マガジンのカバー画像

エッセイのほう

375
野蛮で図々しくてくだらないことを書いています。400字~2000字くらいでしょうか。
運営しているクリエイター

#抗がん剤

『ほう』

「ほう」と感心してみましょう。 何ごとも「ほう」から始めてみましょう。「ほう」には含みが持たせてあります。一例をあげましょう。「ほう」と言いながら、その間に脳をフル回転させて見ましょう。二の句が出てこない時の時間稼ぎの「ほう」です。そのわずかな時間で失言も防げるでしょう。 また、よりよい対人関係づくりの為の一歩だと思って、毎日トーンを変えて「ほう」の練習を心掛けてみましょう。リラックスして反響する風呂場がいいのではないでしょうか。そこから、メロディーが出てきたら儲けものです。

『ま夏。八月二十五日、その二。明日、退院予定』

暇なので、もう一本文章を書こう。家にいたときも暇ではあったけれど、環境が変わると書くものが増える。「書を捨てよ、街にでよう」か。 軽く、筋トレを始めている。 ベッド内や廊下の壁際で。もも上げ腹筋。プランク。スクワットをしている。カテーテル・ポートの埋め込み場所に痛みもない。 三種類目の抗がん剤治療の副作用もない。しゃっくりは、「水分補給を多めに取ると治りますよ」と言われて、その通りにしたら、明らかに減じた。どの看護師に教えて頂いたのか忘れてしまったけれど。感謝、感謝。 看

『一気読み用、ま夏入院日記。八月十五日~まとめ。随時、追記。おそらく私の気分が秋になるまでつづく』

肝臓がんの手術が延期になった事は昨日書いた。 ひょっとすると、セカンドオピニオンで幾つかの病院を受診すれば、この状態でも「手術はできる」という外科医はいるかも知れない。私も当初「それでも、手術をしてほしい」と言った。けれど、想像してみた、このまま一生退院できずに入院暮らし、そのまま終末病棟ゆきの未来が見えてしまった。 『リスクの選択』だ。どちらを選んでもリスクはある。私の希望は最後の最後まで家で過ごす事だ。そして、最後の最後までバイクで走る事だ。自分の下の世話ができなくなるま

『ま夏。八月二十三日。今年は涼しい』

外気温のことではない。私が入院している棟内の室温が、昨年と比べてなぜか丁度いいのだ。私の体調もあるのだろう。なにせ、盲腸がんの昨年とは手術後の痛みが雲泥の差だ。痛みは昨年の十分の一といったところだと思う。 昨年は、術後の点滴後にホットフラッシュを食らっていた。それで、熱が出たのだ。ホットフラッシュとは簡単にいうとアレルギー反応の事で、眠剤か傷み止めの点滴と私の相性がたまたま悪かった。その結果、発熱した。今回はそれがない。けれど、手術室へ向かう前のエレベーターに乗った時に、む

『真夏。休薬期間中。157日目』

さて、今日は再血液検査と胃カメラ検査がある。これで、入院と手術日程が決まるはずだ。 私は、昨年の盲腸癌の手術が終わった時に、色々調べてみた。その結果、余命はあと五年くらいだろう、と思っていた。盲腸癌及び大腸癌の再発を懸念していた。 それが、今年の三月に肝臓に癌の転移が確認された。ステージ4、余命は、「平均すると二年半というところです」、そんな言葉を主治医から頂戴している。一気に余命(死神)にまくられた。その後の、5クールの抗がん剤治療はキツかった。5クールの間中、ほぼ『腹下

『5クール。121日目』

率直にいって、5クール目は一番辛かった。 夕食時にあと3錠の抗がん剤を服用すればいい。ただでさえ、梅雨に弱い私のすべてのバロメーターが目減りしている感覚だ。果たして体調は戻るのだろうか。私の絶不調時にはサンタクロースが頭の中に現れる。プレゼントはない。ヘビー級のサンタクロースが鈴を鳴らしながらサンドバッグを叩き続ける。それが、昨夜だった。眠れたのは3時だ。 さて、今日で5クールを閉めて、121日間の『がんかわいがり』の効果と長い休薬期間と検査という未知数の領域に入る。場合に

