新科目「歴史総合」入門(1)
■歴史総合ってどんな科目?
2021年、高校に新しい科目が加わりました。
「歴史総合」です。
日本史と世界史をあわせた科目。
日本史と世界史を同時に学ぶ科目。
世界史的な視野で日本史を学ぶ科目。
よくそんなふうに説明されますよね。
また、そもそも『学習指導要領』では、科目の目標がつぎのように説明されています。
ほかにも、資料を読み解き、比較やつながりなどに注目しながら「概念」を用いて考察、議論をしたり、課題を見つけ解決したりする、といったことが挙げられていますね。
難しいはさておき、私は歴史総合という科目を、つぎのように言い換えることができると思っています。
日本史と世界史をあわせることで、
この世界の「しくみ」の変化をたどり、
「私たち」の謎を解きあかす科目。
ここで重要なのは、資料を通して歴史に触れながら、「問い」を立てることです。
どうしてそんなことが起きたんだろう?
なぜ当時の人たちはそんなことをしたんだろう?
そうやって、それぞれの時代の人々が置かれていた課題をとりあげながら、「問い」を積み重ねていった先に見えてくるのは、「私たち」の社会が、どのようにして今ある形になったのかというストーリーです。
■3つのしくみの変遷から歴史をみる
とはいえ、「世界史と日本史をあわせる」といっても、卑弥呼や古代エジプトの時代にさかのぼるわけではありません。
18世紀後半以降の時代を舞台とし、日本史と世界史をまたぐ3つのしくみの出現と変遷を追っていくのです。
とはいえ、それ以前の世界が、どのような状態であったのか、まったく知らないと困りますから、冒頭では「18世紀の世界」を扱う部分があります(じつはこの部分が、歴史総合のストーリーにとって、大切な ”伏線” となるのです)。
その上で、18世紀後半に現れる3つのしくみは、
①18世紀後半〜
② 20世紀はじめ〜
③ 20世紀なかば〜
の区切りをだいたいの目安として、時代を追って順番に作動していきます。
【図】 3つのしくみ
1つ目のしくみは「近代化」、2つ目は「国際秩序の転換と大衆化」、そして3つ目が「グローバル化」です。
2つ目のしくみが作動しはじめても、1つ目のしくみも形を変えながら残されます。3つ目のしくみが現れるときも、1つ目と2つ目のしくみは動き続けています。
そしてそのような経緯を経たからこそ、「現代の私たち」やこの世界が、いまのような形になっているのです(注)。
いったい何をいってるのかよくわかりませんよね(笑)
ともかく、とりあえず次回から順番に、3つのしくみの変遷をたどり、「私たち」の謎を解き明かす旅へと出発しましょう。
このたびはお読みくださり、どうもありがとうございます😊