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"今"と"過去"をつなぐ世界史のまとめ

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2024年1月の記事一覧

【共通テスト2024解説】 アレクサンドロスをどう見るか?

1月13日に実施された2024年度の大学入試共通テストで、アレクサンドロス大王に関する問題が出題されました。 世界史Bの共通テストは次の追試験の問題で最後となります。 まだすべての日程が終わらず、そわそわしているところですが、次年度からはじまる世界史探究の共通テストの方針をうらなう上でも、気になる出題でしたので、そわそわの紛らわしにピックアップしてみます。 結論から言えば、おそらく、作問のベースにあるのは、森谷公俊氏の著作です。 以前からアレクサンドロス大王の扱い方はその評

ニッポンの世界史【第10回】:京都学派の世界史(その1)

京都学派とはなにか  京都学派とは一般に、京都帝国大学を拠点とした西田幾多郎と、その後継者である田辺元、さらにかれらの弟子たちを総称した呼び名です。  西田と田辺を受け継いだ第二世代のうち、哲学者の高山岩男、西谷啓治、高坂正顕、さらに西洋史家の鈴木成高の4人は「京都学派四天王」と呼ばれることもあります。  彼らの共通点は、仏教的な概念と西洋哲学の概念を重ね合わせて、西洋近代を批判し、西洋中心主義をのりこえた新しい「世界史の哲学」を構想しようとしたところにありました。  し

【ニッポンの世界史】第9回:アジア・アフリカ会議の衝撃

 前回は飯塚浩二と上原専禄が、”公式”世界史に代わる世界史を構想しようとしていたのを確認しました。  では、2人をそこに駆り立てる動機となったものは一体何だったのか?  それは、当時同時代的に進行していたアジア・アフリカの植民地の独立であり、その立役者でもあったネルーです。 ネルーのインパクト  ジャハルワル・ネルー(1889〜1964)は、インド独立運動の指導者で、ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジで自然科学を修めたうえで、弁護士資格を取得したエリート中のエリート。

【ニッポンの世界史】第8回:ヨーロッパの「妄想」に挑んだ2人—飯塚と上原

 1949年に「世界史」という科目が設置され、戦前の西洋史・東洋史・国史(日本史)をのりこえる「世界史」構想が本格的にはじまりました。しかし、これまで見てきたように、世界史に対するマルクスの唯物史観の影響力は、年々強まっていきます。  特に1947年9月に、マルクス未完の草稿である『資本制生産に先行する諸形態』(ロシア語で執筆)が翻訳され『歴史学研究』に掲載、1949年に書籍として刊行されたことは、大きなインパクトを与えました。 世界のどの地域も一様のスピードで発展してこな

【第7回】「逆コース」と「系統的」な世界史カリキュラムへの転換

「逆コース」と55年体制  1950年6月に朝鮮戦争が勃発すると、8月に兵力を補うために、マッカーサー元帥の指示により警察予備隊が設置されました。これは52年に保安隊、54年には自衛隊に改組されます。戦後に進められてきた民主化と非軍事化の動きを巻き戻すような動きは、「逆コース」と呼ばれます。  アメリカの対日占領政策の転換は、それ以前の1948年から徐々に進んでいました。冷戦が進行するなか、日本を西側諸国に留めたまま講和(1951年)を達成することが求められるようになったか

【第6回】ニッポンの世界史:アメリカ映画とソ連映画から見る「アジア」観

 ところで、敗戦後の日本人は、アートやエンタメを通して、どのような世界観を育てていたのでしょうか?  「学問や政治の動向はさておき」としたいところですが、そうも言ってはいられません。   戦後の世界は、1946年のチャーチル英・元首相の「鉄のカーテン」演説、1947年のトルーマン米大統領による「封じ込め政策」、1948年のソ連によるベルリン封鎖を皮切りに、アメリカ陣営とソ連陣営に真っ二つに分かれて睨み合う「冷戦」の時代に突入。  戦後直後の混乱、復興にむけた動きのすすむ中、科