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「数週間で子犬でなくなったので」コロナ禍の裏で起きている命の搾取【コロナ禍の動物事情】

コロナ禍で苦しんでいるのは人間だけではありません。

むしろ人間が動物たちを苦しめてしまっている事象さえ起きています。

まとめましたので、早速みていきましょう。

▷ 「数週間で子犬でなくなったので」"ブーム"に乗ってペットを買った日本人の呆れた言い分 コロナ禍の裏で起きている命の搾取

新型コロナウイルスの影響で、この1年間私たちの暮らし方は変化し続けてきた。そこではいくつものブームが生まれ、すでに去ったものもある。なかでも深刻なのがペットブーム。身近な人の死に心を痛めている人たちがいる一方で、簡単に動物の“命をもてあそぶ”人もいる。命に期限がつけられている現状を、真剣に考えたい。

▷命を暇つぶしに使う人たちが急増中


新型コロナウイルスの蔓延により、初めて緊急事態宣言が出されてから1年以上が経過し、私たちは今なお見えない敵と戦う毎日を送っている。
新しい生活様式を身につけつつも戸惑う日々が続いているのは皆同じことだろう。旅行どころか外出もままならない生活に、多かれ少なかれ誰しもがストレスを溜めている。

そんななか、ひとつのブームが見て取れる。
それが「ペットブーム」だ。
繰り返される自粛要請や、減ったと思ったらまた増える……を繰り返す感染者の数におびえながら、自然と長くなる“おうち時間”を少しでも楽しく過ごそうと動物を飼う人が増えているのだ。一般社団法人ペットフード協会の調べによると、昨年新たに飼われた犬と猫は、どちらも推計で前年と比べ6万匹以上増加しているという。

しかしながら、一方でそのペットたちを手放す人たちも急増しているという驚くべきニュースも20年の年末あたりから増えている。
手放す主な理由(言い訳)としては、

「実際に飼ってみたら思ったより手間がかかる」

「想像していた性格と違った」

「数週間で子犬(子猫)ではなくなった」

など、どれをとっても身勝手としか思えないものばかり。
なかには

「家に着いたら吠えたので」

「元の生活に戻りつつある今、かまっている時間がない」

など、怒りがこみ上げてくるような言い訳をする人たちまでいる。そしてそれは決して特別な人たちではない。普段はまじめに企業で働いていたり、誰かの親であったりする人たちだ。

とある地方の犬猫保護施設では、感染が拡大し始めた頃に引き取り手が急増したが、わずかその数カ月後には逆に引き取ってほしい、という依頼が増えたというし、幼少期特有のかわいさに一目惚れをし、その日にペットショップから購入した子犬を数日後には保護施設に手紙つきで遺棄したという例も聞かれた。

保護施設のSNSには、かわいい犬の写真とともに「○日○時までの命です!」というような投稿が連日並ぶ。信じがたいエピソードのオンパレードだ。

▷ つらい現実の裏で犠牲になっている命

仕事がリモートとなり在宅時間が増えたことで、余裕や手持ち無沙汰を感じて何か新しいことを始めようとするのは決して悪いことではない。けれど、その対象が命である場合はどうだろう。ただの思いつきやその場のノリで決めてはいけないことは、誰がどう教えれば今さら大の大人がきちんと理解してくれるのだろうか?

たしかに私たち人類は未曾有の事態の渦中にいて、自分たちの命さえ危ぶまれる環境にある。けれど、その不安を少しでも軽くするためにペットたちは利用され、翻弄され、命に期限をつけられ……救い手が現れなければ殺あやめられてしまうのだ。

人間と違って、たとえば犬や猫などのペットたちは、家からはぐれてしまえば処分という形で命を奪われてしまう。虐待されていたとしてもどこかの誰かにサインを出すことなんてできないし、その飼い主は“毒親”としてニュースになることはない。
迷子になっただけ、身勝手な親(飼い主)に嫌われただけ、非常識極まりない人間から見た目が気に入らないとされただけで、殺処分になってしまうことが多々あるのが現実だ。

それは自分ごとに置きかえてみればとても怖く、あり得ないことではないだろうか? それとも人間に起きたら大事件なのに、ペットならしょうがないと言えるのだろうか? コロナ禍の手持ち無沙汰で考えなしに起こした行動が、命の犠牲を増やしていることに私たちは一刻も早く気づくべきだ。そして、命がこれ以上粗末に扱われないようにするため、私たちに今すぐできることは何があるだろう。

▷ コロナ禍でペット市場規模が約1.6兆円に? 加速するペットブームの懸念点

コロナ禍でペットブーム

一般社団法人ペットフード協会が毎年発表している「全国犬猫飼育実態調査」によると、犬・猫の飼育頭数は近年微減ないしは横ばいが続いている。2020年の犬の推計飼育頭数は848万9,000頭、猫は同964万4,000頭だ。

一方、「1年以内の新規飼育者」の飼育頭数は2018年を底に増加傾向にあり、2020年は犬が前年比14%増、猫が同16%増と前年に比べ増加率が高まっているという。同協会はその要因について、コロナにより外出を控える生活が続く中、近くのペットショップへ足を運ぶ機会が増え、その結果として購入が伸びたのではないかと推察している。

