#15 ホテル暮らしの日記 : 正月

1/1(日)。今日、私は実家に帰った。
最後に帰ったのは3ヶ月くらい前であるから、まあそれほど大きな変化もない。

私の家は(と、いうより母は)、慣習やしきたりを避けてきた。なので年中行事なんて家族でやったことがない。理由はめんどいし気疲れするかららしい、気持ちは非常によくわかる。そしてそれは正月も例外ではない。

私には上に2人きょうだいが居るが、いずれも既婚者である。向こうの家族らは正月に親戚で集まるのが慣習かもしれないので、ウチは家族で集まらないようにしている。なので実家に帰ったとはいえ、普段通り両親と私の3人で出かけるだけにとどまった。

近所のファミレスでご飯を食べて、両親の最近の暮らしを聞いて、くだらない話をして笑って過ごした。天気が良かったので、景色のいいところに行こうと私が提案すると、父は隣町のホームセンターの立体駐車場に向かった。実家は東京のはずれにあるので高い建物などほとんどなく、その駐車場の屋上からは富士山〜秩父あたりの山並みが綺麗に見える。

父「うわ、ここ(3階)から落ちたら死ぬなぁ」
私「何あれ?ホバリングしてんの、凧?」
母「あの稜線、東山魁夷みたい」
とか話してた気がする。
15分〜30分くらいそこで過ごして、外で屁こいてから車に戻った。
残り香が若干あって、(しまった...)とか思いながら車の窓開けてすまし顔してたら家に着いた。

その後も特に変わったことはない。録画してあったアメトークの年末特番見て3人で笑って、きりたんぽ食べて、9時頃に私は帰路についた。

私はこの家族に生まれて良かったといつも思う。派手な愛情表現もなければ、頻繁に連絡を取り合うような暑苦しさもない。一見ドライに付き合っているようだが、会えばみんなで笑って過ごしている。

ただ、家族は良いものであるとは一概には言えない。世の中には凝り固まった価値観で子供を縛り上げる親や、残酷な犯罪行為に手を染める子を持つ家庭もある。そういった人たちにとって家庭は平穏な場所ではなく、生き残るべきバトルフィールドであり、一刻も早く立ち去りたく、忌まわしいものなのだろう。

家族に会った後の頬の痛みが、鉄拳制裁ではなく笑いによるものであることに、私はもっと感謝すべきなのかもしれない。

とにかく、今日はいい日だった。


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