『4クール。99日目』

4クール目も先が見えてきた。 月、火で抗がん剤の服用期間は終わる。『腹下り』もなく、無事に6/25日には5クール目に入れそうだ。絶対に無理だと思っていた、チョコミントアイスも食べる事ができている。 この4クール目の副作用の少なさは、どこから来ているのだろう。休薬期間を長めに取った事が良いほうに働いているのは間違いないとしても、一切の『腹下り』がないのは初めてだ。 食事は1クール目に比べたら随分変わった。試行錯誤を繰り返してきた結果がでているのかも知れない。4クール目の私の日

『4クール。92日目』

とつぜん、常緑樹が欲しくなった。で、50cmほどのオリーブの樹をホームセンターで買って鉢に植えた。オリーブより鉢のほうが値段が高かった。玄関の両脇に配置してみた。なかなか良い。這生のローズマリーも買って二階のベランダで育てようと思っていた。これは、這生のローズマリーが見つからず、断念した。二階のベランダに、ゴーヤ1本では寂しい。なにか、見つけようと思う。 それと、我が家では、夏の台所の生ごみ臭対策として、春から『家庭用コンポスト計画』を、推し進めていた。端的に言えば、失敗し

あと、約2時間半かかるそうだ。なんだかんだ16時と予想した。私は、尿意とも戦っている。2時間半なら勝てる。3時間だと引き分け。3時間半だと負けだ。そういう事だ。もちろん点滴しながらトイレには行ける。私が決めた私だけの戦いがそこにある。

9時半から点滴をしている。薬剤が後発品に変わった事により点滴時間が、1時間ぶん増えた。夕方までかかりそうだ。雨降りの予想でもある。まだ、時間はたっぷりある。暇つぶしのamazonmusicが止まりがちだ。新しいスマホとの相性が悪いのか、いちいち遅い。

ハイテック。悪くない。軽い。春夏の散歩に良い。ターコイズブルーには付属の紅い紐があった。赤オレンジの靴には水色の紐が付属していた。紐を付け直すか。2種類の紐があるとは、なかなかいいぞ。ハイテック。何年か様子を見てきたかいがあるというものだ。私は、ワンサイズ大きめにしました。

『休薬期間中。85日目』

6/3日だ。休薬期間最終日になる。 さて、私なりの『腹下り』対策はしてある。けれど、おそらく『腹下り』は治らない。期待はしていない。究極的な解決策は「食べない」しかない。 『腹腹地獄下り』とは、便がじゃーじゃーになり、そして、1日の排便回数が10を超えたら認定となる。漏らすのはおまけみたいなものだ。 経験上、数日はなにもおこらない。しゃっくりだけだ。なんてことはない。 ひょっとすると、久しぶりの4クール目は『腹下り』は大丈夫かも知れない。5クール目辺りからは、我が家から一歩

『休薬期間中。81日目の2』

予定とは、あってないようなものだ。 臨機応変に生きなければならない。私は今日、日光の『霧降高原』辺りをツーリングしようとしていた。その予定は頓挫した。行けなくもなかった。午前中から走るのを止めただけだ。 我が家のはす向かいの家の解体作業は終わった。 と、思ったら。我が家の目の前の道路でアスファルトをひっぺがえすドリルと、重機の轟音が鳴り止まない。区画整理か、水道工事のどちらかだったはずだ。まだ、終わっていなかったのだね。私は、『湯治ツーリング』の間に終わったと思っていた。「

『やっぱり大しゃっくり阿闍梨』

やはり来た。 『ガンかわいがり点滴』の副作用の吐き気を抑える為の副作用のしゃっくりが、だ。私は3週間に二回は『大しゃっくり阿闍梨』を襲名する。 患者それぞれだろうが、やはり、吐き気よりしゃっくりのほうがマシなのだろうか。私は余程の事がないかぎり、医師の判断に従う。 私が昨夏からの治療期間に『我』をだしたのは2回だけだ。 私は基本的に素直で、「はい、はい、はい、それでいいです」の問答を繰り返す物わかりのいい患者だ。関係ないが、49歳の中年男のわりにはチャーミングなところもある