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あなたは、そのままでいいんだよ

世の中は厳しすぎる。
と、ときどき思う。

すぐに批判する人がいて、すぐに怒る人がいて、すぐに笑う人がいて、すぐにバカにする人がいる。

頑張っても頑張っても、まだまだ、まだまだ、と何かに追い立てられる。

周りを見渡せばみんな頑張っている。
みんな自分なりに苦しんで、悩んで、戦って、そうして頑張っている。

なのに、聞こえてくる声は厳しいものばかり。

「そんなのは頑張っているとはいわない」
「甘えてるだけだ」
「みんなやっていることだ」

だから頑張る、もっと頑張る。
そうしてやっぱり悩んで、苦しくて、辛いから、ぽろっとそれが言葉になってこぼれたりする。

そうしたら、厳しい世の中はこう言う。
「そんなことで悩むなんて」
そうして、心は折れる。ぽっきりと折れる。



ぼくも昔とても苦しかった時期があった。
今も思い出したくないくらい苦しくて、辛くて、悩んでいた。

当時の話をすると「そんなことで悩んでたの?」と言う人もいる。
でも、確かにあのときぼくは苦しかった。

もしも、あの頃のぼくの目の前に神様が表れて「お前を社会的に成功させて金持ちにしてやろう」と言ったとする。
そうして不思議な力で誰もが羨むような生活を手に入れたとする。

そうしたら、ぼくは幸せになるのだろうか、と考えたことがある。
どうだろう。正直わからない。

でも少なくとも、あの頃のぼくの苦しんでいた心は宙ぶらりんのままなんじゃないかな? と思ったりする。



思い返してみれば、あの頃のぼくは悩みを解決したかったのはもちろんだけど、それ以前に話を聞いて欲しかったのだと思う。
話を聞いて、頷いて欲しかったのだと思う。
うんうん、と誰かに隣で聞いて欲しかったのだと思う。
わかって欲しかったのだと思う。
ぼくが頑張ったことを、ぼくが苦しかったことを、ぼくが悩んだことをわかって欲しかったのだと思う。

そうして「辛かったんだね」と言って欲しかったんだと思う。

それだけでよかったんだと思う
お金も成功もいらなかったんだと思う。
隣で話を聞いて、頷いて、理解してもらえたらぼくは救われたんだと思う。



きっとみんな多かれ少なかれ悩みがあるのだと思う。
一見、悩みとは無縁そうに見えるあの人も、心の中では深い悩みを抱えてるのだと思う。
思い詰めて悩んで考え込んでしまう人もいれば、平気なふりをして、でも心の中では傷ついている人もいるんだと思う。

あなたも何かしらの悩みがあるんだと思う。

でも、そうやって悩んで苦しんで辛いのは、あなたが真面目で優しくて思いやりがあって誰かの期待に応えようとして、そうやって頑張ったから。
あなたがとっても素敵な人だから。



世の中は厳しすぎる部分があると思う。
叱咤激励して鼓舞するのも大事かもしれないけど、そればかりだと疲れてしまう。

様々な悩みに対する解決法は、調べれば具体的な方法が出てくるかもしれない。
でも、具体的な方法以前に、話を聞いてもらって理解してもらいたいだけのこともあると思う。



この文章を書こうと思った時に、ぼくの頭の中にこんな言葉がよぎった。

「綺麗事ばっかり言って」
「お前誰だよ」
「そんな単純じゃない」
「無責任だ」
「甘えるな」

確かにぼくは誰でもない。
知識が豊富なわけでもない。特別な資格を持っているわけでもない。
多種多様な悩みを理解できるわけでもない。その責任もとれない。
その人の気持ちを完全に理解できるわけでもない。

でも、書くことにする。でも、言うことにするね。




大丈夫、大丈夫。大丈夫だよ。
あなたはそのままでいいんだよ。

苦しかったね。辛かったね。大変だったね。
頑張ったんだよね。うんうん。

大丈夫だよ。

一生懸命やったんだよね。自分なりに頑張ったんだよね。
認めて欲しかったんだよね。期待に応えようとしたんだよね。

本当は怖かったんだよね。恥ずかしかったんだよね。
悔しかったんだよね。嫌だったんだよね。

でもね、大丈夫だよ。
大丈夫、大丈夫。そのままでいいよ。

えらかったね。すごかったね。
挑戦したんだよね。勇気をだしたんだよね。

どうしたらいいかわからなくなったんだよね。
自分で抱え込んじゃったんだよね。

えらいね。頑張ったね。

大丈夫だよ、ひとりじゃないよ。
わかってくれる人はいるよ。

ぼくは批判しないよ。怒らないよ。笑わないよ。バカにしないよ。

大丈夫、味方は必ずいるよ。ひとりじゃないよ。
そのままでいいよ。そのままでいいんだよ。

あなたが生きて、笑ってくれればそれでいいんだよ。
それだけでいいんだよ、それで十分だよ。

大丈夫だよ。
あなたはそのままでいいんだよ。

そのままでいいんだよ。


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