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清流紫暁 短編小説『骸』

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清流紫暁の短編小説集です
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愛の墓地

愛の墓地

 廊下には墓地が広がっていた。

 どうやら間違って入ってしまい、ガラスの向こうに自由があると考えてずっとぶつかっていたらしい。

 まるで籠の中の鳥の様に。

 ハエやガ、アゲハチョウなんかもいた。
 そこで私は地獄を見たのだった。

 ちらほら散らばる死骸の中から私は一羽のチョウを引っ張り出した。
 チョウと分かったのは外羽根はガの様にくすんでいたが、昼を待つ昼顔の様に閉じていたからであった。

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