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【福島県・新型コロナ特集】独自の自粛要請を発出した三島町

高齢化率高い地域ならではの事情

 

 三島町は4月8日、「新型コロナウイルス感染防止のため三島町への帰省等の自粛について」という文書を町内全戸に配布した。県内外の感染者確認地域から同町への帰省自粛を呼びかけるもの。その背景には、高齢化率が高い奥会津地域ならではの事情がある。

 三島町が出した自粛要請の内容は以下の通り。


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 「緊急事態宣言」及び「福島県内感染状況」から町民の皆様へお願い
 三島町への帰省等の自粛のお願い

 ◇福島県内において感染が拡大する現状において三島町における感染を防ぎ、町民の皆様の大切な「命」を守るためにも以下の項目について自粛等をお願いいたします。
 依頼内容
 ◇感染確認地域(県内・県外)から三島町への「帰省」等の自粛
 ※緊急事態宣言の7都府県(東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡)をはじめ、感染が確認されている都道府県の各市町村を対象とします。
 ※感染確認地域等からの帰省及び休日における「冠婚葬祭関連行事」等についても対象となります。
 ◇三島町から感染拡大地域(県内・県外)への不要不急の外出自粛
 ※休日における不要不急の外出(冠婚葬祭関連行事に関しても出席を見あわせるなどの対応をお願いします)
 ※4月29日からの「ゴールデンウイーク」期間中、現時点で外出等予定がございましたら「中止・延期」するようご検討下さい。
 自粛要請理由
 ◇三島町は新型コロナウイルス感染により重症化するリスクが高い「高齢者」が多い。
 ◇三島町は感染が確認されていないが、福島県、全国では日々増加傾向にある。
 ◇感染拡大地域である首都圏への「往来」、首都圏からの「帰省」による感染ケースが全国で増加している。(青森県・秋田県・山形県・福島県において同様の事例があり、当事者が発症し親族や関係者に感染している)
 期間
 ◇緊急事態宣言に準じ約1カ月間(令和2年5月6日まで)
 三島町へ転入された方々へのお願い
 ◇就職や転勤等のやむをえない事情により転入された方へ
 2週間の外出自粛と各自の体調管理をお願いいたします。
 ◇やむをえず帰省された方へ
 2週間は自宅等でお過ごし頂き、外出は自粛してください。加えて、ご自身の体調管理をお願いいたします。体調の異変等があり経過観察した後も改善されない場合においては、 会津保健所(0242―29―5512)へご相談ください。
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 政府が東京都などの7都府県に緊急事態宣言を発令したのは4月7日で、同町はその翌日(8日)に、それら対象地域や県内の感染者確認地域に家族・親戚等がいても、往来は控えるように、と要請したわけだから、かなり素早い対応だったと言える。本誌が調べた限り、そうした要請を行ったのは県内では同町が最初。「冠婚葬祭関連行事」も自粛対象としており、例えば葬儀があったとしても、域外の親族などに参列を見合わせるように言ってほしい、ということだから、危機意識がかなり高いことがうかがえる。

近隣町村にも波及

 同町がこの要請を出した翌9日には隣の柳津町も同様の要請を出すなど、近隣町村にそういった動きが広がっている。

 4月19日時点で、県内感染者は60人を数えるが、会津地方では感染者は1人も確認されていない。そんな中、とりわけ、三島町や柳津町をはじめとする奥会津地方は高齢者の割合が高く、高齢者は感染すると重症化しやすいと言われていることから、地域内にウイルスを持ち込まないようにするため、そうした要請をしたようだ。

 こうした要請に、奥会津地区のある住民は次のように話す。

 「自粛要請に対する住民の反応は、行政がそういった判断してくれたのはありがたい、というものです。私の周りにも、70代、80代の高齢者が多く、もしうつされたら死に直結すると恐怖心を抱いています。幸い、会津地方ではまだ感染者が出ていないこともあり、多くの人が『観光客も含めて域外から来てほしくない』と思っているのです。そういう意味で行政の対応は評価します」

 実は、この住民は観光関係の仕事をしている。本来なら、この時期は花見客などの観光客が多く、関連事業者にとっては書き入れ時だが、今年はほとんど来客が見込めないという。地域内の観光・誘客施設などもクローズしているところが多いようだ。そうなると、当然、収入に直結するわけで、「もちろん、それは痛いけど、いまはそんなことを言っていられない。命を守る方が重要だ」と明かした。

 念のために記しておくと、本誌もこの住民に意見を聞くに当たっては電話取材で対応してもらった経緯がある。

 「先日、域外の友人から『山菜採りをしたい』と連絡がありました。例年、この時期は一緒に行っていましたから、『今年も行きたい』ということでしたが、『いまは来るな』と言って、私が採って送ってあげることにしたのです。皆が皆、そういった形で対応して、域外から人を呼び込まないようにして、乗り切るしかないと思います」(同)

 各町村から出されたものは「要請」であって強制力はない。そのため、この住民が語ったように、それぞれの意識に委ねられる部分が大きい。その点で言うと、前述したように奥会津地方は高齢者の割合が高く、高齢者は感染すると重症化しやすいと言われていることから、住民の危機意識は相当なもの。行政からの要請は一定程度の効果があるのではないかと思われる。

 言い換えると、そのくらい、高齢者が多い地域では恐怖心・緊迫感があるということだ。


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