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私と鬱とHIPHOP【21】ラップとの再会

話はやや遡って、2回目のうつ診断を受ける2021年夏の少し前。2020年冬~2021年春頃の話をしようと思う。ラップとの再会だ。

というのも、ラッパー・アスベストとして、久しぶりに仕事のオファーが来たのだ。具体的には2件ともインタビューの仕事だった。

1件はMC正社員くんから来た案件、1件はDr.マキダシさんから来た案件。いずれもテーマは、ラッパー稼業を退いた人間のセカンドキャリア&思い出話といった感じだった。

正直「なんで今さら、僕なんだろう」という思いはあったものの、これらの仕事は僕にとって嬉しいものだった。

というのも、仕事の方でややメンタルダウンが始まっていたからだ。職場以外の人と触れ、職場の外にも自分の世界はあるのだということを、切実に実感したかった。

結果として、2021年・夏にはうつでダウンしてしまうわけだが、このインタビューの1件以来、私はラップ活動の再開を密かに決心していたので、お休み期間中にすることには困らなかった。ちょうど、戦慄MCバトルへの出場オファーも来ていたので、これをキッカケに、制作活動を再開することにした。

この制作活動は2回目のダウン>復活>3回目のダウン(2022年2月現在)に至るまで継続中である。この記事を書いている時点で、2021年7月から毎月1曲のペースで新曲を配信リリースしている。

この制作活動は自分にとって、自己セラピーという点で大変、役に立っている。というより、ここでラップを再開していなかったら、僕の心は現在よりさらに落ち込んでいただろう。改めて正社員くんとマキダシさんには感謝である。

自分の世界をいくつか持っておく…というのは、病みやすい人間にとってはとても大事なことなのではないだろうか。逃げ場の無い人間は壊れやすい。視野狭窄になってしまう。

またぞろ、ラップ活動を再開したら、他のラッパーへの嫉妬などでストレスが再発するのではないかという心配もあったが、意外とそうでもなかった。もちろんゼロではないのだが。

今回の音楽活動は、若かりし頃のそれとは違い、あくまでライフワークの一環。僕はその目的をしっかり設定し、イヤな気持ちの芽が出てきたら、この目的に立ち戻れる様にしている。

結果として、必要以上に功名心などに心を駈られず済んでいる。これはある意味で成長ではないかなと思っている。もちろん功名心自体を悪く言っているのではなくて、自分にとって必要なもの、不要なものをしっかり腑分けできているという点が、ここでは大事なのだ。

それにしても、やはり創作は楽しい。

仕事で顧客の注文に応じて行うモノづくりにも、それはそれで楽しさがある。しかしながら、自分の思いの丈を、自由に吐き出すという行為に、私は飢えていた様に思う。

活動再開からまだ1年も経っていないが、今度こそ自分のラップを大切に育んでいきたいなと思う。自分の人生の松葉杖を見つけた気分だ。

願わくば、私と同じように生きづらさを感じている人々と、私の曲を通じて何かしらを分かち合えたのなら、こんなに嬉しいことはない。

さて、次回の記事では、いよいよ3回目のダウン。私の現在・近況についてだ。アニメ制作が、いよいよ原作に追い付いたという感じだろうか。徒然なるままに語りたいと思う。

続く…

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-聴く、精神安定剤。うつとの闘病で考えた、生きる意味とヒント-

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