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韓国のおばあちゃんちへ1

お義母さんに初対面

マンションの下まで迎えに来てくれたお義母さん。エレベーターでギュウギュウになりながら上がり、家に入るなり顔もまともに見ないまま何かを教えられた。

「さあさあさあ!挨拶の仕方はこうよ!さ、真似してやってみて!」(韓国語)的なことを言われ、

「えっ?えっ?」とか戸惑いながら、見よう見まねでやってみた。

「うんうん、OK!さ、行こ!」的な感じで、家を出る準備を始めた。

近くに住んでいる旦那さんの妹も合流し、4人でおばあちゃんちへ向かうことになっていたのだ。

無知な私は、移動中に調べ、あとから知ることになったのだが、お義母さんが家についてすぐ私に教えてくれたのは、クンジョル(큰절)という韓国で最も丁寧なお辞儀の作法だった。
結婚式やお正月など、親や先祖など目上の人に対して敬意を表す挨拶で、細かく言うとお辞儀だけでなく立ち方まで決まっている伝統の礼節だ。

私がおばあちゃんと挨拶できるよう、あらかじめ教えてくれたのだと考えたが、お義母さんの教え方は正直けっこう適当だったので、YouTubeを見ながら入念にシュミレーションをした。

旦那さん曰く、母は年々せっかちになっていてひやひやするとのこと。
韓国人はせっかちだと聞いたことがあるが、旦那、旦那の父、旦那の妹、旦那の妹の婚約者、全員どちらかというとのんびりタイプだったので、これが噂のパリパリ精神ってやつか!とちょっと嬉しかった。

いざ、おばあちゃんちへ。

旦那さんには親戚は居ないと言われており、挨拶回りはなさそうだなと油断していたら、お義母さんは9人兄妹だと聞かされた。母方だけでもめちゃくちゃいるではないか。もうこれは騙されたと言ってもいいだろう。
旦那さんの思い付きにより出発の2日前に飛行機を予約し、ゲリラ渡韓したにも関わらず、おばあちゃんと伯父さんに挨拶に行ったので、もっと事前に訪問する旨を報告してたら親戚巡りで大忙しだったかもしれない。旦那さんはそれが嫌でゲリラ渡韓にした可能性も否めない。

おばあちゃんの家は、ソウルからバスとタクシーを使って2時間くらいかかる郊外にあるとのこと。日本で言うと、東京から神奈川の奥の方に向かうイメージだ。
移動に時間がかかってしまうためか、「挨拶だけしたらすぐ帰るから」とお義母さんは言った。
旦那も妹もウンウンそうしようと頷いていた。
しかし私は今まで親戚の家に訪問した際の経験上、あいさつだけでは帰れない、きっとご飯食べて行けって言われるはず、と密かに確信していた。

お義母さんからお小遣いをもらい「おばあちゃんにお小遣い上げてね!」と言われた。
つまり、もらったお金はおばあちゃんにあげる用に用意してくれていたってこと。
旦那さんは高校卒業してすぐ日本に来てるから、韓国の大人のマナー全く知らないので、おばあちゃんにはお小遣いを渡す、とか、そーゆうのもちゃんと調べないとね。無知嫁ダメ、ぜったい。

お義母さんおすすめのおいしいドジョウ汁のお店で昼食を食べ、電車に乗り、バスターミナルへ。
トイレに行くとなんと個室にトイレットペーパーがなかった。紙が切れていたわけではない。トイレットペーパーホルダーそのものが設置されていなかったのだ。
どうやら入り口で使う分だけピックアップして個室に入るらしい。失敗した。

お母様が外から大きな声で「紙ある~~!?」(韓国語)的なことを叫んだ。
私は「あります!!」(韓国語)と叫び、自前のポケットティッシュで代用し難を逃れた。
危なかった。ハンカチとティッシュを持つよう小さい頃から教育してくれた親に感謝した。
ちなみに使用済みの紙も便器には流してはいけないルールだった。

外国に行った際、古い建物は特にトイレのルールが自国と異なることが多い。このバスターミナルもかなりレトロな建物だった。
逆に日本のデパートなどのトイレでは「便器の中に紙を流してください」という注意書きがあったりすることを思い出した。

バスとタクシーでどんどん郊外へ。
外国の田舎の風景、とてもワクワクした。

この先の会話はイチイチ(韓国語)とは記さないが、お義母さんとおばあちゃんの言葉は全部韓国語である。

おばあちゃんは94歳だが、とても元気でハキハキと話し、嬉しそうに私たちを迎え入れてくれた。

旦那さん伝いにお義母さんに聞いた。
「朝、習ったあの挨拶は?いつやるの?」
するとお母さんが「ああ、あれは、体が悪い人にはやらないの!立ったり座ったり大変でしょ!おばあちゃんは体を壊してるからやらないの!」と言った。

「え!?じゃあ朝のは何だったの?」と尋ねると、なんとあれはお義母さんとの本番クンジョルだったことが判明。
「ええええええ!?練習じゃなかったの!?」
思わず大声で驚いてしまった。

知らなかったとはいえ、お義母さんとの大切な挨拶を適当な感じで終わらせてしまったことを悔いた。しかし、よく考えたら、そもそもお義母さんのクンジョル自体がYouTubeで確認した動画の20倍くらいの適当さだったので、お義母さんの中でも、まあ形式的に一応やっとくか~くらいの感覚だったのかもしれない。

おばあちゃんの住む家は100年ほど前に建てられたらしい。
立派な門構えで、とても大きな平屋だが、あちこちボロボロだった。
直さないのかと旦那経由で尋ねたところ、「もう一人暮らしだし、もうすぐ死ぬだろうからこのままでイイ!」と言っていた。潔すぎる返答…。

おばあちゃんち

続く。

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