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偏った映画評

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#映画感想

『1917 命をかけた伝令』に没入した。

『1917 命をかけた伝令』に没入した。

 100年前の西部戦線にタイムスリップし、自分も膠着した塹壕線の中にいるのではないかと思えるほど映画の中に没入した。擬似的とはいえ、ワンショットというのは常にいつ何が起こるか分からない状況から観ている者に緊張感を与える。こんなにもスクリーンの中の世界に没入したのは本当に久々だった。

 日本人にとっての戦争といえば、第二次世界大戦における中国戦線や太平洋戦線での戦闘(大東亜戦争)が最も馴染みのある

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実写版『ヲタクに恋は難しい』に引き継がれた『電車男』の功罪

実写版『ヲタクに恋は難しい』に引き継がれた『電車男』の功罪

 元々観に行くつもりはなかったが、実写版『ヲタクに恋は難しい』を観てきた。本作に対する酷評がかなり目立ったからだ。僕はあまりに酷評が目立つと一体どんな映画なのかと興味が湧き、観に行くつもりがなかった映画でも観に行くことが多々ある。それで実写版『ヲタクに恋は難しい』を観てきた訳だ。

 それで実際どうだったのかというと、はっきり言って全く面白くなかった。僕は原作コミック、ノイタミナ枠で放送されたテレ

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『リチャード・ジュエル』に心が揺さぶられる

『リチャード・ジュエル』に心が揺さぶられる

 心が揺さぶられる映画だった。1996年のアトランタ五輪の際に起きた、爆弾テロ事件を巡って実際に起きたメディアと司法の暴力をクリント・イーストウッドが映画として描いた。

 簡単に映画のあらすじを説明する。タイトルにもなっている主人公のリチャード・ジュエルは、決して賢い訳ではないが熱い正義感を持つ警備員で、どこかちょっとオルト・ライト的な側面が垣間見える人物だ。そんなジュエルが五輪会場近くの公園で

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