見出し画像

2019年印象に残った本

展覧会に続き「印象に残った本」をまとめてみたいと思います。


「cook」坂口 恭平


強がってますが、私、日々疲れ果てています。外国暮らしと言うこともありますが、正直、生きることそのものが疲れると思うことも多いのです。坂口恭平さんはワタリウム美術館での展覧会や「独立国家のつくりかた」でとても感銘を受けた芸術家さんでしたが、今回の「cook」のコラム部分は300回は読んで500回は泣いています。私は生きるために料理してたんだなあとしみじみ思い返すことが多いです。心が弱ってる時にぜひ手にとって欲しい本。料理部分も素敵です。


「ツイッターと催涙ガス - ネット時代の政治運動における強さと脆さ」ゼイナップ トゥフェックチー (著), 毛利 嘉孝 (監修), 中林 敦子 (翻訳)


今年色々な意味で一番暑かったあいちトリエンナーレの会場であった愛知県美術館のミュージアムショップで購入。あの会場でこの本を選ぶなんてなんて私はセンスがいいのだろうか。
非常に読み応えがある本なので読了には時間がかかったが歴史の分析、記録として必読すべきと感じさせる本であった。もちろん歴史は常に動いているのだけど、このような報道、そして分析があったと言う事実を冷静な言葉で記した本を手に入れられたことはとても自分にとっても、次世代の息子にとってもラッキーだったと思う。


「『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 」椿原 敦子 (著), 黒田 賢治 (著)

イスラム圏に住んで早2年。理解度を深めたいと思い色々なイスラム教の本を読んでいるが一番自分にしっくり来たのはこの本。漫画のストーリーを自分の擬似体験にリンクさせることでより理解が深まっている感じがする。イスラム教というのは本当に一括りできないもので、インドネシアも、シンガポールも、中東も、マレーシアもみんなそれぞれ違う。そしてマレーシア国内においても地方によって違うし、1つの地域でも開放的なものもあれば地域密着で部外者に開放していないモスクもある。そのようなそれぞれみんな違うをすうっと教えてくれる良書。


「公の時代 ―― 官民による巨大プロジェクトが相次ぎ、炎上やポリコレが広がる新時代。社会にアートが拡大するにつれ埋没してゆく「アーティスト」と、その先に消えゆく「個」の居場所を、二人の美術家がラディカルに語り合う。」卯城竜太(Chim↑Pom)、 松田修


松田修くんはほんと、「会いに行きたい天才」だと思っている。彼の表現も作品もすごく好きだけど彼の話す言葉、紡ぐ文章が本当に好きだったのでこの対談集を元にした本は私にとっては待望の1冊。卵城くんが所属するChim↑Pomが主宰したにんげんレストランはガチ最高だったけど、あの空間と大正時代の芸術表現の関係性とか後でめっちゃ興味倍増。そして二人の語りに、この国の芸術表現の未来を想う。


「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密 (しごとのわ) 」高井浩章

Twitterで知って息子のためにいいかなと思って買ったんだけど、私が熟読してしまった。現在3つの通貨を行き来してる自分としてはまじでいつも頭こんがらがっていた。青少年向け経済小説ということで本当に分かりやすかった。そして混迷の度合いが増していくと思われるこの未来。資産というものの価値がどのように変化していくのか、改めて考えなくてはいけないなあとか色々考えるきっかけを与えてくれた本。絶対紙で買ったほうがいいと個人的には思います。数十年後、子供が大人になって読み返してほしい本。


「読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術 」田中 泰延

私のことを「文章を書いている人」と認識してる人は多いわけだけど、私自身は自分でそれを名乗る勇気はなかった。それは日本語社会メディアでの「あなたのこと認めてないから」的な圧に私自身が自ら納得してしまっていた点がある。もちろん自分が認めさせるだけの実力がなかったわけだけど。でも、やっぱり名乗ってはいけないんだと思っていた。
この本を読破した時「認められるとかどうかとか以前に、書く時には「自分が読みたいことを書けばいい」」という原点に戻ることが出来た。
この本、私2019年だけで4冊買ってます。人にプレゼントしたくなる本です。

「ANTONI in the Kitchen」Antoni Porowski , Mindy Fox

料理大好きな私。私にとって、料理は「死なないため」に作ってる部分が大きい。自分に本当に自信がないので料理が自分の自信を具現化できる数少ないアクションだから。
そんな私が思わず「ひゃあ」と言ってしまったほど美しいアントニは「Queer Eye」の料理担当。彼の初料理本ということで目でも十分楽しめるんだけど、作ると本当にガチで美味しいの。ちょっとびっくりしました。目でも味でも楽しめるマルチな料理本です。


来年はもっと英語の本も読みたいし、もっと多方面に本を読んでいきたいものです。