度を測定し、がんを早期発見できる技術だという。

うん、なんとなくすごいことはわかった!
しかし、何がどうすごいのかよくわからない…笑

そこで、がん発見の最新技術を知る前に、まずは「がん」という病気について再度確認しておきましょう。


※この記事では、主に上記の記事と以下の「国立がん研究センターがん対策情報センター」の情報を引用・参考にしています。


「がん」という病気について

現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんになると言われています。

そう!
何を隠そう私自身も実はがん経験者なのです!

まぁ、ここでは私自身の話は省略しますが、この記事を読んくれている方々には、ひとまず今だけでもいいので自分事と捉えて読み進めていただきたいと思っています。

もちろん、年齢や性別によって罹患率に偏りがあるのは事実ですが、がんは全ての人にとって身近な病気であるということは間違いないでしょう。

ちなみに、2017年と2018年のデータでは、上の図のように生涯でがんになる確率は男性では65.5%、女性では50.2%となっており、がんで亡くなる確率は男性では23.9%、女性では15.1%となっています。

平均すると5人のうち1人はがんで亡くなる計算になりますが、これは多いと思いますか?
それとも少ないと思いますか?

どちらにしても、がんになりたいという人はいないと思うので、しっかりと予防をしていきたいところです。

しかし、がんは禁煙や食生活の見直し、運動不足の解消などによって予防することはできますが、それらを意識して生活していても完全に防ぐことはできません

だからこそ、がんについて知っておくことはとても大切なことです。

誰しもががんになる可能性があり、それによって様々なリスクがあることは事実で、それに対して備えが必要であれば「がん保険」に加入するということもひとつの選択肢となるでしょう。

がん保険の詳細に関しては後述します!


がんの発生と進行の仕組み

がんは段階を追って進行していく病気です。
その仕組みを下の図を参考に見ていきましょう。

まず、1番上は正常な組織です。
そこに遺伝子に傷がついた異常な細胞ができ、それが複数でかたまりを作り周囲に広がりやすくなります。
さらに「基底膜」を超えて広がり (浸潤) 、血管などに入り込んで全身に広がり転移していきます。

※上皮内新生物 (intraepithelial neoplasia;neoplasm):遺伝子に傷がついた異常な細胞のうち、上皮内にとどまっているものを、上皮内新生物といいます。
上皮内新生物は、基底膜を越えていないため、多くの場合手術で取り除くことが可能で、転移していることはほとんどありません。
上皮内新生物には、前がん病変と上皮内がんがありますが、両者をはっきり区別するのは難しいこともよくあります。
また、がんの種類によって、上皮内新生物の治療をするかどうかや、治療の方法なども異なります。

がんはこのような仕組みで、場合によっては全身に転移していくということになります。

それでは、ここからは実際にがんになってしまった場合にどんな治療方法があるのかを解説していきます。


がんの3大治療

医療技術の発達により、現在は様々な治療方法が確立されてきていますが、まずはがん治療の基本となる3大治療の内容を押さえておきましょう。


〜手術療法〜
がんの病巣を切除し、その臓器の周辺組織やリンパ節に転移があれば同時に取り除きます。
早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、手術可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。
転移がなければ、完治の可能性が高いことがメリットですが、全身の回復にある程度時間を必要とし、場合によっては臓器や身体の機能が失われることもあるのがデメリットです。

〜薬物療法〜
主に抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。
抗がん剤は血液を通して全身を巡るため、小さな転移などにも効果があります。
脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ感など、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害などのデメリットがある場合もあります。
最近では、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えています。

〜放射線療法〜
がん細胞に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療方法です。
検査技術や照射方法の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能になって、効果は格段に向上しています。
また、照射する部位によっては、一時的に皮膚や粘膜の炎症症状などの、副作用があらわれることもあります。


がんの治療方法は、他にも様々な方法がありますが、何よりも大切なのは、まず自分自身のがんの状態を知ることです。
そして、医師の説明をよく聞き、十分理解したうえで治療方法を選択するようにしましょう。


注目される第4の治療方法

3大治療方法に加えて、近年、第4の治療方法として「免疫療法」が注目されています。

私たちの身体は、体内で発生しているがん細胞を「免疫」という仕組みにより異物として判別し、排除しています。
免疫療法は、その名の通り、私たちの身体の免疫を高めることにより、がん細胞を排除する治療方法で、大きく分けると2種類あります。


