アナザー・バスカッシュ! #04

第四話『プロフェッショナル』

 タイムアップ。ゲームは終了した。

「また一段と少ねえなァ」

 ジョナサンは観客席を見渡し、思わず呟いた。二万人の収容数を誇るホワイトシティ・ステラドームであったが、圧倒的に空席が目立つ。それでもテレビ中継用に無理矢理観客をひとまとめにしている分、モニター越しにはそれなりの入りには見えてはいるのだろう。しかし、あのスタジアム破壊事件以来、人々は気づいてしまった。BFBの中継はエフェクトで加工された嘘の映像だと。

「おつかれ、ジョナサン」
 チームメイトのダニエルが、ビッグフットの車内無線で呼びかける。
「おう。シャワーの後、一杯やろうぜ」
 ジョナサンも応える。
「俺は……パスだ」
 更にもう一機、ヨハンが言う。
「カミさんが調子悪くてね。すまない」
「そうか。ナンシーによろしくな」

 彼らはBFBリーグの首位を走るホワイトナイツの選手である。今日の試合は、二位のクイックシルバーズとの頂上決戦であり、得点王のタイトルが掛かったジョナサン・クリフトスにとっても大事な一戦であった。しかし——

「我がチームの勝利に……」
「そして30得点を決めた我らがエースに!」

 ジョッキを合わせて乾杯の後、ジョナサンとダニエルはビールを喉に流し込む。試合結果は89ー73。本来ならば勝利の美酒の筈なのだが、二人の顔はどこか冴えない。

「発表では一万三千五六人。しかして実際は……」
 ダニエルが顔をしかめつつウインクする。
「ありゃ四千ちょいだな。試合をやる度に減ってるのは誰でもわかる」
 そう言うと、ジョナサンはビールを一気に飲み干した。ジョッキをテーブルに勢いよく置くと、彼はカウンターの向こうに声を掛ける。
「ケイト、もう一杯だ!」
「毎度!」
 店主のケイトが応える。店の名前は『アンクル・ブレーカー』。ダウンタウンの外れにある、十人程度が座れるカウンターだけの小さな酒場である。ジョナサンはこの店が開店して以来の常連であり、ケイトとは長年の友人だった。
「祝勝会ってのに、寂しいね」
 てきぱきとした手つきでビールを手渡しながら、ケイトは言った。
「おいおい、来てやってるのにどういう言い草だよ」
 抗議をしながらも、ダニエルもジョッキを突き出す。
「俺もだ。もう一杯くれ!」
「ありがとね」
 ケイトは金髪の髪を後ろに束ねた、気っぷの良い女性である。かつてはバスケットボールの有名選手で、彼女を慕ってやって来る女性客も多い。どうして飲み屋を始めたのか、以前ダニエルが尋ねた事がある。その時、ケイトは静かに笑って言った。

「アンクルブレーカーだったのに、利き足をブレークしちゃったのよ。ま、それから色々あって、ね」

 ジョナサンは更に数杯、ダニエルも付き合って飲み続けた。ケイトの自家製ピクルスをつまみながら、ダニエルのテンションは上がる。
「アイアンズのクリスが言ってたぞ。あの噂は本当らしい」
「噂?」
「あれだよ、ストリートスタイルのプロリーグ」
「ああ……」

 ローリングタウンでのスタジアム破壊事件以来、アースダッシュの各都市ではビッグフットによるストリートバスケが流行していた。スタジアムのような広い場所でのプレイでは出来ないが、道路を利用したゲームは臨場感と迫力満点だということで、ビッグフットを所持している労働者達は競ってボールを取り、街角へ出た。

