スペイン巡礼2018回想記(47)エル・エスコリアル2日目
2018年6月21日。スペイン巡礼終了後のボーナスタイム9日目。
前回2017年のトレド旅行の際に一度訪れ、ぜひゆっくり再訪したいという希望を1年後にして叶えた、エル・エスコリアル2日目だった。
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この日の午前中は朝食の写真しか残っておらず、記憶も記録もないのだが、おそらく再訪したかった庭園内の並木道をまた見にいったのだと思う。
ゆっくり庭園を見たいという念願が叶ったわけだが、やはりかなり暑かったことと、6月下旬で緑が褪せてきていたこと、スペイン巡礼中はあまりにも雄大な景色の連続だったため、広大な庭園が小さくつくりものめいて見えたことを覚えている。
それで、去年通りがかったときほどの感動もなく、ちょっとした失望感とともに、すぐホテルに戻って昼寝していたような気がする。
昼下がりに起きだし、近くにある日本食の店へでかけた。
目的の店は日本人経営なので、クオリティ面を期待していたのだが、実はこの旅で立ち寄った日本食の中で、いちばんパチもんの気配が濃厚だった。
おぼろげな記憶によると、この鶏胸肉のオイスターソース(?)炒め、これが「鶏の唐揚げ」とか何とかメニューに書かれていた気がする。別にまずくはなかったが、求めていた鶏の唐揚げはこれじゃないッ!!! と内心絶叫した。
しかも、なぜか店主がオリジナルな工夫を凝らしたのだといって自慢げだったのが、今なお解せない。
(「王子の別荘」の庭園のひとつから望むエル・エスコリアル修道院)
午後は、まだ行っていない場所へ行ってみることにした。
未訪問の庭園と、修道院を望む見晴台があるようなので、歩いていくことにする。他に有名スポットとしてはフランコの墓などがあったが、フランコの墓に行きたいという気持ちが1ミリも存在しなかったので、やめた(墓は敬意がなければ行けないと思う)。
例によって炎天下を、てくてく歩く。舗装路も暑いし、庭園の地面は細かい砂利か何かだったと思うが、普通に熱を反射してきて暑かった。
(絵だけ見ていると楽園のようなのだが、大変暑かった)
庭園を一周したのち、見晴台へ。
見晴台へは、エル・エスコリアルの市街地から森をひとつ越えて、さらに高台を登っていく必要がある。
気温が低ければなかなか気持ちのいい道だと思うが、残念ながら高いので、ヨロヨロと登っていった。居合わせた高校生カップルも、しきりとペットボトルの水を飲みながら歩いている。
見晴台のある公園にたどりつき、最後の石段を登ると、一気に視界がひらけた。
あたり一面の森のむこうに、エル・エスコリアル修道院が見えている。
(エル・エスコリアル修道院を拡大)
中を歩いているときはわかっていなかったが、私はこの広い森をえんえん歩いてきたらしい。
広々とした眺めに圧倒され、私は見晴台になっている岩の上に座りこんだ(写真は私の足である)。
エル・エスコリアルに来てから、やはり二度めの訪問は一度めほどの感動はないな、という感じが常につきまとっていたが、この眺めを前に吹きとんだ。
この広い森を自分の足でやってきたのだと思うと、不思議な勝利の感覚がある。
見晴台の公園はそれなりに人がいたので、次の人に眺めを譲り、市街地への道を帰っていった。
(また最初の庭園に行って写真を撮る)
(これも別の庭園)
夕食は、昼食時間が遅かったので、スーパーでスナックや生ハムを買って軽くすませる。
記憶によると、エル・エスコリアルのスーパーは生搾りオレンジジュースマシンを置いていないスーパーチェーンで、非常に落胆した。
私はスペイン巡礼で親しんだいろいろなものに取り憑かれたが、その最たるものが生搾りオレンジジュースだった。前にも書いたが、帰国後は生搾りオレンジジュースを探しまわり、代官山のピカールで同じジュースマシンに再会して大喜びしたものである。
他に取り憑かれたものとしては、ビールのエステージャ ・ガリシア(帰国後通販した)、ヨーロッパのつぶれた桃こと蟠桃(千疋屋本店に調達しにいった。高価。写真中央やや左の桃がそれ)、小さいピーマンの一種ピミエントスないしパドロン(実は最近食べられる店を発見したのだが、まだ行っていない。「遠野パドロン」という種類は通販もできるが、これも未経験。一時期、代用としてシシトウや甘とうがらしなどを炒めて食べていた)など。
あっ、そうか、最たるものは「歩くこと」だった。帰国後、私はスペイン巡礼に類似した体験を求めて、登山デビューすることになる。それについてはまた、巡礼回想記が終わったあとで。
(スペイン巡礼2018回想記(48)に続きます)
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