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イギリス旅)グリニッジ③海上でも正確に動く時計を発明して経度を割り出そう!

世界の経度0度を示す本初子午線の存在で有名なグリニッジを訪れています。前回の記事では、航海の海上では自船の東西の位置(=経度)を見つけるのが困難で、グリニッジの天体観測で見つけようという試みが挫折したことをお伝えしました。ここでもう一つの試みがなされます。

時計の博物館となっているグリニッジ天文台

グリニッジ天文台を訪れると、時計の博物館となっているのがわかります。冒頭の写真は天文台の中庭にある日時計で、2頭のイルカの尾ひれの影が現在の時刻を示しています。なぜこの天文台には時計が目立つのでしょうか?

海上でも正確に動く時計を発明して経度を割り出そう!

小見出しの通りですが、経度を割り出す方法として、海上でも正確に動く時計の発明が奨励されました。地球の外周は360度です。もし出発地の時刻と、現在の海上の時刻の2つを把握して、何時間のずれが生じているかがわかれば、360度➗24時間=15度ですので、1時間のずれあたりどのぐらいの経度が動いたかがわかる寸法です。

でも問題は海上が波で揺れることです。当時の振り子時計では、正確に時が刻めないのでズレが生じてしまいます。

これを解決するために、英政府は1714年に2万ポンドという巨額の賞金を出して、海上でもズレない時計の発明を奨励しました。

ジョン・ハリソンの4度にわたる時計の発明・改良

これに答えたのがジョン・ハリソンという男でした。彼は1736年に新たな構造の時計を発明します。

ジョン・ハリソンが発明した初代の時計

この初代の時計は、当時としては最も正確な時計でした。ハリソンは時計をテストするためにリスボンを出港し、ひどい船酔いに悩まされながらも、時計の正確性の証明に取り組みました。ただ賞金2万ポンドを得るほどの正確さはありませんでした。

でも、ハリソンはあきらめません。2番目に発明したのがこの2番目の時計です。やっと250ポンドを手に入れました。

ハリソンの2番目の時計

さらに改良を重ねたのがこちらの時計です。計700ものパーツを駆使して作られました。

ハリソンの3番目の時計

最終的には、ハリソンは4番目の時計となり、さらなる小型化に成功した懐中時計を発明します。1763年の実験では6週間の航海で誤差はわずか5秒という結果が得られました。こうして1773年に2万ポンドもの賞金を得ることができました。

こうして航海技術を高めたイギリスは、海洋帝国としての道を大きく歩むことになります。

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