「運が悪かったよな。ローリングタウンでやったってのは、ソケッツとジャンボーズだろ。ありゃあ二軍の入れ替え戦だ」
 BFBリーグは大きく三つに分かれる。SリーグとAリーグとBリーグ。件の試合はAリーグ6位のジャンボーズとBリーグ1位のソケッツによるリーグ入れ替え戦だった。その試合の酷さに怒った一人のビッグフット乗りが試合場に乱入し、スタジアムを滅茶苦茶にしたというのが事の顛末だった。
「でもジョナサン、そいつはプロをのしちまったんだろ?曲がりなりにもプロの選手が素人のドリブルに手も足も出なかった」
「俺もネットで見たよ。ま、確かにアレは凄いな。何よりルール無視ってえのが……」
「ルールをぶち壊せってか、ハハハ!」
 ジョナサンはバーボンのロックに切り替え、陽気になったダニエルは、更にビールを頼んだ。
「BFBはプロレスみたいなもんだ——これはあんたに初めて教わった言葉だ……」
 ダニエルは更に酔いが回ったのか、遠い目をしながら呟いた。
「……初めて聞いた時驚いたよ。最先端なスポーツが……インチキだなんてさ」
 グラスの氷を揺らしながら、ジョナサンはダニエルの言葉を聞いていた。無言のジョナサンに構わず、ダニエルは話し続ける。
「でも、違ったんだよな。攻めがあって受けがある。アースダッシュの街から街へ……年間百試合を行うために、BFBの興業を盛り上げるためにルールは出来た。公式ルールとは違う、裏ルール! おかげで俺達はメシが食える!」
(ああ、そうだ……)
 ジョナサンは思い出していた。わずか5チームから始めたパイオニアリーグ時代、彼はその頃からの生き残りであり、今なおトップで輝き続けている数少ない選手だった。
(最初は酷かった。機体をぶつけて壊して……まるでデモリッション・ダービーだった)
 デモリッション・ダービーとは、おんぼろの車をぶつけて他の車を破壊しながらゴールを目指す、田舎町でよく行われるお祭りのようなカーレースである。1年に1回ならば全壊もめでたいかもしれないが、わずか1試合でビッグフット全壊では、年間を通じてのリーグ戦興業は成立しない。月面都市・ムーニーズの某大企業の肝煎りであるが故に、ビッグフットによるバスケットボールリーグは是が非でも成功させなければならなかった。テレビ中継の演出の兼ね合いや、選手や機体の疲弊を少なくするために、選手自らのアイディアが数多く取り入れられ、試合上の細かい取り決めが作られていった。それが裏ルールであり、実際のBFBリーグを支えていた。
(アレは、俺達選手がボールを通じて決めたものだ。ウソとリアルの狭間で行ったり来たり……その空気が、俺は好きなんだ)
 テレビに良く映るように緩やかに動く。しかし、いざとなったら素早くキメる。そのメリハリこそが、観客を魅了しBFBを世に広げた。ジョナサンは自身が操るビッグフットのプレイに誇りを持っていた。しかし、ここ最近の観客数の減少には、「ついに来たか」という思いも頭をよぎっていた。
(下手糞が増えて避けられねえと思ってたが、それで全てが否定されるッてえのも——)

「ねえ。ダニエル、また沈没してるよ」

 ジョナサンはケイトの声で我に返る。見ると、隣のダニエルはカウンターに突っ伏して寝込んでいた。そっとジョナサンは彼の握ったジョッキを取り上げると、ケイトに手渡す。
「酒が弱いのは、昔から変わらずだな」
「だけど、プレイは……上手くなった?」
 ケイトの言葉にジョナサンは微笑む。
「ああ。こいつとヨハンがいるから、俺は安心してシュートが打てる」
 チームメイトであるダニエルとヨハンは、かつてはジョナサンの教え子だった。パイオニアリーグから正式にBFBリーグに組織変えした際に、選手募集に応じてやって来た。二人とも生身でのバスケは遊び程度であったが、何よりもビッグフットの操縦センスはずば抜けていた。決して名選手とは言えない人間が、操縦というワンクッションを入れる事で、人々をそのプレイによって魅了する。ジョナサンはビッグフットというマシンに一つの可能性を感じていた。

(ビッグフットは、ただ操縦するんじゃない。自分の思いを乗せて……そう、自分の体以上に気持ちが乗る事がある)

