【カルト問題の難しさ もしも友人がカルトに入っていたら?】

カルトを巡る議論が活発になっています。制度をどうするかというような議論は盛んですが、逆に自分の周りにカルトを信仰している人がいればどう対応するべきなのでしょうか?宗教2世の中には、カルト宗教について、「中立」を装う人に対して厳しい見解を持つ人も存在します。

しかし、2世かどうかは置いておいて、もし自分の近くにいわゆる「カルト」に入っている人がいたとして、どう対応することが正解なのでしょうか?仮に脱会を促すとして、まずはなぜそれがカルトであるのかを合理的に説明しないといけません。論理的に説明もできないのに、なんとなく、適当な気持ちで「カルトだから止めなよ」と言うのは単なる印象操作と受け取られてもやむを得ないでしょうし、「迫害」と受け取られて相手がますます信仰に傾倒する恐れもあります。また、カルトかそうでないかに関わらず、特定の一つの宗教の教義や実態を理解することすら非常に時間がかかります。専門でない人であれば、慎重な人ほど「よく知らないから批判は避けておこう」と思ってしまうのはやむを得ないことでしょう。逆に、先述のように安易にその宗教を批判することは、却って逆効果になります。

私の例をお話ししましょう。宗教ではありませんが、共産主義はカルト的思想で、世界中の共産主義を掲げる国家や政党はカルトだと私は考えています。日本では暴力革命を否定していないと公安調査庁の調査対象で、オウム真理教にすら適用されなかった破防法が適用されていますし、暴力革命が肯定されているなどフランスのセクトの定義にも当てはまるでしょうし、欧州議会ではナチスと同様に批判されているからです。カルトには色々な種類がありますが、その中でもまだ自分が合理的に説明することができる共産主義の危険性について、私はこれまで何度も発信してきました。また、お節介かもしれないと思いながらも、時に共産主義に対してそれほど抵抗感がない知人に対して、その危険性について直接伝えることもありました。中には納得してくれる人もいましたが、理解し合えないことが分かり「考え方の違いだね」で終わったのはまだ良い方で、関係を切られてしまったこともあります。

このように、「カルトに対して中立を装う」ような状況を打破しようと、そのカルトについて詳しく調べた上で、どれだけ合理的に説明をして身近な人から離れるように言ったところで理解してもらえるとは限らないのです。カルト問題について「沈黙」を決め込む人が多いゆえんです。いえ、カルトであろうと何であろうと、最終的にそれを信仰するかそうでないかを決めるのは本人なので、無理矢理脱会させたり思想を変えさせたりするのも考えものです。過去には、カルトから無理やり脱会させる行為が違法と認定されたケースもあります。

果たして、これまで私が行ってきたことは正解だったのでしょうか?私には答えがなかなか出ません。