マガジンのカバー画像

総合計画の作り方

8
運営しているクリエイター

記事一覧

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その8 ; 「市民」は存在しない。市民協働のリアル。

ついに8回目です。今回は、市民協働のあり方です。僕自身、実は、この「市民協働」という言葉には大きな違和感をもって業務を進めてきました。 「市民協働」!というが、そもそも「市民」とはだれなのか?。市民と対話をしながら、事業を進めれば本当にうまくいくのか?ということを、この業界に入ってからいつも感じていました。 その当時、2000年前後における市民協働の議論のポイントは、「パブリックインボルブメント」つまり、事業計画を作る際に幅広い意見をきく、もっというと幅広い意見を述べるこ

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その7 なぜ「失敗」を大事にするのか。

7回まで来ました。テーマは自治体の総合計画の作り方です。アマゾンでもなどの下記のご本があります。それぞれに勉強になります。特に市民との対話の仕方などは特に。しかし。傾向として、失敗からどうやって再生したかについてはそこまで書かれていないと思っています。 今回は前回の続きです。これまでロジックモデルのあり方について議論しました。少なくない自治体で導入されているPDCAのモデルは、「作っただけ」になる可能性が高いことをご指摘しました。その原因は、指標の設定について論理的に合理的

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その6; 風が吹けば桶屋が儲かる型ロジックモデルからの脱却;

その5 で事業は事務事業のチェックの仕方を確認しました。そのキモは事業を中心として、手段目的の関係をつくれるかどうかにかかっています。でもでも・・・・自治体の政策担当の方にお話をお伺いすると、典型的な悩みが登場します。この悩みを作っているのが、安易な「風が吹けば桶屋が儲かる」型ロジックモデルによる事業形成です。 ロジックモデルとは何かというと↓。下の事例はかっちり作ったものです。資源の配置から作っているパターンです。僕的にかっちりと作ることには反対ではありません。様々なフ

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その5 PDCAサイクルからの脱出

その5からは基本計画(五年間)の作り方を議論していきます。ちなみにその1〜4は基本構想でした。 まず、基本的スタンスの確認です。まず、PDCAサイクルからの脱却です。ミ民間・行政ともに組織運営の基本はPDCAサイクルといわれます。それは、一旦、計画もしくは戦略が立ち上がって運用する時の話。計画を作る時の思考は別。 おすすめは、C-A-P-Dです。チェックから入ることがキモ。もっというと、観察-分析-試行-実践のプロセスを毎年の決算審査→予算編成に入れ込むことが重要になりま

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その1 他自治体との比較からギャップをみつける。0407追加版

さて、そろそろ新年度を迎え、自治体等では総合(振興)計画の策定プロセスが始まっているかと思います。そこで、細川がどのようにして計画を作っていくのかを何回かに分けてご紹介したいと思います。 細川の流儀は、デザイン的思考からの政策形成+課題ツリー/仮説ツリーを核としたPCM(プロセスサイクルマネジメント)というところでしょうか。この手法の詳細は、後ほどとして、とりいそぎ、何をするのかを作業ベースでステップごとにご紹介したいと思います。 で、まず、何をするのかというと、自治体を

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その2 人口動態を緻密に分析する。

その2です。前回は各種社会統計の収集・分析のステップでした。その3では、その中で人口動態を抑えることの重要性を示します。人口動態の分析は、これまで以上に重要になってきたといえます。生活圏と経済圏と行政圏とのずれの発生、そして政策目標としての人口移動が登場していることに起因しています。 まず、制度として、市町村合併が昭和・平成を行われる中で、行政圏域は拡大してきました。そして、交通経路の発達と自動車等による移動が容易になったことは雇用と消費(現在では国境すら)が絶えず越境する

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その3 今後の10年間の松竹梅を推計する

その3は、その1とその2でわかってきた自治体を取り巻く各種状況の分析が終わったことが前提です。過去10年間、そして、近隣自治体と自分の自治体の差がわかったのみ実施可能性です。 松竹梅の必要性 そこで、行うことは今後10年間の松竹梅です。かっこよくいうとシナリオメイキングというやつです。どんなことが自分の自治体を取り巻くさまざまな環境で変化がおこり、そして、その変化が自分の自治体に起こり得るのかを考えることが必要になります。 なぜ必要か? 端的にいうと、今後10年間を見通し

政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その4 住民ワークショップは有効か?

その1〜その3まで読んだ方の感想として、住民との対話はどうするのかというという問いが発生すると思います。実は、僕がこの業界〜行政経営/改革業界に入ったきっかけはワークショップのデザイナーでした。2000年前後でした。 最初に行った住民ワークショップは、その当時に在籍していた島根県の土木設計の会社の仕事で、散策路の舗装形状についてのものでした。今でいうKJ法的な手法で、noteを読んでいる方レベルですと知っているであろう、付箋にアイデアを書いてもらって、最小公倍数でまとめると