 それは不思議な感覚だった。自分の体以上に思い通りに動く、そんな軽さと力強さを感じるようになったのはここ数年前からだった。最近のジョナサンは、寧ろそんな感覚を押さえ込むのに一苦労だった。時折、対戦相手もそんな感覚をもて余している時には、ジョナサンは受けて立ち、叩き潰した。

「いいか、若いの。試合ってのはそうじゃない。堪えるんだ。しかし、ちょっとだけ付き合ってやるぞ。そうだ、ダンスを踊ろう。ボールを取れるか?このジョナサン・クリストフから!」

 他のチームの若手選手達もジョナサンから学び、BFBに対するプロ意識を高めていった。リーグはもはや安泰……そんな矢先のスタジアム破壊事件だった。
(あんなに走って跳んだら気持ちいい……そう思うヤツも出て来てもおかしくない)
 ネットに流れていた事件の模様は、テレビ中継ではない、一ファンの記録ムービーだった。画像は荒いが、赤いビッグフットの動きの素早さと巧みさは見て取れた。
(ストリートスタイルか……)
「やってみたら?」
「え?」
「あんたのやりたい事」
 ケイトはニッコリと笑った。
(ホントにこいつは、昔からこうやって……)
 苦笑いを浮かべ、ジョナサンはグラスをあおった。

   ×   ×   ×

「ヨハンが、辞める?!」

 翌週、チームはヨハン・スミスの退団騒ぎに揺れていた。テレビに流れる合同記者会見には、BFBリーグ脱退を決意する様々な選手の一人としてヨハンの姿があった。
(本当に来ちまったな、この日が……)
 ジョナサンは、合宿所でダニエルや他の選手達と放送を見ながら、ある種の感慨を憶えていた。脱退する選手達は皆、新リーグ・OCBに参加するという。OCBことオープン・シティ・バスケは、ムーニーズ・スポーツ文化発展委員会終身会長こと、ジェームス・ローンが更なるスポーツの発展のために立ち上げた新リーグである。ダニエルの話では噂レベルだったが、秘密裏に、かなりの数の選手に声を掛けていた事になる。
(40人か……結構、本格的だな)
 ぼやく者や怒る者など様々であったが、ジョナサンは何処か醒めていた。モニターに映っている選手達は皆、若手の有望株揃いである。
(選んだヤツはなかなか見る目がある)
 ジョナサンは、加入希望の選手の顔ぶれだけでOCBのやる気を感じていた。
「で、上の連中はどうするんだろうなあ」
「『なあ』って……呑気すぎるよジョナサン!」
「ダニエルこそ落ち着けよ」
「だって、これって裏切りだぜ?!」
「誰に対してだ?」
「チームに対して! 俺やジョナサンや、監督とか……他のみんなにも!」
「だけどあいつは、自分を裏切れなかった」
「?!」
 ジョナサンは周りを見回して言った。
「この中にも、行きたいヤツはいるのか?」
 さっきまでにぎやかだった室内がとたんに静かになった。ジョナサンはいつになく穏やかな口調で言った。
「上がどう言うかはわからんが、俺は行きたいヤツは行けばいいと思う。とは言え、ヨハンとは……最後にもう一回、一緒にプレイしたかったがな」
 ジョナサンには、押し黙った選手達が何を考えているのかはわからない。しかし、それを知りたいとも思わなかった。
 先週のケイトの言葉が脳裏をよぎる。

『やってみたら?あんたのやりたい事』

 テレビでは評論家達があれこれ語っていたが、それを見ているものは誰もいなかった。ひたすらに重い空気が辺りを包んだ。

   ×   ×   ×

「またこれは更に減ったな」
「テレビ局ももう隠せませんね。ドーム前では客の呼び込みやってますよ」
 リーグの優勝も決まり、いわば消化試合をこなしていたとはいえ、空席ばかりのステラドームはまるで場内整備中かと思えるほどの寂しさだった。
「あと一時間足らずで試合開始だ。どのくらい入るのやら」
 フィールドにたたずんでいるジョナサンとダニエルに、スタンドからケイトが声を掛ける。
「観客動員に、協力してあげたよ」
「珍しいな、お前が来るなんて」
 ジョナサンの問いかけに、ケイトはいたずらっぽく微笑む。
「昨日から大通りでタダ券配ってたよ。さすがに悪いから常連達を連れてきたわ」
 見ると、スタンドの中程に陣取る一団があった。皆、ケイトの店で見た事のある連中ばかりである。ジョナサンが手を上げると一様に手を振り上げ、それに応えた。
「なかなか心強い応援団だな」
「楽しみにしてる」
「まあ、いつも通りさ」
 ジョナサンはおどけてみせたが、そんな時の彼こそ油断ならない事をケイトは知っていた。