▷懸念点の多いペットブーム

ペットブームの裏側には、動物愛護の観点から多くの問題が内在している。最も大きいのは飼育放棄だ。ブームに乗って安直な気持ちで飼い始めたものの、「思ったよりお金がかかる」「なつかない」「世話が面倒」――といった理由で飼育を放棄してしまう人が増えた。

一方、繁殖を行うブリーダーや販売業者においても、無理な多産や不衛生な環境下での飼育・管理を行うケースが後を絶たないのが現状である。利益重視で命を顧みず、飼育に関する説明を十分に行わずに来店者に販売するケースは無くならないようだ。

このような状況を考慮し、国も対策を強化している。動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)ではこれまでの法改正で、動物の所有者の責務として終生飼養を徹底することが明記されたほか、第一種動物取扱業者の販売時における現物確認・対面説明の義務付けなどが行われた。

幼齢(出生後56日)の犬猫の販売制限やマイクロチップの装着・登録の義務化なども盛り込まれ、幼齢犬猫の販売制限は2021年6月から、マイクロチップ義務化は2022年6月から始まる見通しである。
無届けブリーダーの根絶や届出業者の適正管理など、動物愛護の精神に則った健全な市場化が強く求められているようだ。

▷海外ではペットショップでの犬猫販売は禁止されている国も

ドイツにはペットショップがないって本当? 
日本と大きく違うペットの迎え方

日本では当たり前なペットショップですが、ドイツやスウェーデンなどといった国では「犬や猫の生体販売を行っているペットショップ」がほぼありません。

それは法律で禁止されているからというわけではなく、アニマル・ウェルフェアにのっとった設備や飼育体制を整えようとするとペットショップのようなビジネスが成り立たなくなるからです。

▷ スウェーデンは飼いやすい犬をつくるブリーディング体制が構築

スウェーデンでは、ブリーディング(繁殖)に力を入れており、例えば遺伝性の病気を持っている犬の繁殖は禁止されるなどのルールが定まっています。

さらにブリーディングを統括するケネルクラブでは3、4年前から性格や気質のテストを導入して家庭犬の気質にあった犬をつくる環境を整えています。健康的で飼いやすい犬・猫をつくることに力を入れているわけです。

一方、日本ではそういったルールや整備がされておらず、生まれつき病気を持っていたり、気性が荒く育てるのが難しい犬や猫が少なからず生まれています。その結果、捨てられ、殺処分されてしまうという現状もあります。

また、スウェーデンはブリーダーの免許制度はありませんが、ケネルクラブなどの監視が行き届いているため悪質なブリーダーは排除される体制が整っているようです。

▷ ドイツはティアハイムと呼ばれる保護犬猫収容施設から引き取る文化が浸透

ドイツもスウェーデンと同じく、ブリーダーから子犬を迎える体制が確立されています。個人ではなく、組織としてブリーディングすることが主になっているので、監視チェック体制が行き届いています。

そしてドイツでは、ブリーダーから引き取るよりも保護犬や保護猫から引き取ることが多くあります。それは、各自治体に「ティアハイム」と呼ばれる動物保護収容施設があるからです。550のティアハイムが存在し、行政(自治体)が管理するのではなく民間に委託する形で運営されています。

日本では行政が動物愛護センターを管理していますが、安定的な税金で運営されている反面、時代に合わせたアクションが遅かったり、市民に物理的・心理的な身近さを感じさせることができていない課題があります。

一方で、ティアハイムの多くは寄付で成り立っており、行政のしがらみもないため、気軽に訪れやすい環境をつくることができています。

海外では、富裕層がステータスとして寄付をする「Pay Forward」という考え方が浸透していることも寄付が集まっている要因かもしれません。

ティアハイムの歴史自体は170年くらいになるため、「動物を迎えるならティアハイムから」という文化が市民に浸透しています。日本と大きく違うことの一つとして、ドイツでは子犬や子猫から引き取ることが当たり前という文化がなく、大きくなった犬や猫は大きさや性格がわかっているので飼いやすく、成犬や成猫を好む文化もあると言われています。

▷ 日本はどのように変わっていくべきなのか

ドイツでは職業選択の自由があるため、生体販売自体は禁止にはなっていません。
にもかかわらず、ペットショップがほぼ存在しておらず、ブリーダーや保護犬猫のシェルターから引き取ることが一般的となっている理由は、動物のことを想う「アニマル・ウェルフェア」の考えが国民に浸透していることが大きいです。

ペットショップから飼うことも可能ですが、飼う際は必ず家族全員が面会する必要があったり、早くても1週間は迎えるまでに時間を要したりします。そうすることで、「衝動買いで飼ってしまったものの飼育が大変で捨てる」といったことを防止できたり、飼うことの責任をきちんと理解してから迎える環境ができているのです。

国民の意識を変えるためには時間がかかるかもしれませんが、アニマル・ウェルフェアの概念を浸透させていくことが今後の日本にとって大切なことだと言えます。
小池都知事の公約「ペット殺処分ゼロ」や、今回のアニマル・ウェルフェアサミット開催は、私たちの意識を変え、新たなモラルをつくる大きな第一歩なのかもしれません。


▷まとめ

私たちを愛と安らぎを与えてくれるペット
とても大切ないのちです。

かわいいというだけで衝動買いするような物ではありません。

寿命を迎えるまでしっかりと責任をもって一緒に生活する覚悟がない人は飼うべきではない。

まだまだ道のりは長そうですが、日本でもペットショップでの生体販売が早く無くなりますように。



▷参考

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