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スペイン旅)グラナダ)イスラム文明との交差点と出会い

スペイン南部、グラナダを訪れました。イベリア半島のイスラム勢力最後の拠点として名高いのアルハンブラ宮殿だけではなく、イスラム教とキリスト教の文明が交わる交差点として、色々な出会いがありました。

スロバキア人アーティストとの出会い

アルハンブラ宮殿の外観の全景が見える、サンニコラス広場で出会ったのはスロバキア人アーティストのグレゴールさんです。冒頭の画像は、彼による宮殿のスケッチです。不思議な魅力を感じて買いました。

写真ではどうしても全景を捉えることができませんが、スケッチならそれが可能ですね。写真では捉えきれない宮殿への憧憬が不思議と伝わってきます。

彼はスロバキア出身で、スイスの美術大学を出た後に、グラナダを拠点に活動しています。なぜグラナダにいるのか聞いたところ、「色々な人が集まるこの場所はたくさんの刺激を受けることができる。昔からそういう場所でしょ?」との答えが返ってきました。納得です。

イスラム教徒にとっての「楽園」

訪れたのは15世紀に造られたイスラム様式の庭園です。邸宅の中には水をたたえる長方形の池があります。庭には緑が茂ります。

イスラム教徒にとっての夢は楽園に住むことでした。そしてその楽園とは、砂漠の民であった彼らが日常にないものがそろっていることが条件でした。それが豊かに流れる水であり、果実が実る木々でした。

こうした水と緑への憧憬を、グラナダのイスラム様式の建築はよく表しています。

イスラム様式の邸宅、中庭に池


イスラム様式の邸宅、上から
イスラム様式の邸宅、緑が茂る

邸宅の中のアーチには、細密な模様の透かし彫りが綺麗に並びます。これは偶像崇拝を禁じた、イスラム教ならではの特徴です。(キリスト教の大聖堂ではキリストや聖人をかたどった絵画や像が並ぶのとは大きな違いです)

細密なアーチの透かし彫り

こうした池をたたえた中庭は、ほかのイスラム様式の邸宅にもみられる共通点です。

こちらの邸宅の中庭にも長方形の池が

アラブ式浴場・星の天井

近くにはアラブ式浴場の遺構もあります。11世紀に造られたとされ、もっとも保存状態のよいエル・バニュエロの浴場です。こうした水を使った浴場も、キリスト教文化のヨーロッパにはなかなかないものです。

アラブ式のエル・バニュエロの浴場

天井には星形の開口部があります。ギリシャやローマの流れを汲んで、イスラムの天文学のレベルは当時キリスト教をはるかに超えていたといわれています。こうした天文への関心を物語っているようです。

天井の開口部は星形のデザイン

イスラム教勢力の最後の拠点として、ヨーロッパのスペインにありながらも様々な文化の交差点となっている様子を感じ取ることができました。


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