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パクチーが食べられるようになった話

「タイ料理好き!」
「パクチー大盛りにできますか?」

そう言う友達をかっこいいな、憧れるなと思っている。

まだタイ料理を食べたことのない頃、自分はきっとタイ料理が好きだろうなという謎の自信と期待があった。
春菊やミョウガ、パセリなどの一癖ある野菜も好きだしカレーも大好きだったからだ。

しかしその期待は、大学生の時に入った神保町のタイ料理屋で打ち砕かれる。
食べたのはグリーンカレーだったと思う。ココナッツのこっくりした感じを始め、ナンプラー(?)パクチー等の香りがとても受け付けられなかった。
残すのも申し訳ないのでなるべく鼻から空気を吸わないように飲み込み、水で流し込んでようやく食べ終えた。(後日、トムヤムクンも苦手だとわかる)

そんな自分にしょんぼりし、諦め、冒頭に書いたようなタイ料理好き女子達を羨望の眼差しで見ていた。

グリーンカレー挫折から数年経ったある時、女の子がベトナム旅行に誘ってくれた。ナンプラーもパクチーもトムヤンクンも苦手だからあまり食べられないかもしれないけどそれでも良ければと出発した。(彼女はベトナムだからタイとは違うし大丈夫ですよ!と励ましてくれた。)

ランタンの並ぶ美しい町として有名なホイアンでバインミーを食べることになった。日本を出発する前、色んな人からバインミーはおいしいから食べた方がいいと言われていた。本場の味を経験してパクチー克服できたらいいなという期待も密かに抱いていたし、言葉がわからないので注文時にパクチー抜いてくださいとも言えなかった。 
 
「どうかお願い」
そう願いながら一口食べると、おいしい。
めちゃくちゃおいしい。旅行の2〜3日目だったが、この食事が1番おいしいと感じた。ベトナムの本場のパクチーは癖が少ないのか?雰囲気が良く気分が高揚しているから気にならないのか?バインミーのポテンシャルが高く他の具材がおいしくてマスクされているのか?
 理由はわからないけれど、帰国してからも1番おいしかったなぁとしみじみ思い出すのはバインミーだった。
 
そのときめきが忘れられず、横浜中華街にあるベトナムコーヒー屋さんに行った。そこのバインミーは北京ダック・きゅうり・玉ねぎ・にんじん・パクチーなどを挟んだ1種類で、ソースは甜麺醤かスイートチリで選ぶことができる。(ほんとうはスイートチリも得意ではないけれど、バインミーのアイデンティティと思い選んだ)

どうかな…
どきどきしながら食べると、おいしー!

苦手なはずのパクチーもスイートチリも入っていて確実に異国の味なのに不思議と食が進む。パンもおいしいし中身もおいしい。旨…!ここはベトナム…。
たまたま癖の落ち着いているパクチーなのか、旅の良い思い出でバイアスかかっているのかわからないがとてもおいしかった。
苦手なものが入っているのに全部まとめるとおいしいってどういうことなんだろう。

パクチーを克服したい人、試しにバインミーいってみるのありかもしれない。

色んな旨味が混ざった複雑なおいしさを噛み締めながら、唐突に「色んな面があるのが人間」みたいな概念が思い出された。(思考が飛躍)

ベトナム喫茶 CAFÉ GIẢNG (カフェ ジャン)
テイクアウトやってるみたいです。

写真:ホイアンのバインミー
バインミー・フーン

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