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エッセイのほう

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野蛮で図々しくてくだらないことを書いています。400字~2000字くらいでしょうか。
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2024年1月の記事一覧

『梅見散歩』

公園の駐車場から、もう、匂いがした。 園内には花が咲いていた。遠目にも、おそらく梅だろうとわかった。 私は梅の花目当てで公園までバイクで走ってきた。咲いてるかどうか半信半疑ではあったけれど。 白梅は、まだ蕾だった。いっぺんにぜんぶの梅が咲いてしまわないような、品種の選択と工夫がされているのだろう。 私は、平日の昼に働き盛りの中年男が散歩しているのは、奇妙な事であるという世間の偏見を完全に理解している中年男だ。なので、蝶が舞うような軽やかな足取りと、梅の香りにうっとりとしたさ

『相性』

私は現在、心療内科を月に一度受診しています。 そこで幾つかの薬を処方されて、『不安神経症』と『むずむず脚症候群』の治療をしています。 昨年の秋から、4ヶ月が経ちました。 まさか、自分が『心療内科』を受診する日がくるとは、思ってもいませんでした。たまたま、癌の再発予防の抗がん剤との相性が悪く、抗がん剤の服用を開始して4日目から身体がむずむずして落ち着かなくなりました。 「いてもたってもいられない」とはこの事で、夜中に階段を上り下りしたり、筋トレをしたり、常に身体を動かしていな

『デニムを脱がないという事』

昨年の秋に『革ジャンで眠るという事』という、エッセイを書いた。 私は、そのあと革ジャンを脱いで、『デニムを脱がないという事』というテーマで日夜、暮らしていた。もう、三月ほど過ぎているだろうか。 今回はマンモスの毛皮で暮らしていた原人と言うよりも、アメリカのゴールドラッシュ時代の坑夫の気分で日日を過ごしている。ほぼ、24時間同じデニムを履いている。10日にいちど水洗いをするときだけ脱いで、あとはずっと履いている。 これも、なにより、地球に冬があるお陰です。冬があるからこそ、

『もしぐん』

『もしぐん』、聞き慣れない言葉だ。 もしぐんとは、『もし、大阪万博が群馬万博だったら』の略だ。 そうであったなら、週間文春は吉本興業と松本人志氏に、このタイミングで手を出していたのだろうか。 タイミングはいくらでもあった。吉本芸人の醜聞の鉱脈はいくらでもあるのだ。それほど恣意的に文春は動けるというわけだ。 『もし、大阪万博が群馬万博だったら』、松本人志氏と吉本興業は無傷だったかも知れない。逃げ切れたかもしれない。逃げ得はあってはならない(写真家の篠山紀信氏のようにという意味

『絵の成るほうへ』

鬼さんこちら、『絵の成るほうへ』 こんな具合で、絵を描いてから、文章を書いている。私のなかのこの頃の流行だ。 で、この絵はなんなのだろうか。40に区切られたマスに○が折り重なってスタンプされている。7月と8月と9月が暑すぎるので、40日づつにしてほしいという心の訴えだろうか。 月火水木金土日夜の8日で一週でどうだろうか。夏の3ヶ月は暑すぎるので、日曜日のつぎの日は、一日中夜にする。 一日中、人間が引きこもるのは簡単だ。けれど、私は一日中、日を隠したい。こんなことが可能なのだろ

『ざわめき』

私は初詣に行った。 世の理だけでは私は暮らせない。 理路整然とした世の理の外と、通信をしたい。 そして、ざわめきたいのだ。 せめて、その、きっかけがほしい。 卑しくも、名刺代わの初詣だ。 私の内心にそっと息を吹きかけてほしいのだ。 抜けがけをしたい。