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【本】諦める力

 陸上選手の為末さんの書籍。大人気の本です。努力だけではどうにもならない差というものが必ず存在する。自分の向き不向きもある。いくら努力しても報われない、改善されないならばその環境や手段は諦めて、自分を活かせる道を探すほうが正しい。世界陸上で活躍されるほどの為末さんだからこそ、正しいを方向で正しいやり方を実行しなければ世界のトップには立てない、不向きは諦めることの重要性が人一番ご存じなのだと思います。

■諦めることとは

23p.今の僕にとって、何かを「やめる」ことは「選ぶ」こと、「決める」ことに近い。もっと若いころは「やめる」ことは「諦める」こと、「逃げる」ことだった。

25p.多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいではないだろうか。

 諦めると聞くと、ネガティブなイメージがつきます。何かを諦めた=何かに失敗した。という関係式まで浮かび上がってきます。ですが、選択が間違っていたから、他の選択肢に変える。目的達成にはこの手段は不適だった、だけと考えると決して失敗したとは思えません。諦めることはもっと軽い感じでもいいはずです。為末さんは陸上の数多くある種目のなかでハードル走を選びました。これは単なる100m走や長距離マラソンでは勝てるフィールドに立てないことを知って、自分が勝ち続けることを目的にしたとき、ハードル走が最も目的達成に適したと判断したからです。目的達成のための手段は数多くあるはずですが、最も自分に合ったものは僅かです。諦める=選ぶ

■では、最適な手段は

34p人生は可能性を減らしていく過程でもある。

37p.極端なことをいえば、勝ちたいから努力するよりも、さしたる努力をするこなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。

37p.最高の戦略は努力が娯楽化することである。そこには苦しみやつらさという感覚はなく、純粋な楽しさがある。苦しくなければ成長できないなんてことはない。人生は楽しんでいい、そして楽しみながら成長すること自体が成長への近道なのだ。

 様々な手段があるなかで自分に合ったやり方はなんでしょうか。為末さんは苦労せずとも勝ってしまい、自分が楽しんでできるものだと言っています。前者の方は簡単には分からないかもしれません。なぜなら、自分は苦労していないので、出来ていることが分からないからです。後者は、自分が無我夢中で取り組めるものがそれですね。内容はなんでもいいはずです。アニメ、料理、読書、スポーツなどなど。
 問題は前者です。会社や学校で、自分が簡単に取り組めている事が何か聞いてみるといいですね。同時に、自分がやるとセンスのない事も聞けるといいです。ところが、私のようなボッチには聞ける方があまりいません。なので、自分で調べるしかないです。ストレングスファインダーっていう自己分析サービスがあるのをこの前知りました。イケダハヤトさんのブログに書いてありました。これを使うと、自分が得意とする性質が分かります。別の記事でそれを書きますね。最適な手段=容易+楽しさ

■今の人生以外にも

61p.人には自分が今歩いている道の横に、並行して走っている人生がかならずある。(中略)アスリートという人生のほかにも、普通の企業に勤めるビジネスパーソンとして生きる人生もあっただろう。(中略)まずは、今見えているのとは違う人生があることをわかっておくことだ。

84p.自分にとってそれほど大事でないことを後回しにするのは、ある種の知恵である。ところが、自分にとって大事な「勘どころ」をズルズル引き延ばすことは、リスクでしかない。

102p.人間の脳には意識できる領域以外にも記憶があって、僕はそれが勘と呼ばれるものではないかと思っている。(中略)僕の人生を振り返っても、実は勘からくるもので判断していることが案外多い。

 アスリート以外の人生だったら、ビジネスパーソンがあると述べられております。アスリートでなく最初からサラリーマンの私も、今の会社以外に勤めていたかもしれない可能性があります。これを過去~現在ではなく、現在~未来におくなら、このままサラリーマンを続ける人生以外にも起業する、もう一回学生になる、結婚したら主夫になる。など、様々な可能性があります。今のままではない、変化となるきっかけが勘だったり。勘というよりも、ふとした思いつきかもしれません。

■自分で選ぶ難しさ

128p.「測る」とは、勝利条件の設定にほかならない。どうすれば勝ちなのかが決まって初めて戦略が生まれる。社会や人生における勝利条件として万人に共通なものはない。だから自分や組織で決めるしかない。

130p.本当の幸せや満足は、勝負における勝ち負けとは別のところにあったりするから、人生というものはややこしい。

138p.人から選ばれようとすることは、誰かが設定したランキングからずっと抜け出せないことを意味する。他者評価を求めすぎることは、権威のあるランキングに振り回されることになる。自分なりのランキングを持つということは、他者評価自体を客観的に見ることにほかならない。

141p.積み重ねるほうにだけ必死になっていて、選ぶ努力を怠った結果、空回りしている人も多い。結局、「選ぶ」ことを人まかせにしてしまうと、自分にツケが回ってくる。

171p.さほどがんばらなくてもできてしまうことは何か。今まで以上にがんばっているのにできなくなったのはなぜか。そういうことを折りに触れて自分に問うことで、何かをやめたり、変えたりするタイミングというのはおのずとわかってくるものだと思う。

 人に選ぶことを任せていると他人の評価で生きていくことになります。自分の決めた目的達成までの道筋に、ひとつずつ小さな目標を置き、今どんな状況なのか自分の基準で測る。言うのは簡単ですが、実行していくのは難しいです。人に目標を決めてもらった方が楽ですから、最初は。
 しかし、進むにつれて自分の考えとは違うことに気がついてきます。そこで、自分で選び直すことができればまだ大丈夫ですね。残念なのは、為末さんが述べられているように、他人の目的のためにただ積み重ねていくことに夢中で、自分から選ぶことを怠ってしまったケース。
 自分で選ぶ事は、常にある程度習慣付けておくことが必要です。昼御飯のメニュー決める、靴下を買う、見る映画決める、など他人の選択に合わせることに慣れていると、自分で決めることができなくなります。小さな事から自分で選び決める。

■できることは。

227p.「どうしようもないことをどうにかする」という発想から、「どうにかしようがあることをどうにかする」という発想に切り替えることしかない。

234p.諦めるという言葉は、明らめることだと言った。

 無理なものは無理です。諦めましょう。
 できる範囲でどうにかしましょう。しかし、上記で書いたように、人生には今とは異なる人生が並行しています。並行している道で乗り換えられるならば、乗り換えるのも手です。今の置かれた環境に限定するのは、選択肢が狭いです。乗り換えられる範囲で、どうにかできる、自分の苦労せず楽しい手段で目的を達成しましょう。

全て引用して紹介したいくらいの内容でした。諦めることに前向きになり、自分の選べる未来がもっと気軽に作れるようになりたいです。

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