見出し画像

『昨日のおかしな記念日』

そうだ
そうだった
1日すぎたけれど
そうだった
10年ぶりに詩を書きはじめたから思いだしたのだ
むかし、11月16日生まれの女に恋をしたのだ
そう、それで、詩を書いたのが、初だ

私の詩か生まれた日、なんてとうにわすれたが
私の詩が生まれたきっかけの女の生まれた日が11月16日だ
これはこれで、おかしな記念日だが
それが、昨日だ、おめでとう
どこかで、どうか、しあわせに暮らしているだろう
いい女だった、ありがとう
私の詩の生みの親といっていい女よ、おかしな話だが

懐かしいかんじを思い出した
生まれかわったような気がしたのだ
もどかしいことばかりの恋だったけれど
そう、このとき私は半分生まれかわった
正確にいうと、フラれてひと月で半分生まれかわった
私はこんなに半分生まれかわる男だとは思っていなかった

私は立ち直るたびに、半分だけ生まれかわる
この夏も半分生まれかわり、この秋も半分生まれかわり
フラれて半分生まれかわったのは春だった
あ、これから、冬がまだあるのかもしれない
3回生まれかわっただけでいいじゃないか、半分づつだけど
余裕でキリストを超えたぞ

むかし恋をしたばかりにフラれて死んだ私は立ち直り半分生まれかわった
がんになり死んだそばから治りまた半分生まれかわった
抗がん剤で鬱々不安頭になり死んだそばからまたまた心療内科の薬で半分生まれかわった
むかしの私は八分の一しかない
新しめの私が八分の七だ

昨日はそんなおかしな記念日だった



この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,427件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?