   ×   ×   ×

「ジョナサン、俺も決めた。行くぜ、OCBへ」

 試合開始前のセレモニー中、対戦チーム・ブラックイーグルスのファルコン・ライトウイングから車内無線が入った。
「おいおい、良いのかよ。こんな大っぴらに」
「もう上も知ってる。それにどうやら、BFBの選手がOCBに参加した場合、月から多額の移籍金がチームに支払われるらしい」
「ああ、聞いてるよ」
「ジョナサン、あんたは行かないのか?」
「フフ…俺みたいなロートル、新しいリーグにはお呼びじゃないだろう?」
 セレモニーは終わり、両チームはティップオフに備えるべくフィールドに散った。

   ×   ×   ×

「ケイトとジョナサンって、結局どのくらいの付き合いなんだ?」
 スタンドでは常連のジムが隣に座るケイトに話しかける。タダ券作戦が効いたのか、周囲にもポツポツ客が増えてきたが、それでも寂しい事には変わりなかった。
「上級学校の頃から。あいつが男子部のキャプテンで、私が女子部のキャプテンだった」
「どっちも強かったよな。全国大会の常連でさ」
「私は燃え尽きちゃったけど、あいつはプロになって、BFBに移って……ほんとバカだよね。あいつは徹底的なバスケバカ」
 ケイトは、眼を細めてジョナサンの乗機を見つめた。いつにも増してその眼差しが優しい。
「あいつはキャプテン気質。いつもチームの事、全体の事ばかり考える。だからここまでやって来れたけど、損も沢山してきた。だから……」
「だから?」

 試合開始の笛が鳴った――

   ×   ×   ×

 ダニエル・サミエルソンは、試合開始前から違和感を覚えていた。
(何なんだ?この雰囲気は?)
 もはやリーグの最終戦、ブラックイーグルスは今期不調で四位に甘んじている。それに加えて最近のOCB騒ぎでどことなくやる気の無さがBFBリーグ自体に流れている。実際ここ数試合のシルバーナイツも低調で、ましてや平日の昼間のゲームでは、今日の入りは仕方がないとダニエルも思っていた。
(だから今日は……愉快にファンサービスで行くのかと思ったら……違うのか?)
 ついこの間まで一緒にプレイしていたヨハンの姿はここにはいない。今横にいるのは、リザーブだったデイトンである。それなりに出来る選手ではあるが、やはりヨハンに較べたらここ一番の安定感に欠ける。そんなデイトンも雰囲気の違いを察したのか、無線でダニエルに話しかける。
「よぉ、最終戦ってこんなにピリピリするものなのか?」
「優勝決定戦ならな。いや、そっちでもないな」
「そっちって、どっちだよ」
「わからねえ。それはあの二人に聞いてくれ」
 ダニエルは、センターサークル内に立つ二機のビッグフットを見つめた。一つは銀色のジョナサンの乗機、そしてもう一つは漆黒のファルコンの乗機である。二機の間合いがダニエルには普段と違って見えた。違和感の原因はそこにあった。
(何をするつもりなんだ、ジョナサン?)
 笛が鳴り、ボールが打ち上げられる。ティップオフ、ゲームが始まった。センターサークルの二機は跳び上がった。高く、また高く——

