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【あげてないけどあげぱんみたいなアイスバー】評論 〜異次元の再現率、再現率で異次元へ〜


補足情報:


"きなこグレーズコーチング"……その食感が、まさに『きなこ』。

紹介文通りの、あの小気味好い、シャリシャリ食感。舌触りと歯触りの感覚。

グレーズコーチングに混ぜられているためか、滑らかさと厚みを増して、それは『きなこ食感』全体のなかでも上質なものと感ぜられた。むせる要素はゼロ。


〝きな粉〟は、マメ科の植物[ダイズ]の、完熟した種子(いわゆる大豆。これの未熟なものが枝豆である)を、炒り豆にし、焙煎香を立たせたものを挽いて、粉状にしたものである。

これには、種子系の香ばしい風味がある。先ずはそれを堪能したのだった。

形状の特徴に順序立てられたのだろう、

第一印象——もとい第一衝撃は、それだった。


食べ進めない理由はない。

"パンをイメージしたクランチ入りのパン風味アイス"

それはアイスクリームにしては、乳製品感の抑えられたもので、先ほどのように種子系の香ばしさが微かにあり、そこにパン風味のための素朴さも詰め込んでみた——そんな味わいだった。

クランチはカリカリしたものではなく、全体的に織り交ぜられたそれは、良い意味でのボソッと感を表現するためのギミックだ。

これによって、確かにパンをむさぼる時の『あの感覚』が再現されており、これのおかげで、乳製品由来の滑らかさが際立ちすぎず、アイスクリームとパンの食味が両立されており、また、それはボソッと感をアイスクリームの特色でほどよくカバーするという、再現性の先のプレゼンスの発明でもある。

パンもまた、イネ科の植物[コムギ]の種子を、製粉した(粉状にした)ものを原料としており、これら【揚げパン】の材料のように、穀類・豆類・ナッツ類などは、種子類として、香味を持つものが多く、また相互のそういった共通度の高さによって調和しあうため、相性がよい傾向にあるといえる。
(また、安価で民主的な調理油には、種子由来の油脂分が頻繁に用いられるので、パンときな粉は、揚げ油との相性もよい可能性がある)


さぁこのような状況では、私たちには確認しなければならない事案が持ち上がる。


噛みつき、咀嚼し、舐めとり、飲み込む。



『This is a Pan……?』



『This is a Kinako?』



『……This is the "AgePan?"』



飲み込み、完食し、嗅ぎとり、今こそ全身で叫びたい。


『すべて【YES】だッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』


こたつアイスは日常だが、このアイスは非日常だ。

スタンディングオベーション。素晴らしい。
今すぐ、もう1個買ってきたい。

お母さんとシェアするから、半分は残しておいてあげなくっちゃあいけなかったし。あげぱんで更にアイスクリームであるというチートデイ案件にも、この際は目を瞑ろう。
音楽とか以外では珍しいことに、リピート希望なのである。


近所の、ファミマに、行きたい。


あげぱんの、アイスを、食べたい。


5分前までは思いもよらなかった欲求が輪転する。

何しろ、味全体も、アイスの標準からは外れながらも、『なんか美味いぃーー』のである。

外側であり入口である、きなこグレーズコーチング。そして包まれた中にある、パン風のアイスクリーム。
それらどちらもの、地のクオリティが高いから、という要因は大きいだろう。

アバンギャルド。かつ、温故知新。

原材料の表記は含有量の順なので、読み取るに、特に変わった材料が多量には入っていないと推論できる。

…のにも関わらず、調理法のみでここまで創り上げるとは、赤城乳業の文化水準も、これまた異次元である。

給食児童はみんなの心のなかにいるんだよ(感涙)。
そして老若男女が、合法に冒せるトリップ体験が、ここにはあるよ……。


検証結果:人はあげぱんアイスがAgePanだと驚嘆する。

私:まじであげぱん。


追記:

リピート完了。ついさっきのことだ。
飽きさせないような魅力があり、丸1本平らげると、何とあの『炭水化物完食感』までもが、とっぷりと再現されているのには、驚きを超えて、もはや感動すら覚える。

それにくわえて、ここに来て、アイスクリームを食べた、という、乳製品由来の食後感を味わうことにも成功したのである。これに関しては純粋に飲食分量によるところが大きいだろう。

ここまで、あげぱんを再現しておきながら、最後ではアイスクリームであることに回帰する、この食体験の構造は、テーマ性の連想すらしてしまうほどだ。

終始、これほどまでに、上質なきなこ感に恵まれた、あげぱん体験がかつてあっただろうか? このきなこグレーズコーチング、そしてパンアイス、そしてそれぞれの組み合わせは、発明的なものである。

すこし難点である可能性があったのは、中盤から終盤にかけて、きなこグレーズコーチングの過重によるしつこさ、粘性のある、きな粉餅的な味わいの尖りが、少し感ぜられたことか。しかして、このアイスバーの構造は、持ち手に近い、つまり食べ順の終盤である部分へ向かって、パンアイスが膨らんでいき、きなこグレーズコーチングの割合も少なくなっていく、三角形になっており。

この形状のおかげで、それも上手く軽減されていたように思える。あとは、これと上手くマリアージュする飲み物を用意するなどの工夫で賄えば、むしろ組み合わせ方の余剰として楽しみの方が大きいだろう、といった程度の懸念点だ。その点を怠ったのは準備不足であった。

工夫といえば、この形状までもが計算されたものである可能性は多いにある。クリエイターの顔が見てみたいぞ。発信活動を通してプレゼンを行うべきではないか?

それこそアイスマン福留さんとの、実食を含めたコラボ動画などを投稿すればいいのではないだろうか。

寧ろオススメの飲み物の組み合わせすら、構築して教えてほしいぐらいだ。ともかくとして、このあげぱんアイスは、こういった期待を膨らませて出来上がったようなコンテンツだ。

ここ最近の食体験全体のなかでも、非常な満足を感ぜられる部類であった。

豊かな文化的体験の恩賜に感謝を。ビバ赤城乳業。

これよりは更に重ねての注目をしていきたいメーカーである。


以上!

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