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Vol.20 終活を費用から考える

人が亡くなった後に必要な費用を見てみましょう

終活にかかる費用は多岐にわたりますが、どんな要素があるのかを理解するには、人ひとりが亡くなった場合にかかる経費から考えるのが合理的です。
それら経費と照らし合わせることで、事前準備としての終活の全体を費用面から俯瞰して見渡すことができます。
そこで亡くなった際に掛かってくる経費を時系列に考えてみましょう。
各項目で終活としてのできる事も書いてみましたので参考にしてください。

病院などへの支払い

病院で亡くなった場合は病院への支払いがあります。
施設で亡くなった場合は施設への支払いがあります。
自宅で亡くなった場合は、訪問診療で最期を看取ってくれた医師への支払いがあります。
いわゆる葬儀社に引き継ぐまでには、さまざまな後始末が生じるわけです。
入院中に亡くなった場合、健康保険などでは高額な医療費に関しての補助が適応されれば、退去時に自動的に相殺してくれたりもします。

そこでの費用を亡くなった本人がどこまで負担するべきか、との意見はあると思います。
終活としてできる事は、その分の保険なりを充実させておくことでしょう。
そうすれば残された家族の負担も少なくなります。

葬儀費用

人が亡くなった場合、そのままにはしておけません。
そこで発生するのが葬儀費用です。
費用の中には葬儀場の使用料や遺影の作成料、火葬の費用などが含まれています。
また葬儀に際しての宗教上の理由で発生する法事などにかかる経費も考えなければなりません。
おそらく思っていた以上にお金がかかりますが、気が動転していることや、決定を急かされるものも多いため、後から冷静に考えればかなりの割高で物事が進んでしまう事も少なくありません。
実際に両親を送った時にも「このくらいは仕方ないから」と許してしまって、もっと冷静に考えれば良かったのにと後悔した事が多くありました。

ここでの終活の活躍の場は、葬儀の生前相談です。
生前に葬儀の規模や段取り、金額の確認、遺影の用意や当日の仕切りなどを全て済ませていれば、家族の負担はかなり軽減され、さらにある程度までの清算を済ませてあればなお家族の負担は減ります。
生前に相談してあれば、自分の思い描いた葬儀にすることができます。
終活でしっかり準備しておきましょう。

墓地・霊園

その時になってすぐに用意できるものではないので事前の準備が必要です。それぞれの宗派に合わせて埋葬方法も決まっているので、それに従うのが簡単でしょう。
それまで守ってきたお墓や霊園があればそこに埋葬するのが簡単です。
しかしながらさまざまな理由で埋葬できない場合もあります。
私の知人は家族間の問題から、それまでのご先祖さまが代々埋葬されてきたお墓に入る事を良しとしませんでした。
その結果、宗派を問わず永代供養をしていただける納骨堂に入っています。
また家族が亡くなってから墓地を探した結果、自宅から遠く離れた公営の霊園に入ることになった方もいます。
埋葬の風習はその土地によっても千差万別です。
埋葬までを終活の一環として考えるのであれば、家族ともよく話し合って決めましょう。
また自分一人になってしまう場合は墓じまいして、自分は散骨してもらうなどの方法もあります。
どのような形にしても、それなりに費用がかかります。

終活としては、まずは必要な経費をしっかり計算しておくことです。
事前に用意できるものは用意しておいたり、差額分だけの支払いにしておくなどの方法もあるでしょう。

遺品整理

亡くなった後に家族や関係者が行うのが遺品整理です。
遺品整理はなかなか進まないと聞きます。
私も父と母の遺品の整理が進みませんでしたが、引っ越しを機に思い切ったものがたくさんあります。
一般的には廃棄などの処分が多いですが、その量によって経費が掛かることがあります。
さらに不動産が関係した場合は専門家の手を借りることになります。
そこでも経費が掛かることを理解しておきましょう。

家族にとっての遺品整理は、終活においては生前整理になります。
生前整理は自分でできる事なので、コツコツやっていくのが良策です。
日頃の断捨離を心がけつつ、イザという時の備えをしておきましょう。
もし自分でできないようであれば、どのように処分するかだけでも分かるようにしておきましょう。
業者にお願いする場合は元気なうちに事前に見積もりをしてもらっておけば安心です。その際にはミニマムな見積もりではなくマキシマムな金額を知ることが重要です。
家の中を見てもらい、おおよその予算感を確認しておきましょう。
そうすれば実際の金額が出た時に家族がびっくりすることも少なくなるはずです。

遺言書と遺産分割協議書

遺言書が正式に残っていた場合は、それに従って相続が発生します。
そうでない場合は法定相続人によって遺産分割協議書を作成します。
遺言書の作成に関しては「Vol.6 遺言書のつくり方って難しい?」で書いてありますのでご一読いただければと思います。
遺言書がない場合の遺産分割協議書を作成しますが、それを自己流で作成すると結果的に作り直しが発生することがあります。
実際に私も相続で使用する遺産分割協議書を自分で本を読みながらつくりましたが、あとから司法書士さんのお手を煩わせることになりました。
遺産分割協議書は司法書士さんにお願いすることが多いので、その経費を考えておきましょう。

終活として考えた場合、どこまでを終活の経費としてみるかは個人の判断にお任せします。
たとえその分の費用を用意していたとしても、生前に清算していない限り、その金銭は相続資産に繰り入れられるので、結果的に誰は支払うかは残された家族になります。

相続に関わる費用

Vol.8 相続財産あれやこれや」で相続に関しては書きましたが、相続には専門的な知識が必要なので、専門家にお願いするのが簡単です。
資産が多くない場合、つまり相続税の基礎控除内に収まる場合は、税務署から送られてくる調査票に記入して終了ですが、資産が多く、相続税の申告が必要な場合は専門家の力をお借りします。
一般的に依頼するのは税理士さんでしょうか。
そして、その資産の大きさに因っては支払うべき相続税が発生します。
相続にまつわる手続きとしては、準確定申告 → 相続税申告 → 相続税納付です。
ここで重要なのは、丸投げは経費の無駄遣いになりやすいので、最小限の依頼で済むようにすることです。

そんなときにこそ終活のメリットが発揮されます。
亡くなった本人が相続の費用を負担することはできません。
それでもお金関連のデータだけでも集約されていれば大きなメリットです。
終活の一環としてエンディングノートでデータの整理をしておきましょう。

生きているからこそかかる費用

Vol.9 介護は続く、そこでの終活」でお話ししましたので、ここでは少しだけ触れておきます。
介護は現在進行形でされている方も多いと思います。

「介護は権利なのか義務なのか」

近しい方の介護を経験してきた方は、自分が介護を受けることを権利として受け止めて、家族はその介護を義務として受け止めるのでしょうか。
元も子もない表現だと思いますが、あえて書きました。

そしてそこに終活の入る余地はあるのか。
終活によってなにかを変えることができるのか。

その点だけを考えてみてください。
私個人の意見はあります。
しかしながら正しい答えはありません。
状況も千差万別、百者百様です。
精神的に追い込まれがちな繊細な話題ですが、誰かと話すことで心が楽になります。
自治体でもカウンセリングをしてくれる場合がありますので、相談してみましょう。

ここに挙げた項目だけでも、いろいろと費用がかかることがわかります。
終活をする中で、すこしでも参考にしていただければ嬉しいです。


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