①体内の免疫を高める
患者から採取した免疫細胞に遺伝子改変を加え、患者の体内に戻す治療方法です。
免疫細胞のがんに対する攻撃力を高めるのが狙いです。

②体内の免疫の活性化を持続する
免疫チェックポイント阻害薬によって、がん細胞による免疫の働きのブレーキを外すことで、免疫細胞の働きを再び活発にして、がん細胞を攻撃できるようにする治療方法です。


ただし、治療効果や安全性が科学的に証明されている免疫療法はまだ一部に限られています
上記の免疫チェックポイント阻害薬は効果が証明された免疫療法です。

また、効果が証明されていない免疫療法は、治療費が全額自己負担となる自由診療で行われる免疫療法と、臨床試験や治験などの研究段階で行われる免疫療法に分けられます。

自由診療で行われる免疫療法は、効果が証明されておらず、医療として確立されたものではないため、慎重な確認が必要となるので必ず医師に相談し、場合によってはセカンドオピニオンを聞くことも重要です。

さらに、効果が証明された免疫療法でも副作用が起こる可能性があるため、免疫療法は十分に対応できる体制が整っている医療機関で受けることも大切です。


がんの早期発見に向けて

ここまでは様々ながんの治療方法について解説してきましたが、がんは前述した通り、放置しておけば間違いなく進行してしまう病気です。

そのため、現在ではどちらかと言えば、「がんに気付いたら治療を始める」という考え方から、「がんを少しでも早く見つける」という考え方に変わってきています。

もちろん、がんは完全に防ぐことはできませんが、少しでも早くがんを見つけることができれば、リスクが少ない状態で治療を始められるのは言うまでもありません。

最近では、線虫という生物が持つ、がん患者の尿に集まり、健康な方の尿からは逃げるという性質を利用した検査もあります。

手軽に受けられるうえ、ステージ0やステージ1などの早期がんを高精度で検知できるため、「がんの1次スクリーニング検査」に適しています
ただし、がんを診断したり、がんの種類や部位、大きさなどを特定することはできません

そこで、新たな技術として誕生したのが、冒頭でご紹介したマイクロRNA検出技術です。
(ようやく出てきたとか言わないで…笑)

RNAは20個の塩基からなる1本の鎖状の構造であり、DNAと比較して反応しやすい性質があります。
複数種類あるRNAのうちマイクロRNAは、タンパク質合成などを制御すると考えられており、このマイクロRNAの中で特定種類のものを、がん細胞は血液中に分泌します。
この性質を利用して、マイクロRNA検出技術はがんの有無を判定するのです。

この技術を活用すれば、健康診断で採取したわずかな血液で検査でき、がんを超早期発見できる可能性があります

1件あたり2時間で検査ができ、大勢の人を検査できるのも特長で、現時点では以下の13種類のがんを対象しています


マイクロRNA検出技術が対象とするがん
・乳がん
・膵臓がん
・卵巣がん
・前立腺がん
・食道がん
・胃がん
・大腸がん
・肝臓がん
・胆道がん
・膀胱がん
・肺がん
・脳腫瘍
・肉腫


保険適用や各種検診での導入、精度99%から100%へと課題はまたまだ多いですが、この技術がより多くの方々に利用されるようになれば、がんの超早期発見や個別治療がより進んでいくことでしょう。


がんのサバイバー生存率

ここで、がんの早期発見は生存にどれほど効果があるのかを見てみましょう。

以下は男女別のがんのサバイバー生存率です。

サバイバー生存率

サバイバー生存率は、診断から一定年数後生存している者(サバイバー)の、その後の生存率です。例えば1年サバイバーの5年生存率は、診断から1年後に生存している者に限って算出した、その後の5年生存率です(診断からは合計6年後)。

このように、どの部位のがんに対しても、診断から5年後に生存している方でみると、診断時よりも高くなる傾向にあります。

がんを少しでも早く発見して適切な治療を行い、再発や転移を防いでいくことが生存につながっていくのです。


がん保険の役割

ここまでは、がん治療やがんの早期発見に関して解説してきましたが、ここからは、がん保険 (がん保障) について解説していきます。


※ここからは具体的な保険会社名や商品名を挙げることはできないため、一般的な内容の解説となります。
詳細は各保険会社や担当者へ問い合わせるか、約款などをご覧いただければと思います。
また、がん保険の商品としての解説ではなく、がんに対する保障について解説したものになりますので、あらかじめご了承ください。


