政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その4 住民ワークショップは有効か?
その1〜その3まで読んだ方の感想として、住民との対話はどうするのかというという問いが発生すると思います。実は、僕がこの業界〜行政経営/改革業界に入ったきっかけはワークショップのデザイナーでした。2000年前後でした。
最初に行った住民ワークショップは、その当時に在籍していた島根県の土木設計の会社の仕事で、散策路の舗装形状についてのものでした。今でいうKJ法的な手法で、noteを読んでいる方レベルですと知っているであろう、付箋にアイデアを書いてもらって、最小公倍数でまとめるというものでした。最後には模造紙に書いてもらった付箋を貼って誰かが説明というところでしょうか。アイスブレイク、チェックイン、ファシリテーションなどの言葉もその当時に知りました。今は普通に使う言葉ですが、その当時は新鮮でした。
その当時は、↓のようなテキストを読み、すぐに現場で活用するということをくりかえていました。
結果として、その当時(今もですが)、住民参加的な、いろんなイベントは的確にやらないと単なるイベント、非日常空間になるということでした。その当時、多くの自治体では住民説明会というものが行われ、自治体職員の方が文書を配り、説明を一方的にし、最後に質問は?といわれ、シーンというということが連発していたかと思います。住民のための施設を作る、道路をつくるといっても住民の声は形式的な場でひろうというものが多かったかと思います。
その意味では、2000年前後からの社会資本整備(道路・港・都市計画・公園)を中心にスタートした「ワークショップ」は意義はあったと思います。
その後、転機が訪れます。確かに「ワークショップ」という会議形式は、多様な意見を、自由闊達な状態することで、発生することには成功します。しかし、いくつかの問題が発生しました。
出てくる住民からの意見がどこかで聞いたことのあるようなものが連発したり、住民の意見を実際設計する段階においては技術上、資金上、採用できないものが頻発したり。また、「ワークショップ」の実施回数は見積もり上、決まっていて(それでもその回数でなんとかするのがプロだ、とか言われてました)、議論が紛糾した場合に対応できなかったり、そして、最終的には、そもそも、どうしてこの社会的課題を取り上げたのか・・という問題に波及してしまうことを体験してしまいました。
今でいうところの情報非均衡、計画策定の不確実性という問題にぶつかったというところでしょうか。
うつうつとしながら、いわゆる市民参加型社会資本整備を進めていくわけです。正直、うけていたと思います。住民からすると普段使う施設に自分の意見がなんらかの形ではいる、行政からすると、補助金等を獲得するステップとしての住民の声を聞いたというものは大きい成果だったかと思います。
しかし、先述の状況に加え、参加する人がほぼ一定、議会からの政治的なプレッシャーなどの状況も発生するなども発生し、個人的にはしんどくなってきた時期でした。
そこで、とある都市計画系の大学院の勉強会に出席したところ、目から鱗とはこのことかという体験をします。それがPCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)です。現在は国際開発機構で教育プログラムがあります。
端的にいうと↑のでまとめられているのですが、この三つが原則です。要は、ワークショップの議論に論理性〜時間軸を入れるという手法なのです。参加者に「なぜとだから」を考えさせるということなのです。これを取りれると途端に細川のワークショップは疲れるとか、ひさしぶりに脳に汗をかいたという声が寄せられるようになりました。
参加型
ワークショップ形式の協議のため、関係者が計画作成に主体的に参加することができる。
論理型
ワークショップを通じて「原因―結果」、「手段―目的」等の関係に基づいて状況が論理的に分析される。
一貫性
計画・実施・評価というプロジェクトの全過程を一貫して運営管理することができる。
その当時のことは↓に書いてあります。
明日はこのPCM手法での事例および成功のポイントをご紹介します。
(了)
ありがとうございます!