『養性訣』解説 - 江戸の養生書を読む 01

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養生のさまたげになる5つのこと ー 養性訣解説01

自己管理ほど難しいものはない。食べ過ぎや飲み過ぎが健康に悪いのは、誰でも知っている。何も最新の科学的なデータなどを持ち出さなくても、もうすでに当たり前の事実だ。なのに実行は難しい。 結局のところ、予防可能なたぐいの病気になってしまうのは、自制心の問題なのだろう。 特に現代人は身体…

身体から心をととのえる ー 養性訣解説02

五事調和のための養生法 究極の養生とは、様々な欲望に動揺しない、徳性の高い人になること。『養性訣』冒頭にある、このストイックな考え方を前回紹介したが、著者の平野重誠の本業は宗教家ではない。医者である。 そのため、患者を説教ではなく、別のアプローチで心身の安定に導こうとしていた。そ…

レゴ遊びに学ぶ、健康のための仕事のやり方ー 養性訣解説03

子どもと一緒に、よくレゴで遊ぶ。遊びとはいえ、レゴはものづくり作業。人間の本能をくすぐり、大人でも達成感と喜びが得られる。皆さんはレゴでどんなものを作ったことがあるだろうか? 我が家では時々実用的なものも作る。最近ではティッシュペーパーのケースを製作した。ティッシュの箱の大きさに…

食材や薬材の性質の偏りについて - 養性訣解説04

健康増進のために、私たちは何を食べるとよいか? 東洋医学従事者としての私に向けて、時々こういった質問がくる。実はなかなか難しい問いで、いつも気のきいた答えがみつからない。これは東洋医学的にみて、誰にでもよい健康食材がそれほど多くないからなのだろう。 通常、東洋医学的な食養生は、個…

こころのかたより - 養性訣解説05

ここ10年ほど、ほぼ新聞を読んでいない。これは私に限ったことではなく、同じような方はきっと多いだろう。 普段はほとんどスマホでしかニュースを見ず、アプリやSNSがなければ、世の中で何が起きているか、全くわからない。ネットはそれくらい情報を集める方法として、頼りになるし、頼りきっている…

その悩みは、幻かもしれない - 養性訣解説06

昔話 昔々、中国の随の時代に、陳箴(ちんしん)という人がいました。ある日、陳箴は仙人の張果(ちょうか)に占われ、ショッキングなことを告知されます。 あなたは一年もたたないうちに必ず死ぬ、と。 困った陳箴は、弟の顗禅師(きぜんじ)に相談しました。すると顗禅師は、食(たべもの)眠(ね…

満腹の害 - 養性訣解説07

1.満腹の害 「腹八分に医者いらず」という諺がある。なんとなくそれは正しいことなのだろうと、皆さんも認識しているだろう。ただ、八分目を守らないと一体どうなってしまうのか。そのあたりが曖昧だ。 今回の『養性訣』解説は、食について。八分目の利点と、それを守らないとどうなるのかが説かれ…

眠りすぎの江戸の人から、睡眠不足の現代人が学ぶこと - 養性訣解説08

今回の養性訣解説は「睡眠」について。睡眠というと、現代では睡眠不足が問題になることが多い。 一方で、江戸時代の養生書である『養性訣』では、睡眠不足よりも、過眠の害を説いている。恐らく江戸時代は、慢性的な睡眠不足の人は、現代よりもはるかに少なかったのだろう。 では睡眠不足の現代人は…

理想の腹はどんな腹? - 養性訣解説09

「腹の内をさぐる」「腹がたつ」「腹がすわる」など、心情を表す慣用句には「腹」という言葉がよく使われる。東洋医学においても腹は重要視されているが、今回の養性訣解説のテーマは腹と心身の安定について。 言葉の上でも関係の深い腹と心を、心の健康を重視する『養性訣』では、どのようにとらえて…

淡々と今を生きる - 養性訣解説10

面白おかしく暮らしたい、華やかな生活がしたい、有名になりたい。誰もがもつ正常な欲求だろう。ただ、これらの欲には際限がなく、求めすぎると体を病んでしまうことがある。 今回の『養性訣』は、欲望と心に関することがテーマになる。心の摂生は五事調和の最終目標で、ここで上巻も終わる。それでは…