がん保障と言っても、様々な種類がありますが、その給付金の受け取り方で分けると、主に以下の4つのタイプがあります。


〜一時金支給タイプ〜
「がんの診断確定」、「がんの治療を目的として入院」など、所定の条件を満たした場合に、契約時に指定した一時金を受け取ることができる。

〜治療給付タイプ〜
入院・通院・手術・放射線・抗がん剤など、所定の治療を受けた日数や月数ごとに、契約時に指定した金額を受け取ることができる。

〜月額給付タイプ〜
所定の条件を満たした場合に、契約時に指定した期間内、指定した年金月額を受け取ることができる。

〜実費給付タイプ〜
所定の条件で受けたがんの治療費の実費と同額を受け取ることができる。


また、給付要件で見ていくと、種類はさらに多様となります。
ここでは一部だけ抜粋してご紹介します。


・初めてがんと診断確定されたとき
・がんの治療を目的として入院したとき
・がんの治療を目的として通院したとき
・がんの治療を目的として所定の治療を受けたとき


細かく分けるともっとたくさんありますが、このくらいで…笑

「上皮内がん」が保障対象かどうかなども保険会社や保障内容によって異なります

ただ、がん保障の役割としては、大きく分けると以下の2つでしょうか。


①がんの治療費に対する補填
がんの治療にかかる費用の負担をカバーする。

②がん治療による収入減に対する補填
がん治療によって収入が減ってしまうリスクをカバーする。


よく保険を確率論で語る方がいらっしゃいますが、個人的な見解としては、その事象になる確率が0ではない限りは、「なるかならないか」ではなく「実際になってしまった場合に保障が必要か必要じゃないか」で考える方が賢明かなと思っています。

実際にがんになってしまった場合、ご自身にとって上記の2つがどんな内容で、どれくらいの期間、どれくらいの金額が必要なのか、もしくは必要じゃないのか、一度考えてみるといいでしょう。

しっかりとご自身やご家族のことを考えて想像しても、自分には保障はいらないという場合は、もちろんそれでいいと思います。

ただし、しっかりとプロにも相談したうえで決めることが大切です。


お宝保険になるか!?

これが最後のパートになります。

同業者と話をしていると、しばしばこのような話になることがあります。

「上皮内がんの診断確定で一時金が給付されるがん保険は、今後お宝保険になるかもしれない…」

これはどういう意味でしょうか?

これまで見てきた通り、遅かれ早かれ、これから先がんの超早期発見が進んでいくことは間違いないでしょう。

たとえば、職場で最低でも年1回は受ける健康診断や人間ドックで、簡単にがんが見つかったり、任意のタイミングで検査を受ければ、その場でがんの有無がわかるような時代になっていくかもしれません。

そうなると、今まで以上に早期のタイミングでがんが見つかる人が増えることが予想されます。

「上皮内がん」というのは早期のがんであることがほとんどですから、必然的に上皮内がんで発見されるパターンが増えていく可能性が高く、「上皮内がんの診断確定」で一時金を給付することも同時に増えていきます。

そうなれば、保険会社としては、商品開発時に想定していた以上に給付金を支払わなければいけないかもしれません。

既に成立しているご契約の内容を急に変更することはできないため、保険会社としては「収支相等の原則」を考えると、販売停止という選択をする可能性も考えられます。

そうなると、その後のがん保険の未来は「保障内容は同等でも保険料が上がる」か「保険料は変わらないが保障内容が悪くなる」のどちらかしかありませんし、そもそも、がん保険というもの自体がなくなってしまうということもあるかもしれません。

これは、あくまでも現場の同業者の声なので、参考程度に考えていただけるとありがたいですが、医療技術の進歩によって、これから先は保険の在り方も変わっていくという可能性は大いにあると思います。


まとめ

さて、ずいぶんダラダラと書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

私自身ががん経験者とはいえ、それも7歳の頃の話ですし、物心がついたときには既に全快して健康になっていたわけですから、その頃と今では環境も何もかもが違うので、今の自分ががんになったらどうなのかというのは正直わかりません。

ただ、その経験があったからこそ今の自分があって、その経験から得られたことを1人でも多くの人に伝えていきたいと思い今の仕事をしています。

がんに限ったことではありませんが、いいことも悪いことも、人生いつ何が起こるかはわからないものです。
もちろん、それを自分でコントロールすることはできません。

であれば、悪いことがあったとしても、それを前向きに捉えられる何かしらの備えはどんな人にも必要なんじゃないかなぁ〜と思ったりします。

人生は一度なので、個人的には何があっても後悔だけはしないように生きていきたいといつも思って行動しています。

何事もまずは知ることです。
この記事をここまで読んでくれた皆様が、これから先も素敵な人生を歩めることを願って、今回は終わりたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!