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2023年3月の記事一覧

シナリオプランニングが生んだ老舗企業の変化/まちづくりプレイヤーに聞くvol.3

はじめに/シナリオプランニングと二拠点事業者について「シナリオプランニング」とは、パンデミックや物価上昇など先が見えない時代に生きる今、このような環境変化に振り回されることなく、不確実な出来事をチャンスに変えていくための手法のこと。起こり得る不確実な未来のシナリオを設定し、それに対する分析や戦略を検討していくステップを経験することでより鮮明な未来を描くことができるというもの。 今回二拠点事業者としてシナリオプランニングを主導し、ラコームの企業成長サポートを行った講師は山本彩

本屋は無駄を売っている

なぜ、人は余計な本を買っちゃったって嬉そうに話すのか?日経新聞の記事によると、アメリカでリアル書店復活の兆しがあるんだとか。ちょっと、嬉しいニュースです。リアル書店の価値は「買うつもりのなかった本を買ってしまうこと」。本屋に入った時は買うつもりのなかった本を、レジに並んでいるときに手にしているって経験、みなさんにもありますよね。 人はいろんな欲望を持つけれども、不器用だからその欲望を自分で言語化することができない生き物です。そして自分の欲望は、自分で気づくより、他人に教えら

気候変動やテクノロジーがもたらす未来予測を映像化した新作ドラマ『エクストラポレーションズ〜すぐそこにある未来』

気候変動問題に関し、重要で将来に渡って危機が訪れる可能性があると言われているものの、なかなか自分ごととして感じにくい、考える機会が少ないとよく言われます。 先日3月20日には『国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)』による第6次統合報告書が公表されましたが、野球のWBSが開催中で日本代表チームが優勝に向けて大活躍していた頃でもあり、気候変動の危機や必要な対策に関する関連報道を目にする機会も少なかったかもしれません。 ちょうど同じ頃、3月17日に動画配信サービスの「

歴史総合入門(7)2つ目のしくみ : 戦争が変わり、社会や国際秩序が変わる

■国際秩序の転換と大衆化 20世紀の初めからは、2つ目の「しくみ」がうごきだします。 18世紀後半にイギリスではじまり、次第に世界中にひろがっていった「近代化」のしくみも、同時進行で存続しますが、ある3つの変化をきっかけに、2つ目のしくみ(国際秩序の転換と大衆化)が作動する、というイメージです。 ■変化① 総力戦 1つ目の変化は、総力戦という、第一次世界大戦(1914〜1918年)にはじまるまったく新しい戦争の形です。 どのような点が新しかったのでしょうか? そも

新科目「歴史総合」入門(4)グローバル化

■3つ目のしくみ「グローバル化」 いよいよ最後、3つ目のしくみは「グローバル化」があらわれる20世紀半ばの時代をみていきましょう。 前回みたように、戦争が終わると、今度はアメリカとソ連の2つの世界に引き裂かれましたが、2度の世界大戦を通して縮小していた貿易や交流は、以前と比べれば回復に向かいます。 ソ連とアメリカは、それぞれの掲げるイデオロギーのもとで、世界をひとつにまとめようとします。 人々は、生活水準を高める憧れを抱き、どちらかの陣営に参加し、よりよい人生をおくる

新科目「歴史総合」入門(3)新しい国際秩序と大衆化

20世紀初め、1つ目のしくみである「近代化」に、さらに2つ目のしくみ「新しい国際秩序」と「大衆化」が加わります(注)。 この転換のきっかけとなった第一次世界大戦は、先ほどの帝国主義がエスカレートしたことにより起きた総力戦でした。 総力戦とは、国が国内のすべてのヒト、モノ、カネを動員しなければ勝つことのできなくなった、まったく新しい形の戦争のこと。 1つ目のしくみが持っていた「ひとつにまとめようとする力」がアップデートされ、人々が”自発的”に参加しようとする仕掛けが、いろ

新科目「歴史総合」入門(2)近代化と私たち

■近代化における「2つの力」 1つ目のしくみは「近代化」です。 18世紀後半の欧米諸国ではじまり、世界にひろがり、現代の私たちにも影響を与え続けています。 「近代化」のしくみにおいては、2種類の力が作動します。 ひとつは国が、さまざまなヒトやモノを「ひとつにまとめようとする力」、 そしてもうひとつは、自由主義、民主主義、国際主義のように、束縛から逃れ「自由になろうとする力」です。 日本では19世紀後半に明治維新がおき、”富国強兵” をスローガンとする改革がすすんで