   ×   ×   ×

 数少ない観客達は、同時に数少ない歴史的な目撃者になった。目の前で行われている試合は、普段見慣れたBFBの間合いではなかった。ジョナサン機が走り、ファルコン機が防ぐ。或いはその逆の攻防。観客はかつて行われた、ダン・JDによるスタジアム乱入を思い出していた。しかし、今見ているものはそういうイレギュラーな乱闘ではなく、まさしくビッグフットによる正調なバスケットであった。ドリブルの鋭い斬り込みにフィールドは悲鳴を上げ、その表面に貼られたラバーはところどころ捲り上がる。しかし、両機はステップの加速を止めない。他の機もいつしかそのペースに巻き込まれ、フィールドは巨人達がめまぐるしく駆け回る戦場になっていった。そして目ざとい人々は気づいた。

 何故、BFBではビッグフットは鈍いのか?

 何故、BFBではゆっくりパスを回すのか?

 ダン・JDによってインチキと看破されたBFBリーグが、実際にはいかに人々を盛り上げ楽しませているエンターテインメントであるかを人々はあらためて知る事になった。

 目の前のビッグフット達の動きは、速すぎて何が行われているのか殆どわからない。気がついたらゴールが決まり、また気がついたらゴールが決まる。その過程があまりにめまぐるしく、観客達はただ呆然と成り行きを見つめているしかなかった。

「あー、やっちゃってるね」
 ケイトが可笑しそうに笑う。
「やっちゃってるってレベルじゃないよ。あれ、ガチじゃないか」
 隣のジムが興奮気味に言う。他の常連達も叫んだり、手を振り上げて応援をしている。皆、一様にバスケが好きな連中ばかりなので、今行われている試合がどういう意味を持っているのか、何となく理解出来ているようだった。
「ストリートなんて目じゃない。すごいなジョナサンの奴。何で今までやらなかったんだ。凄い……凄いよ!」
「凄いから……やらなかったのよ」

 試合結果は意外な形で訪れた。6機中3機が動きの過負荷に耐えきれず、次々に壊れていったのだ。選手もわずかな時間にスタミナを使い果たし、倒れていった。無効試合——最終戦は第三クォーターの途中で終わったが、観客は誰一人文句を言うものは無かった。空席の目立つスタンドからは、熱心な拍手がそこかしこから聞こえる。

「やっちまったなァ、ジョナサン」
「最終戦だ。たまにはいいだろう」

 美しかったフィールドは醜い穴ぼこだらけになり、自壊したビッグフットが数機転がっていた。無事なのはジョナサンとファルコンの機体だけであったが、ジョナサンはベンチに横たわり、ファルコンもスタッフの肩を借りて立っているのがやっとだった。しかし、二人の表情は明るく、笑顔すら見せていた。

「こんな試合、続けてやったら体がもたねえ。俺達は飯の食い上げでビッグフットもガラクタの山だ」
「ハハハ、そうだな」
「だけどストリートの連中はやるんだろう?ファルコン、本当にOCBに行くのか?」
「……戦いたい奴がいるんだ」
「ダン・JDか?」
「まあな。それとあともう一人、気になるヤツがいるんでね。腐れ縁だ」
「ま、せいぜい頑張れ。俺もそれなりだ」
 ファルコンは立ち去り、入れ替わりにケイトがやって来た。彼女は快活に笑う。
「済んだ?男同士の話は?」
「フフ、まあな」
「ダニエルは大丈夫?」
「ああ、あいつも俺と同じ過呼吸だ。他の奴らよりは軽いだろう」
「じゃあ、今晩は祝杯ね。私の奢りよ。『アンクル・ブレーカー』にようこそ♪」
 おどけるケイトにジョナサンは微笑む。
(確かに今日は……美味い酒が飲めそうだ)

 この後、ジョナサン・クリストフはOCBに誘われたが、決して移籍する事はなかった。しかし、彼がリーグに踏みとどまったおかげで、伝説リーグ終了後には、再びBFB熱が再燃する事になる。


初出:Blu-ray「バスカッシュ!」shoot:4(2009年11月18日発売)初回特典
   (発売・販売元:ポニーキャニオン)

読んで下さってありがとうございます。現在オリジナル新作の脚本をちょうど書いている最中なのでまた何か記事をアップするかもしれません。よろしく!(サポートも)