私と鬱とHIPHOP【20】コロナ・在宅・孤独
2018年の夏に初めて鬱の診断を受け、2度目の鬱の診断を受けたのは2021年の夏。この間の3年間は、実は比較的、順調だった。
継続的に医師のサポートを受けていたのもあるが、公私の充実が大きかった。仕事では徐々に成果を出せるようになっており、社内表彰などもちょくちょく頂けるようになってきた。プライベートでは、無事に娘が生まれた。
そんな中、なぜ2度目の鬱になってしまったのか。結論から言えば、トリガーはコロナ禍に伴う在宅ワーク。それによって生じた孤独感だったように思う。
業務量に関しては、前回の鬱発症要因だったので、意識的に工夫して削減してきた。プレッシャーも、なんとかうまくコントロールできるようになっていたはずなのだが、在宅ワークの孤独感が、このコントロールを難しくした。
社歴も長くなり、表彰などもボチボチもらえる様になった私は、社内のエース…とはいかずとも、中堅プレイヤーとして、そこそこ頼りにしてもらえるようになってきた。そうなると、自然と難しい案件を任されるようになる。
大変だったが、自身の成長も感じられたし、何より頼りにされるのは嬉しかった。プレッシャーもあったが、仲間と一緒に頑張っている。自分は仲間の役に立てているという実感が支えになっていたように思う。
それが在宅ワークで社員間のコミュニケーションが希薄になり、あまり役立っているという実感を得られなくなってしまった。そのくせ、プレッシャーだけはしっかり感じてしまう。
また、仲間と気軽に愚痴を言い合うといった、コミュニケーションによるストレス解消も難しくなっていった。もちろんチャットや音声通話はいつでもできるのだが、なかなかオフィスで顔を合わせているのと同じようにはいかない。
これまでハードな仕事でもなんとか耐えれたのは、皆と一緒に頑張っていると感じられる距離感が、とても大きかったのだと感じた。
とまぁ、こんな状況で、僕は勝手に孤独感を募らせてしまったのだ。そしてプレッシャーからか、だんだんと「自分は本当に会社の役に立っているのだろうか」なんて不安に苛まれるようになってしまった。これには焦りもあった。
というのも私は29歳で入社したので、この時、既に36歳。弊社なら係長、なんなら課長くらいにはなっていてもおかしくない年次だった。
ところが私は出世が遅れていた。私自身があまり出世欲が無かったのもあるが、やはりメンタル面での不安がある中、管理職に挑むのは難しかったのだ。
これも普段なら、そこまで気にしなかっただろうが、孤独モードの私は「この歳でまだ平社員なんて、会社のお荷物なんじゃないか」とか、そんなことまで考え出していたのである。
結論から言えば、これらは完全な被害妄想だった。弊社では社員同士、お互いの成果物に対して満足度をリサーチしているのだが、私のスコアは、なかなかに上々なものだった。
だが、もう孤独モードに入ってしまった私には、そんな数値上の事柄は全然、効かなかった。結果として私は徐々に、再び不安感・緊張感といった症状に悩まされはじめた。
加えて今回は、発熱などフィジカル面の不調も顕著に出た。子どもが保育園から風邪をもらってくるというのもあるが、加齢と、在宅ワークによる運動不足で体力が低下していたこともあると思う。これには結構、参った。
何度か上司に相談に乗ってもらってはいたのだが、孤独・不安・体調不良の三拍子は、私のメンタルをジリジリ削っていった。
そして私は、2度目の鬱を発症し、また少々お休みをいただくこととなった。
ただ正直に言って、今回はもう2度目なので、何か悟りに近い部分もあった。もうこれは、僕の体質みたいなもんで、一生付き合っていくしかないものなのだ。3年に1度くらいの頻度なら、仕方あるまい。今回も1ヶ月も休めば、まー治るでしょうとたかをくくっていた。
しかしこの油断が、後に人生最大の…そして現在進行形で発症中の3度目の鬱を誘発することになってしまうのだった。
続く…
【4th AL / トウビョウキ】
◆02.11(Sat)on DL・Streaming
◆ALL Words by MCアスベスト
◆ALL Prod. by kf13
-聴く、精神安定剤。うつ病のピークだった半年を切り取った闘病記-
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