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おじいちゃんと孫と、嫁

と言っても、私の義理の父。夫の父のことですが。

ある寒い冬の午後。家族はパチパチと燃える炎が心地よい薪ストーブのあるリビングに集まっていました。

娘はバイトで教えられたマサラチャイの淹れ方をスマホからノートに書き写していました。

夫は私の髪の毛を切ってくれていました。

息子は薪ストーブがついているというのに、こたつにお尻まで入れて寝転び、Youtubeを大音量で見ながら、ベイブレードをいじっていました。

そんなとき。おじいちゃんがやってきました。

おーい。〇〇くーん。(息子の名前)
おじいちゃんのところにおいで。

息子、無視。というかYoutubeとベイブレードいじりに忙しくて聞こえない。

おーい。〇〇くーん。
おじいちゃんと遊ぼうか。

息子、チラッと見てまたYoutubeに戻る

「こら、〇〇。おじいちゃんだよ。お返事しないと」(私)

「ああ、おじいちゃん」(息子)

〇〇くん、何をやってるんだい?
べんきょうかね。
えらいなぁ。

なんと。
寝転がってiPadの画面にはYoutube。聞こえてくるのは立派なオトナがゲームで遊んで騒いで大笑いしている音。そして手元はいくつものベイブレードの赤青、ド派手なカラーの大小部品たちがゴロゴロ。

この姿が・・・べんきょうに見えるとは!!おじいちゃんの視界。恐るべし。

そこまで肯定感の強い視力になりたい。

何やら書いている娘を見ても

えらいなぁ。○○ちゃんもべんきょうかね。

新しく始めたカフェのバイトで覚えることがたくさんあって、実際に現場でメモ帳見ながらできるように、分かりやすくスマホから書き写しているんだよ。

と説明するのが面倒な娘は、「うん、まあね」の一言で片付けていた。

せっかくフラッと立ち寄ってくれたおじいちゃんに対する子どもたちの対応がとても寂しい。

それでも、遊びに夢中な7歳男子と、学校のテストよりもバイトの仕事を覚えることに夢中な高校生女子には、おじいちゃんの優しい笑顔とことばはなかなかまっすぐには届かないものなのだな。

と自分を説得するのでした。

そういう私は、ショートのためすぐに伸びる髪の毛の美容院代を浮かせるため、夫にカットしてもらっているという姿。

注:我が家の夫は、料理・洗濯から家電修理・車修理・水道工事・大工仕事に薪割り、そして子どもと妻の散髪までこなすサラリーマンのため、ちょっと変わった家庭です。

じっと椅子に座り、iPadで表向き仕事っぽい動画を見ながら、子どもたちを野放しにして夫に髪を切らせる妻。

こんなお嫁さんを見たお義父さん。どう思っただろう。子どもたちの寂しい反応よりも、自分の心配をした方が良かっただろうね。

「お茶も出さずにすみませーん。」

と1mmも動かずに。
口だけとはこのこと。

苦笑いのおじいちゃんは、ほんの数分、薪ストーブで温まった後、「またねー」と帰っていかれました。

申しわけございません。
反省の記録。

サポート頂けたら嬉しいです!自分の世界をどんどん広げ、シェアしていきたいです。コツコツ階段を登り続け、人生を楽しみ尽くします。