雑記:八角三重塔
長野県上田市の別所温泉周辺は「塩田平」と呼ばれ、鎌倉時代中期にこの地に隠棲した北条義政、およびその系統である塩田流北条氏ゆかり古寺が多く、「信州の鎌倉」とも通称される。
特に、大宝寺や前山寺など三重塔の建築に見るべきものが多いが、中でも別所温泉の温泉街にある安楽寺の三重塔は、日本で現存する唯一の木造八角三重塔として国宝に指定されている。
安楽寺は塩田流北条氏の庇護を受けて栄えたが、開山の樵谷惟仙は南宋に留学した僧侶で、そのために大陸の影響を受けた八角形の塔が造立されたのであろう。
鎌倉時代の寺院には南宋からもたらされた禅宗様式の建築が多く採用されているが、それ以前から大陸では北宋や契丹の寺院で多角多重の仏塔が盛んに造立されており、現在も多くの塔が現存している(下の写真は、そのうちの一つで、北京市の天寧寺に現存する契丹時代末期の十三重の塔)。
日本でも平安時代末期以降、多角多重の仏塔が造立されたが、その多くは現存していない。
京都にも白河上皇が造立した法勝寺の八角九重塔があり、京都市中京区の京都アスニー(生涯学習センター)内の「平安京創成館」にて、復元模型を見ることが出来る。
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