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クルマでまるっと欧州一周30日【Day-0】

8/27/2015 Gran Turismo

 2015年、私は23年間勤めた広告会社を退社した。「知名」を前に人生初めての転職を決意したのである。転職を決めた時に、人生でいつかはやってみたいことがあった。それはクルマでヨーロッパをぐるりと周ることである。偉大なる先人、白洲次郎に関する本の中で「Winter Vacation 1925-1926」という欧州大陸周遊旅行にかつて心打たれたことがあった。彼は親友と二人で高速道路のない時代に愛車ブガッティを駈り、たった12日間でイギリスーフランス―スペインージブラルタル―フランスースイスーフランス―イギリスと欧州を周遊したのである。いわゆるGT-Gran Turismoである。

19世紀のイギリスでは、貴族階級などの裕福な家庭の子女は自宅へ家庭教師を呼び、教養や道徳などを学ぶことが一般的であった。こうした教育課程の最終段階として、欧州への2~3年に及ぶ長期の旅行を行うことがあり、こうしたいわば長期の海外修学旅行をGrand Tour(グランドツアー、イタリア語表記は Gran Turismo )と呼んだ。-Wikipedia

90年前に白洲次郎が12日間で周ったヨーロッパ。高速道路も発達した現在であれば30日間あれば一周できるであろうと考え、彼の周った足跡を地図でたどりながらプランニングし、大まかな道程を決めた。

初めての欧州、しかもレンタカー

まったく未知数なのは一日どれくらいの距離を走行できるのか?ということである。これまで海外で運転したことがあるのはハワイ、カリフォルニア、オーストラリアのみである。この3エリアは比較的緩いおおらかな場所だった。しかしカリフォルニアではサンタモニカでひどい渋滞に引っかかった。当然ヨーロッパも、場所や時間帯によっては混むのが普通だろう。 

―ヨーロッパの道路事情、高速はどんなものなのか?          ー渋滞はどんなものか?                       ー料金所はどういうシステムなのか?   

ネットで探しても日本人のヨーロッパでのドライブ記事は多くない。TGVなどの鉄道で周遊する人が多いのである。そんな中でひとつ、ドイツから南欧にバカンスに行く記事を見つけることができた。それによると意外と変哲がなさそうだった。いつも思うことだが、100kmの距離を時速100kmで走れば1時間、ならば300kmの距離を時速100kmならば3時間で着く。これは小学生でもわかる。しかし日本の場合はこれはほぼ不可能であることは皆さんの経験でわかるであろう。東京―名古屋間350km、これが時速100kmで3時間半で着くことはほぼない。ただし30日間で欧州をほぼ一周するためには1日200-300kmは最低必要そうである。これをひとつの基準とすることにし、実際に走って検証してアジャストしていく、と腹を決めた。

2015年8月27日、これまでに業務引き継ぎを終え、羽田空港10:35発、パリ・シャルルドゴール行きのJL45便に乗り込んだ。時差-7時間で16:10着予定、約半日のフライトはマイレージプログラムでゲットしたビジネスクラス。向こうに着いたら運転が待っている長い一日だから。

こうして俺のGTはスタートした。

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