vol.8 システマチック

  こんにちは。現代文、物理、地学講師の石原です。
  今回のブログでは、地学講師らしく大気海洋について述べようと思います。大気海洋分野というのはいわばフロンティアで、まだ明かされていない仕組みが多いです。なにが難しいのかというと、地球全体での大気・海洋を含めた非常に大きな規模でエネルギーが循環しているため、風の強弱に少し揺れが出ただけでどこかの気候に影響がでるといった、まるで風が吹いたら桶屋が儲かるというような複雑性をはらんでいるということです。
  さて、大気海洋分野でもっとも有名と言える現象は「エルニーニョ現象」でしょう。皆さんはこの現象を正しく説明できるでしょうか。
 通常、太平洋の熱帯地域では貿易風という東から西に吹く恒常風があります。南太平洋の東側において何らかの影響でこの貿易風が弱まると、水温の高い海面付近の海水が普段に比べて東側に停滞します。この状態が一年ほど続く現象がエルニーニョ現象というわけなのです。そして、この現象が起こると反対に太平洋西側ではシーソーのように海水温が下がり、日本付近で普段に比べて高気圧が卓越せず、冷夏になるというわけです。ちなみにこのシーソーのような関係を南方振動と言います。エルニーニョ現象の反対の現象をラニーニャ現象と呼ぶわけです。
 そして面白いことに、これらの現象において貿易風が弱まったり強まったりする理由も、南方振動が起こる理由もよくわかっていません。このような未知の領域を気が済むまで考えているのは大変に面白いことですし、気分が高まるというものです。
 エルニーニョ現象やラニーニャ現象、南方振動は国公立大学の地学の二次試験で頻出です。地学選択者はなかなかいないと思いますが、これを機に理解を深めておくと良いでしょう。大変に暑い日に、これならエルニーニョ現象が起きてもいいかもな…などと思いながら執筆しました。
石原

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