皇室典範についての女子差別撤廃委員会の反応
2016年の国連女子差別撤廃委員会の最終報告の当初案では、皇室典範で男系男子にのみ皇位継承権が認められていることに対して皇室典範の改正を求めていたようですが、日本側が抗議して削除させました。
しかし、今年令和3年9月の女子差別撤廃委員会に対する日本国政府による第9回目の報告では、次のようなやり取りが行われていました。
女性に対する差別の定義及び法的枠組み
委員会側の質問
問2 前回の最終見解(パラ 10、11、12 及び 13)に照らして、また、本条約第1条及び第2条に沿って、国家及び非国家主体による直接的及び間接的差別並びに公的及び私的な差別を含む、女性に対する差別の包括的な定義を導入するために講じた具体的な措置につき情報を提供されたい。
(略)
皇室典範に関し、現在、女性皇族には皇位継承が認められないとする規定が含まれているが、女性が皇位を継承することを可能とするために締約国がとろうとしている手続の詳細を提供されたい。
日本政府側の回答
我が国の皇室制度も諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や伝統を背景に、国民の支持を得て今日に至っているものであり、皇室典範に定める我が国の皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項である。女性に対する差別の撤廃を目的とする本条約の趣旨に照らし、委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない。
https://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/report_9_j.pdf
先述のように、2016年の第7回及び第8回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解(平成28年3月)では、日本政府が削除させたこともあって、皇室典範の改正について言及されていません。↓
https://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/CO7-8_j.pdf
更に、二年後の2018年の女子差別撤廃委員会最終見解に対する日本政府コメントについての同委員会見解(平成30年12月)でも言及されていません。↓
https://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/commission_opinion_j_201812.pdf
第7回及び8回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答を見ても、皇室についての言及はありません。↓
https://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/response_7-8_j.pdf
近年になって、女子差別撤廃委員会が日本の皇室典範に対して関心を強めつつある印象を受けます。
*女子差別撤廃委員会と日本側のやりとりがわかるリンクはこちらから