見出し画像

小豆の虫

先日、小豆から虫が出てびっくりした。

一見、虫食いは少しに見えたし、親戚が家庭菜園で作った小豆だから味見したいし、できる限り食べようと虫食い豆を取り出す。と、出てくる出てくる。虫食いは意外に多く、虫も結構出てきてびっくりした。

とか言って、われながら、のんびりしている。そこまでやらなくても、とも少しは思う。でも、昔の生活を想像できてちょっと新鮮だった。小豆って、昔はこんなものだったのじゃないかな。

妖怪の小豆洗いを思い出す。小豆を洗う音がするだけの妖怪だったと記憶する。一体なんなんだと思っていたけれど、虫を出して小豆を洗っていると、小豆は色形が可愛らしく、大事なものに思えてくる。無事に取り出した豆は、炊いてしまおうと洗うと、またどんどん虫が出てくるし、そうやって小豆とつきあっていれば妖怪のひとりも出たことだろう。

戦時中に小豆の虫に悩まされて、と何かで読んだことがある。読んだ時は想像がつかず、なんとも思わなかったけど、実際に虫食いを見ると、ブンブン言わないけれども硬い虫だし、戦地に大事に持って行った小豆にあんな姿を見ると、滅入ってうなされそうだ。

そういえば、今回、小豆をもらった日、外に置き忘れて雨にも降られたのだった。その間に虫がついたのかもしれない。

つくづく、店で買う豆は管理が行き届いて、すごいなと思う。スーパーで買う小豆から虫が出るとは思えない。

昔の暮らしと今の社会の間に、親戚の家庭菜園がある。この数年、旬の野菜をいただいて、随分野菜とも付き合えるようになった。奈良らしい生活だと思う。取り出した小豆は、小豆ご飯に。珍しいメニューとして、あっという間にいただいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?