新科目「歴史総合」入門(1)

■歴史総合ってどんな科目? 2021年、高校に新しい科目が加わりました。 「歴史総合」です。 日本史と世界史をあわせた科目。 日本史と世界史を同時に学ぶ科目。 世界史的な視野で日本史を学ぶ科目。 よくそんなふうに説明されますよね。 また、そもそも『学習指導要領』では、科目の目標がつぎのように説明されています。 ほかにも、資料を読み解き、比較やつながりなどに注目しながら「概念」を用いて考察、議論をしたり、課題を見つけ解決したりする、といったことが挙げられていますね。

きっといつか、忘れてしまう──30万字超の全文をウェブサイトで公開する理由

回想録『わたしは思い出す』は、このたび特設ウェブサイトを更新し、いつでも本書の全文を試し読みしていただけるようになりました。これまでにも、有料で頒布している書籍をウェブで無料公開している事例はありました。では、この『わたしは思い出す』をウェブサイトで全文公開することにはどんな意味があるのでしょうか。無料であることは、何のためでしょうか。ここでは刊行を経た現時点での備忘録として、私たちの考えていることを記してみようと思います。 1000名の読者への届き方を想像する「本をつく

小池陽慈著『現代評論キーワード講義』&『評論文読書案内』の使い方 【歴史総合編】

結論。小池先生の著作は、高校の地歴公民科の授業で使いやすい! ということで、わたしなりの紹介として、発売されたばかりの『現代評論キーワード講義』(三省堂、2023)に加え、『世界のいまを知り未来をつくる評論文読書案内』(晶文社、2022)を合わせて、使い所を整理してみました。ジグソー学習などのワークシート等で引用したりする際にも、便利であるとおもいます。 読むキーワード辞典というジャンルでいえば、今村仁司の『現代思想を読む辞典』がパッと浮かびます。受験生向けという点では、

【いまどきの世界史教科書?】表記が変わった用語

前回にひきつづき、新科目・世界史探究の教科書(山川出版社『詳説世界史探究』)において表記の変更された用語を紹介します。 (旧)は最新版の『詳説世界史B』の索引項目で、(新)はそれがどう変化したかを示しています。 変更の理由は学説の変化によるものもありますが、その文字ほんらいの音や現地語の発音に忠実なものとするための措置も少なくありません。 マホメットと呼ばれていたイスラーム教の開祖が、1990年代以降は原音に近い「ムハンマド」に変更されたように、ヨーロッパ以外のアジア、ア

大江健三郎論を公開します

自分にとって、最も影響を受けた表現者です。 2014-5年(22-23歳)に、いぬのせなか座の立ち上げと並行して書いた大江健三郎論の全文を以下に公開します。 初出:『いぬのせなか座1号』いぬのせなか座、2015年 レイアウトと絡むところもあり、紙面PDFとなります。 見開きと単ページ、いずれも内容は同一です。 要旨は以下。 自分にとって大江さんは、「いえの近くのあのあたり出身の有名な作家」であり、子どものころからなんとなくの親しみを持っていました。 『水死』発売時に

カレー屋立ち上げマニュアル①~カレー屋ケプリの内部のスケッチ~

   このかもカフェの一連のnoteでは、兵庫県川西市でのくきたふみや(https://twitter.com/fbtfumiel)によるカレー屋を中心とした地域活性化のプロジェクトをご紹介して来た。くきたは2018年の7月7日に川西能勢口駅前でカレー屋を開業し、その活動に共鳴する人たちが、これまでに多数のカレー屋を全国で開業してきた。元々はくきたの友人であるえらいてんちょう(https://twitter.com/eraitencho)が巻き起こした「しょぼい起業」という

『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』の読み方!!

世界史講師のいとうびんです。 ……さて、のっけから私事で恐縮ですが、 この度! 2023年3月23日! 自身初となる単著、 『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』 が発売となりました!! 自身初の単著・単行本ではありますが、今までの歴史入門書にはあまり見られない内容となっています。 というのも、いくつか野心的な試みも盛り込まれていまして…… というわけで、 今回はこの『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』を、 さらにもっと楽しむための「読み方」をご紹介しま