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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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#養生やまと歌

くらげよく上気をさぐる湿に吉めを明に頭風をぞ治す - 養生やまと歌 071

クラゲは昔から酢の物にされていたようで、『和歌食物本草』では以下の歌のように、「ショウガ酢」で食べるべきであるとしています。 「くらげこそ痰を消すなり気をも益す はじかみ酢にて食すべきなり」 ショウガを加えるとさらに美味しく食べられそうですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://

章門は臍より上へ二寸也わきへ九寸の脇肋の端 - 養生やまと歌 070

食欲不振や胃もたれにオススメのツボです。章門はツボ押しだと恐らくそれほど効果が出ないので、できれば家庭用の台座つき灸をすえるようにしましょう。慢性化した重度のものでなければ、1日1回~2回を、数日すえ続けるだけで胃の症状が落ち着いていきます。 以下の足三里を併用するとさらに良いので、ぜひお試しください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter

黒豆は水腫にもよし食を消す胸のいきるや胃熱去るもの - 養生やまと歌 069

黒豆は瘀血や体内の冷えを散らしたり、腎を補うともされており、以下のような歌もあります。 黒豆を塩にて煮しめ常に食え腎を補う薬なりけり(『和歌食物本草』) くろまめは五蔵のふそく補益して瘀血を下し内寒を去る(『宜禁本草集要歌』) 塩で煮染める場合は、腎臓に逆に負担がかかってしまわないように、塩分はできるだけ控えるようにしましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介し

胸のうちふさがるごとくまた痛み咳逆短気膻中の穴 - 養生やまと歌 068

胸部の不快感や肋間神経痛などの胸まわりの諸症状によく、母乳の出が悪い場合にも使います。このツボは背中に向けて垂直に押すことを意識しましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram.com/sei

野鴨は冷甘く毒なし気を下し尿を通じ水気能く利す - 養生やまと歌 067

鴨は体の虚弱な方に向いた食材で、本草書には「補中益気」の効や、胃を調えて消化を助ける作用が記載されています。時々無性に食べたくなりますね。⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram.com/sei

胸脇に積つかえ有からえつき食進ずば粱門の穴 - 養生やまと歌 066

粱門は胃がもたれている時など、足三里と併用するとより効果的です。⠀ ⠀ 刺激のしかたは、指圧だと加減が難しいので、摩擦刺激をします。⠀ ⠀ さすり方は次のとおりです。⠀ ⠀ 【粱門軽擦法】⠀ ・両手を粱門のやや上にあて、そのまま上から下に軽くさする。⠀ ⠀ ・さする範囲は梁門からお臍の横あたりまで。⠀ ⠀ ・上下往復するようにさすらず、上から下へ一方向にさする。⠀ ⠀ ・これを30回行う。⠀ ⠀ 足三里の画像も再掲しておきます。足三里は指圧で刺激してみてください。⠀ ⠀

せり常に血の道を治し身を肥し二便通じて気をも散する - 養生やまと歌 065

こんな真夏にご紹介すべき野菜ではないですが、補血益気の効があり、月経を調えると考えられています。男女関係なくおすすめの食材なので、冬に入ったらぜひ食卓に並べてみてください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.i

五つの指屈伸成がたく肘とひじのかなわぬは中渚 - 養生やまと歌 064

中渚は手の少陽三焦経(さんしょうけい)という経脈に所属します。この三焦経は耳と関係しており、耳鳴りや耳閉感、めまいにもよく使われています。刺激は家庭用の台座型灸か、指圧刺激を行うとよいです。 【ツボ押しのコツ】 骨と骨の間にあるツボなので、指の先端を使います。骨のすき間に指先をしっかりはめて、以下の要領で押しましょう。 1.一点を垂直に押す。グリグリこねるように押さない。 2.押し込んだたまま5秒保持して、指の力をゆっくり緩める。1箇所につき5回から10回を限度に押す。

鹹き味わい多く食すれば心をやぶりて色を変ずる - 養生やまと歌 063

五味の偏食を戒める歌はこれで最後になります。 こわい歌ばかりでしたが、普通に食事をするだけでしたらこんな現象はおきません。同じものばかりを大量に連日食べ続けるのを避け、色々な味の食材を食べるように意識しましょう。 現代人の場合、五味というよりかは健康食品の類で、特定の成分を過剰摂取してしまう可能性がありますね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Tw

辛き物多く食せば肝やぶれ筋引つりて爪ぞかれぬる - 養生やまと歌 062

五味週間の4首目は「辛(からい)」です。 辛味はかぜを引いた時に、発汗作用よって熱を下げるために用いられてきました。 体を温める目的で用いられがちですが、冷え性の場合でも、常にジワッと皮膚にとどまるような汗をかくタイプの方には、発汗作用で冷えを強めてしまうので不向きです。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも

甘きもの多く食せば腎やふれ骨髄痛み歯をも損ざす - 養生やまと歌 061

五味週間の第三首目は「甘(あまい)」です。 『養生大意抄』という養生書では、「甘物をつづけて多食すれば、中焦(ちゅうしょう)の気滞りて痞満腹痛等の病を発す。」とあります。 ここに「つづけて多食」と記載されるように、連日のように沢山食べるのは控えましょう。 甘い物に限らず、楽しみは「時々ちょっと」が養生の基本です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。

苦きもの多く食せば肺やぶれ皮かれ髪の毛も落ちぬべし - 養生やまと歌 060

五味週間の二首目は苦みです。食べ過ぎるとハゲるというのはなかなか嫌ですね。 今週ご紹介中の五味の歌は、五味の偏りを戒めるためのもので、普通に食事をする量であれば、こんなに恐ろしいことは起きません。どうぞご心配なさらずに。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/s

すき味を多く食せは脾胃やぶれくちびるしはむものときくなり - 養生やまと歌 059

今週は五味週間とし、五味が偏った時の害についての歌をご紹介していきます。 五味とは酸苦甘辛鹹の五つの味のことで、この五つの味を偏りなく食べることが、食養生の基本です。五味を意識すると、自然と食材選びにもバランスが取れてきます。 第一首目は「酸」です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https

梅干しは吐逆をとめて痰をきる喉の痛むに含みてぞよき - 養生やまと歌 058

『本朝食鑑』には梅干しは喉の痛みによいとし、「病の軽いものの場合は、梅干し一個を口に含み、ゆっくり唾液とともに嚥みこんでいくと痛みが止む。(筆者訳)」とありました。梅干しは他にも色々と使えますので、常備しておきたいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/s