【選評】第7回青春短歌甲子園『告白短歌2021』
募集期間 2020年12月16日~2021年1月15日
応募総数 108人303首
1位 山口綴り
ふたりきり静かの海に降り立って燃える地球を眺めませんか
明日で世界が終わるなら。普遍的なテーマを壮大な叙事詩に仕上げてくれました。かつての生命の楽園が燃えるさまを月の平原から眺める二人はさながら新世界のアダムとイヴです。乗ってきた宇宙船はノアの方舟でしょうか。
2位 谷口泰星
はじめてのホテルで探すドライヤーみたいに君を探してました
ずっと君を探してた。使い古された言い回しに作者独特の死生観が加わることで、一流の口説き文句になっています。知らない世界に生まれ落ちた戸惑いと、君を見つけた安堵感が余さず表現されたユニークな一首です。
3位 青山蛹
お揃いのスタンプ欲しくて脱毛の何回も見た広告を見る
コロナ禍で多くの高齢者がスマホを使えるようになった昨今、LINEスタンプは老若男女が共感できるモチーフになりました。幼稚園児もおばあちゃんもLINEポイントを貯めるためにせっせと動画を見ているのです。「お揃いが欲しい」というなんともキュートな動機で。
句単位のまとまりにも注目しました。
お揃いの スタンプ欲しくて 脱毛の 何回も見た 広告を見る
意味のある五句で構成された歌は、初心者にも真似のしやすい最高の教材です。
ここから先は
15,701字
¥ 500
青春短歌甲子園は皆さまのサポートによって運営されている大会です。応援のほどよろしくお願いいたします。