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【政経東北】「GoTo トラベル」は時期尚早-巻頭言2020.8

 7月に入り、新型コロナウイルスの感染者増加が止まらない。連日のように「〇〇で感染者××人超」、「△日連続××人超え」、「過去最多の感染者」といったニュースが報じられている。

 政府は4月7日、東京など7都府県に緊急事態宣言を発令し、その後、4月16日には対象地域を全国に広げた。これは「感染防止」の面では一定の効果を上げた。現に、それまで増加傾向だった感染者は5月上旬ごろから減少していった。

 その代わり、経済活動停滞に伴う経営難、生活苦などの課題はあった。以前のこの稿でも書いたが、コロナ対策の基本は外出自粛などの徹底と、国民の生活保障、自粛に伴う事業者への減収補償のセットでなければならないが、生活保障、減収補償に関しては不十分だった。

 一方で、新規感染者が落ち着いてきたことを受け、国は5月14日に北海道、首都圏4都県、京阪神を除く39県の緊急事態宣言を解除し、その後、5月25日までに残りの都道府県でも解除した。以降は、外出自粛、都道府県をまたぐ移動の制限が段階的に解除され、6月19日からは制限がなくなった。

 その結果、冒頭で述べたように、感染者が増加しているのである。7月中旬以降は緊急事態宣言を発令前と同等かそれ以上の新規感染者数となっている。

 そうした中、国は新型コロナウイルスの影響で売り上げが激減している観光業やイベント業、飲食業などを支援するため、消費喚起のための「GoToキャンペーン」を当初予定から前倒しして実施することを決めた。

 同キャンペーンはトラベル、イート、イベント、商店街の4つからなり、それぞれ利用者が一定の補助を受けられる仕組みだが、いまの感染状況を考えると、後ろの3つはともかく、トラベルはリスクが大きい。国は感染拡大が止まらない東京都(東京都への旅行と東京都からの旅行)を除外したが、なぜこのタイミングで同キャンペーンを実施しなければならないのか。このままでは感染者を全国に拡散させてしまう恐れがある。

 本誌主幹・奥平がSNSで《現在の対策はクラスター潰しで、もぐら叩きと同じ。むしろ、感染者が増えている大都市圏で大規模なPCR検査を実施し、無症状感染者をあぶり出すべきだ。政府がなぜ、そうしないのか理解できない》と指摘したが、まずやるべきことはそういった対応だろう。

 そうした部分も含めて政府の対応には違和感しかない。

(末永)

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