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パーマカルチャー発案者の一人を訪ねに in オーストラリア

日本から大切な友人がメルボルンに来てくれた。

日本でパーマカルチャーワークブック「みんなのちきゅうカタログ」を仲間と共に作った梓さんと息子のたら。一緒に暮らし、近所に暮らし、たくさんの時間を共に過ごした2人が海を超えて遥々来てくれた。
この二人と過ごす時間は、パーマカルチャー尽くしにしたいと思って、二人が滞在中いくつもの場所に訪問してきました。

私はメルボルンに住んで約8ヶ月経つのに、この1週間が一番メルボルンを感じた1週間だった気がする。
それくらい濃ゆい日々でした。

まず一番最初に訪ねたのは
パーマカルチャー発案者の一人David Holmgren(デビッド・ホルムグレン)のフィールド「Melliodora(メリオドーラ)」

メルボルンから車で2時間もかからない場所Hepburn Springsにあるこの場所のオープンデイに参加してきました。


ビル・モリソンと共にパーマカルチャーを築いてきたデビッド。
タスマニアからこの地に移り、約30年かけて創ってきたこの場所はデビッドとパートナーのスーの想いが詰まったとても豊かな場所でした。

Melliodoraの前に来ると、デビッドが家の前に立ってて、車を停める場所を教えてくれた。彼の落ち着いた声や表情に、少し緊張していた気持ちが和らぎ、スムーズにこの地に馴染むことができた感覚。


この日デビッドが一番多く話していたのは、このお家のこと。
彼がこの家のデザインにどれだけ想いとエネルギーをかけて作ったかが伝わる。
パッシブソーラーのシステムを取り入れたお家。

パッシブソーラーとは、太陽などの自然エネルギーを建築に取り入れて、夏は涼しく、冬は温かく過ごせるように作られたデザインのこと。

この日は35度超えるほどの猛暑日。
最初の2時間くらい外で話を聞いた後に家の中に入ると、そこの涼しさに感動!!
エアコン入ってる?と思うほど涼しく、けどエアコンほどの体が芯から冷えてしまうことのない、ほど良い快適な温度。

部屋の前にあるグリーンハウス。ここで太陽のエネルギーをキャッチし、リリースする場所の一つ。さらに植物が育つ場所。



いわゆる電気の通った冷蔵庫はなく、地下から冷たい風が通るシステムのある冷蔵庫(パントリー)があり、牛糞と藁を混ぜて作った煉瓦で建てられた壁、地元の材木を使った建築、あえて北向きにお家を建て、太陽のエネルギーをキャッチし、キープ、リリースできる設計。

家の周りには、ぶどうやキウイなどのツル系の果樹が植えられて、夏は日陰になり、果物を作り、冬は葉を落とすから家を温められる(ぶどう)。
キウイは西側に植えて西日を避け、その周辺にはフェジョアやプラムなどたくさんの果樹が植っていて、デビッドは一つひとつの果樹が生み出す微気候について説明してくれた。


グリーンハウス前。ワークショップエリア


たらが木の実を見つけて、デビッドにこれは何かと聞いたとき。何度も聞きに行って、その度にデビッドは優しく教えてくれた。これは松の実。

オーストラリアは、山火事が一番深刻な自然災害。
これに備えたデザインをすることが大事だとデビッドは強く説明してた。
(当日参加してた人のほとんどがオーストラリア人)
私が理解した中では、高く育つ木は家の周りに植えない、家の周りは出来るだけ低めの木を植えることが重要だそう。
日本でも、もちろん山火事があるけど、それよりまず地震や台風対策の方が必須なのかなと思った。
デザインをしていく上で、その土地の特性を理解することが大切。


ゾーン1にあたる畑エリア


Melliodoraには、デビッドとスー以外にも数人のワークエクスチェンジがフィールド内の二つの小さなお家に滞在し、デビッド達と共にこのフィールドの整備をしているそう。その二つのお家もどちらも素敵。


ここも同じくパッシブソーラーのシステム。デビッドのお母さんが住むために建てられたそう。


ここのお家の説明聞きそびれた


このフィールドで一番古い木は多分これだろうと紹介してくれたのがこのナシの木。
ナシってこんなに大きくなるんだ、とそこから驚き。


デビッドがこの土地を買った時は、野生のブラックベリー(外来種)で覆われて、それを取り除くのが大変だったと話していた。
やっぱり最初の一歩が一番ハードル高く、エネルギーも使うのか。

そのあとは、たらとの遊びで夢中になり、あまりデビッドの話を聞かなかった。
たらとここで遊べたのも何よりも楽しかったな〜〜

ツアーの最後にデビッドと直接話す機会があって、これからパーマカルチャーをベースに子ども達と関わる活動をしたいんだと話し、二つの質問をした。

一つ目は、「今デビッド一番熱中してることは?」
「木を植えることかな。このMelliodoraは大体の場所に木を植えて、今はその作物を採って活用することがメイン(活用するのは主にスー)だけど、最近は仕事でもっとスケールの大きな木を自治体が管理する場所に植えることが出来ている。それが今は楽しいよ。」と話していた。

いつかまた日本にも来てね、と言うと「僕はもう海外には行かないことにしたよ。自分のできることを地元に還元していきたいんだ。ここだけでも十分仕事があるしね。海外はオンラインで繋げられるし。」と言ってた。そうか、もう海外に行く気はないのか!なおさら今会いに行ってよかったと思った瞬間だった。


ナシの木の下でのお話。デビッドの後ろに座ってるたら。これぞ未来へのバトンや、と勝手に興奮してた

二つ目は、「今の子どもたちに向けて話す機会があるとしたら、何を伝えたい?」
「冒険(exploring )することだね。大人たちの世界から離れて一人や友達と遊び、決められていない遊び(unregulated play)をして、それもエレメントベース(土、木、火、水、風)がいいね。子どもたちの遊びって、破壊と再生で出来てるよね。子どもたちがやる破壊って小さなものじゃん?今大人達がやってる破壊に比べたらとっても小さなものでしょ?子どもの間にそれをいっぱい繰り返すことがすごく大事だと思うんだ。自然の中での遊びはもちろんリスクが伴うけど、子ども達にはたくさん自然の中で冒険をしてほしいね。」と話してくれた。
パーマカルチャーというひとつの文化、デザイン手法を作り上げ、世界中に広げる活動をしてきた先駆者からの言葉に感動して泣きそうになった。

彼の優しさや落ち着きさ、パッション持って続けてきた活動、ほんの数時間しか共にしてないけど、ここまで会いに行って本当によかったなと思えた時間だった。



こうしてこの日に見たもの感じたものを文字に起こし、届く人には届くようなきっかけになればいいな。
ここからまた自分はどんな選択をしていくだろうか、そんな今はわかりもしないことをふわふわ考えながら、今日も生きていきます。


Have a good day!!


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