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世界三大旅行記

"世界三大旅行記と言えば、一般には『大唐西域記』『東方見聞録 』及び『入唐求法巡礼行記』の3つを指します。ただしこれらはいずれも東アジア地域を主な舞台としていることから、「東アジアの三大旅行記」と呼ばれることもあります。

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大唐西域記

『大唐西域記』は、唐の時代の中国僧・玄奘が著した書物です。成立したのは、西暦646年とされています。

仏教の研究には原典に直接当たることが重要だと考えた彼は、途中で仏跡の巡礼も行いつつ、当時の王都であった長安から仏教のふるさとであるインドを目指しました。

そして足かけ16年にもわたる長旅の末、数多くの経典を携えて再び長安に戻ってきます。

『大唐西域記』には、その旅の途中で訪れた各国の風物などが記述されています。ちなみにこの書物を下敷きにしてフィクションを加えたのが、かの有名な『西遊記』で、登場人物である三蔵法師は玄奘をモデルにしています。

東方見聞録

『東方見聞録 』は、ヴェネツィア出身の商人であるマルコ・ポーロの手になる旅行記で、1271年から20年以上続いた旅の記録です。

モチーフとなっているのは現在の中東地域から中央アジアを経て中国に至る旅ですが、実際には訪れていないものの旅の途中で見聞きした各国事情の記録なども書かれています。

中でもよく知られているのが「黄金の国ジパング」に関する記述ですが、これはマルコ・ポーロが中国の王朝に出入りしていた際に耳にした、日本に関する噂話が基になっているとされます。

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入唐求法巡礼行記

『入唐求法巡礼行記』は、日本人僧侶である円仁の手になる旅行記です。

円仁は9世紀の前半から半ばにかけて活動した仏僧で、838年に遣唐使の一員として唐に渡りました。

『入唐求法巡礼行記』にはその旅の過程が日記体で記されていますが、仏教に関するさまざまな記述のほか、現地の風習なども観察されており、当時の中国社会を知る貴重な史料としてその価値を高く認められています。

20世紀に入ってから英訳され、海外でも広く知られるようになりました。"

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